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日本一古い!仮名文字の暦、三嶋暦を学んで体験する「三嶋暦師の館」

三島市|【更新日】2024年12月20日

日本一古い!仮名文字の暦、三嶋暦を学んで体験する「三嶋暦師の館」

静岡県三島市を代表する観光名所としては「三嶋大社」が有名ですが、そこから徒歩5分ほどの場所に「三嶋暦師の館(みしまこよみしのやかた)」があります。

「三嶋暦師の館」は、暦の一つである三嶋暦を紹介する博物館。レプリカの版木を使った印刷体験もできると聞きつけ、実際に行ってきました。

目次

三嶋暦の歴史を紹介!「三嶋暦師の館」

年、月、週、日。時間の流れを単位で表す暦

三嶋暦師の館1

暦には一日の占いのようなものも記載されています

553年に中国から日本に伝わってきた暦。漢字で書かれていたものを、一般庶民でも読めるよう仮名文字にした暦が発明され、今から1200年程前に三島で三嶋暦が作られるようになりました。

三嶋暦は平仮名で版木を使った暦としては、日本で一番古いものと言われています。現代人でも読めるような文字の美しさや線の繊細さから、江戸時代には宿場の土産物としても人気だったそうです。

国の登録有形文化財にも指定!歴史ある建物が博物館に

三嶋暦師の館2

住宅街の一角に佇む「三嶋暦師の館」

三嶋暦を50代にわたり製造販売していたのが河合家です。その家屋を改修したものが「三嶋暦師の館」で、三嶋暦の歴史を伝える博物館として一般公開されています。

館内には豊富な知識を持つ案内人が常駐しているため、三嶋暦についてわかりやすく教えてもらえますよ。見学料は無料です。

貴重な資料を展示する館内の見どころは?

現存最古と言われる三嶋暦の複製も展示!

三嶋暦師の館3-1

「三嶋」と書かれている部分を探してみよう!

栃木県の足利学校に所蔵されている「周易古写本(しゅうえきこしゃほん)」。

写本の表紙を補強するための裏張りに、不要になった1437年の「三嶋暦」が発見されました。現存するもので最古と言われています。

それを複製したものが展示されているのですが、よく見てみると「三嶋」という文字を見つけられるはずです。探してみてくださいね。

三嶋暦師の館3-2

版木の原料には山桜の木が使われていました

今の時代でも、月日が過ぎた過去のカレンダーは捨ててしまいますよね?

暦の版木は毎年表面をカンナで削られ、翌年の版木に再利用されていたとのこと。

それと同じように何度も削られ、薄くなり不要となった三嶋暦の版木は、風呂の湯を沸かすために燃やすなど、日常の生活の中で消費されてしまったとか……。

なので残念ながら、今ではほとんど残っていないそうです。館内には、使用済みの版木で作られた手あぶり火鉢が展示されていました。今となってはとても貴重な資料です。

武家屋敷の面影を多く残す建物を見学してみよう

三嶋暦師の館4-1

歴史を感じられる空間にドキドキします

奥座敷の上段の間は一段高くなっていて天井も高く、身分の高い人のみが入れたことがわかります。

三嶋暦は毎年江戸城で徳川幕府に献上されていて、その際は江戸城「蘇鉄の間」に通されていたとのこと。

それにちなんで、この上段の間は蘇鉄の間と名付けられ、庭には立派な蘇鉄が植えられています。

三嶋暦師の館4-2

太くて立派な柱!良い木が惜しみなく使われています

神棚や柱、玄関部分などに使われているのは上質な欅(けやき)の木で、今の時代でもとても高価なものです。ここでも格式の高さをうかがえました。

展示品の見学とあわせて、随所に歴史を感じられる建物にも注目してみてくださいね。

昔と同じやり方で三嶋暦の印刷体験ができる!

印刷体験を通して三嶋暦のより深い魅力に迫りましょう

三嶋暦師の館5

良い塩梅で版に墨を塗るのが難しい……!

館内では、三嶋暦のレプリカの版木を使った印刷体験ができます(事前予約不要、無料)。

使用するのは、1843年の三嶋暦を現代技術で版にしたもの。版にローラーで墨を塗ってから、半紙をのせてバレンでこすり、紙をゆっくりはがすと印刷ができます。

実際に体験してみたのですが、なかなか難しい!墨が多すぎると文字が潰れてしまい、少なすぎるとかすれてしまいます。

作った三嶋暦はお土産にも最適!

三嶋暦師の館6

古風で良い!三嶋暦のうちわ

何度か挑戦しているうちに、コツをつかんで上達していきました。

実際にやってみると、暦をつくっていた暦師はもちろんのこと、版木を彫っていた人や紙に印刷していた人など、周りで支えていた人たちの技術も素晴らしかったことが実感できます。

作った三嶋暦は自宅へ持ち帰り、手作りうちわなどにするとすてきな作品になりますよ。

歴史ある三嶋暦を学んで、体験しよう!

「三嶋暦師の館」は、三嶋暦の歴史や文化に親しめるスポットでした。

「三嶋暦師の館」を含め三島市では、まちの魅力に迫るイベントが数多く開催されています。三島市観光協会のHPで情報をチェックしてみてくださいね。

「三嶋暦師の館」へのアクセス

  • 【住所】静岡県三島市大宮町2-5-17

    【営業時間】9:30〜16:30
    ※20人以上で見学の場合、1週間前までに要予約

    【休館日】月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

    【駐車場】なし

    【公式サイト】https://mishimagoyomi.web.fc2.com/yakata/yakata.htm

    ※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

ライタープロフィール

新井夏海

新井夏海

神奈川県横浜市出身。静岡県の大学に進学し海洋学を学ぶ。卒業後は地元で海系旅行誌を発刊する出版社の編集ライターを経験。“自然のそばで暮らしたい”という思いから静岡に戻りフリーライターへ。現地の魅力を取材・執筆しながら、趣味の旅行、マリンスポーツ、キャンプ、車中泊旅を楽しむ。