豊かな自然と歴史の町。「大磯町郷土資料館」で“憧憬の地”の成り立ちを知る
大磯町|【更新日】2024年11月29日
古くから海水浴場や別荘地などで知られ、人々の憧れの地として賑わってきた神奈川県・大磯町。
「大磯町郷土資料館」でその成り立ちを知り、町歩きや観光をさらに充実したものにしてみませんか?
目次
「大磯城山公園」内にある郷土資料館
二つの地区に分かれた広大な公園

広大な公園なので、マップで目的地の確認を!
「大磯町郷土資料館」は大磯駅前からバスと徒歩で11分ほど、「大磯城山公園」内にあります。
旧三井財閥本家の別荘地跡を利用した「旧三井別邸地区」と、吉田茂元首相の邸宅を活用した「旧吉田茂邸地区」の二つの地区を有する大磯城山公園。
旧三井別邸地区には郷土資料館のほか、茶室「城山庵」、横穴墓、展望台などがあり、緑あふれる広大な敷地内でゆったりと過ごすことができます。
三井家の別荘・城山荘がモチーフ

思わず見惚れる門構え!
郷土資料館の建物は、かつてこの場所にあった三井家の別荘、城山荘をモチーフにしたもの。
放射状の屋根がシンボルになった和洋折衷の外観で、豊かな緑を背に独特の存在感を放っています。

龍と鶴の彫刻が豪華!
エントランスでは、当時の古材を使って城山荘本館の広間を再現展示。
城山荘は全国各地の社寺から寄贈された古材を活用して造られていたことから、別名を「古材館」とも呼ばれていたそう。
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丘陵も海もある、大磯ならではの自然
海水を飲みにやってくる「アオバト」

ナトリウム摂取のために海水を飲むのだそう
常設展では、大磯で太古の昔から育まれてきた自然、歴史、文化を様々な切り口で紹介しています。
「自然のいとなみ」コーナーでは、丘陵と海の両方がある大磯だからこそ見られる生物たちの剥製や標本を展示。
中でも照ヶ崎海岸に海水を飲みに集団飛来する「アオバト」は珍しく、大磯の観光キャラクターのモチーフにもなっています。
「横穴墓」の復元模型

古墳時代後期の埋葬施設
大磯丘陵は、全国でも屈指の横穴墓群密集地域として知られ、70以上の横穴墓群、500基を超える横穴墓が確認されています。
「いにしえの暮らし」コーナーでは、岩盤を掘りくぼめて石棺を造り出す特徴的な形態を再現。副葬品として土器が用いられた例もあるといいます。
避暑地・別荘地として偉人たちに愛された大磯
医療目的で開設された大磯海水浴場

伝説のサーファー・坂田道氏のサーフボード(左)
“憧憬の地”大磯発展の歴史は、大磯海水浴場なしには語ることができません。
大磯海水浴場は徳川将軍家の侍医と明治政府の軍医総監をつとめた松本順(松本良順)のはたらきかけによって、明治18年に医療目的で開設されました。
これに伴い、数々の旅館が開かれ避暑地として賑わい始めた大磯。同じ頃から、大磯の温暖な気候を求めて別荘を構える人々が増えてきました。
「大磯に別荘を構えた人々」が圧巻

誰もが知る偉人が名を連ねる
「大磯に別荘を構えた人々」の展示を見ると、吉田茂、大隈重信、原敬など歴代首相の名前が並びます。
中でも初代内閣総理大臣の伊藤博文が明治29年に「滄浪閣(そうろうかく)」を建てたことで大磯は別荘地として一躍有名に。
その翌年、本籍も大磯町に移した伊藤は、散歩中に住民へ声をかけることもあり、地元では「てえしょう(大将)」と呼ばれ親しまれていたとか。
大磯をさらに深く知る企画展も
大磯ゆかりの画家・加山又造

加山又造の創作活動は多岐にわたる
郷土資料館では年3~5回、常設展では紹介しきれないテーマを特別展・企画展で取り上げています。
取材時は企画展「加山又造と大磯」の会期中。日本画家の加山又造は2004年に没するまで大磯のアトリエで創作活動を行った、大磯にゆかりのある画家の一人。
※企画展「加山又造と大磯」は、2024年11月17日をもって終了

動物たちへの愛が伝わる作品
新しい絵画制作の技術の探求に余念がなく、最新のコンピューターも作画に取り入れていた加山又造。
展示ではアトリエで実際に使用していた機材も展示。コンピューターで描かれた愛犬・愛猫たちはいずれも表情豊かで愛らしく、家族への深い愛情を読み取ることができました。
学びながら癒やされる、大人の休日を
駅からは少し距離がありますが、資料館や大磯城山公園の雰囲気は癒し効果抜群で、のんびりと大人の休日を過ごすにはぴったりのスポット。
常設展は充実した展示ながら無料で観覧することができます。観光はもちろん、移住先として大磯が気になるという方もぜひ訪れてみてくださいね。
「大磯町郷土資料館」へのアクセス
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【住所】 神奈川県中郡大磯町西小磯446-1
【駐車場】あり(大磯城山公園内)
【開館時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜日(月曜が祝日にあたる場合は開館し、翌日以降最初の平日が休館)、毎月1日、年末年始
【入館料】無料(企画展は有料の場合があります)
【お問い合わせ】 0463-61-4700
【公式サイト】https://www.town.oiso.kanagawa.jp/oisomuseum/index.html
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

