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はじまりは蘭医学の塾と診療所。「佐倉順天堂記念館」で日本医学の礎に触れる

千葉県|【更新日】2024年11月15日

はじまりは蘭医学の塾と診療所。「佐倉順天堂記念館」で日本医学の礎に触れる

1843年に佐藤泰然が開いた蘭医学の塾と診療所をルーツに持つ「佐倉順天堂記念館」。

西洋医学と医学教育を通じて、日本の近代医学の礎を築きました。

歴史的な古文書や医療器具が展示され、歴史の息吹を感じられるスポットをご紹介します。

目次

「佐倉順天堂記念館」でたどる、日本の近代医学の歩み

佐倉順天堂記念館に展示された医療機器や薬品

シーボルト時代の薬品や大工道具のような医療器具

医療が未発達だった昔の日本では、漢方や民間療法が一般的だったそう。江戸時代にオランダとの交易をきっかけに、西洋医学が日本に浸透していきました。

千葉県佐倉市にある「佐倉順天堂記念館」では、その歴史を館内の資料や展示物などから知ることができます。

人物や歴史年表など、それぞれのコーナーに解説があり、医療に詳しくなくても安心して見学ができますよ。

江戸時代の医学の最先端、西の長崎、東の佐倉

近代医学の礎を築いた西洋医学の教育を知る

佐倉順天堂記念館に展示されている医療や順天堂にまつわる資料

天の道に順(したがう)という意の「順天」

「西の長崎、東の佐倉」と称されるほど、幕末に長崎と並んで蘭学の先進地だった佐倉。

老中のお城とも呼ばれた佐倉城の幕末の藩主、堀田正睦は蘭学を奨励したそうです。

江戸で蘭方医として活躍していた佐藤泰然が佐倉に移住し、蘭医学の塾と診療所を兼ねた「佐倉順天堂」が誕生。

佐藤泰然の弟子でのちに養子となる佐藤尚中など、優秀な人材を輩出しました。

様々な出来事が線となり、現代に繋がっているのですね。

日本医学界をリードした佐藤泰然らの功績がすごい

佐倉順天堂記念館の展示内容

現代へ続く医療発展の足跡を辿ってみませんか

佐倉順天堂の創始者、佐藤泰然をはじめ、のちの順天堂大学となる東京の順天堂医院を開いた佐藤尚中。

明治政府の初代陸軍軍医総監となった松本良順など、順天堂に関わる人物についても詳しく紹介されています。

松本良順が晩年、ご自身で掘った木彫り人形を見ると、どこか優しさを感じました。

世襲ではなく、優秀な人材を後継とした佐藤家だからこそ、日本医学界をリードする存在になったのかもしれませんね。

じっくり見たい、西洋医学導入の流れを辿る展示内容

まだまだ進化を続ける、まさに医学は日進月歩

佐倉順天堂記念館に展示された貴重な資料など

撮影禁止の古文書をはじめ、館内には貴重な資料が多数

当時、順天堂で実際に使われていた医学書や治療器具などが綺麗な状態で保存されています。

江戸時代末期の諳(オン)氏外科施術大全など、館内には撮影禁止の古文書なども展示されていました。

感染力、致命率も高く、当時は多くの人から恐れられていた天然痘の予防接種や、非常に難しい外科手術など、医療の発展に尽くした医師たち。

展示を見ながら、幕末から明治を生きた医師たちの尽力あってこそ、今日の医療があるのだと深く印象に残りました。

当時の治療代はおいくらだった!?気になる治療内容も

佐倉順天堂記念館に展示された昔の治療の値段一覧

1850年代の順天堂の料金表を清書したもの

当時の順天堂診療室の料金表もありました。(原本は成田山霊光館にあり、佐倉順天堂記念館は清書されたものが展示されています。)

割腹出胎児術(帝王切開)、脱肛、乳がん摘出など、なんとなく文字を見ただけでイメージできる手術内容も。

疋(ひき)、匁(もんめ)はお金の単位で、金400疋、銀60匁が金1両分になります。

一番高額な手術は金10両で、どんな人たちがこの手術を受けたのだろう、と思わず想像を膨らませました。

佐倉市で見つけた、漫画「 JIN-仁-」の世界

漫画のモデルになった佐倉順天堂記念館

建物はもちろん、縁側からの庭の景色も素敵ですよ

ドラマ化もされた、大人気の漫画作品「JIN-仁-」。

作中で登場する仁友堂のモデルが「佐倉順天堂」ということで、受付の近くに紹介がありました。作中の手術器具なども参考にされているそうです。

館内には建物の復元模型もあるので、「JIN-仁-」の世界をよりイメージできるかも。

門をくぐって正面から見る建物は、まさに仁友堂そのものでした。綺麗に保たれた庭も、ぜひ見てくださいね。

今も残る江戸時代に建てられた建物にも注目

佐倉順天堂記念館の館内の様子

現代とは違った雰囲気の建物も見どころいっぱい

日本有数の私立病院で、千葉県指定史跡でもある「旧佐倉順天堂」。1858年(安政5年)に建てられたものの一部が残り、和室と洋室がありました。

洋室や廊下の照明の意匠、扉のガラスも柄入りのものがあるなど、とてもレトロで素敵な雰囲気。

建物の扉は低めで、手を伸ばすと届くほど。受付の反対にある展示が飾られている場所には、よく見ると小さな小窓が2つ並んでいます。

当時の受付のようで、とても綺麗な状態でした。

近代医学の発展を学べる「佐倉順天堂記念館」

人気漫画のモデルにもなった「佐倉順天堂記念館」では、日本近代医学の足跡を辿ることができます。

当時の医療器具や古文書、順天堂に関わる人たちのことを学びながら、西洋医学導入の歴史をじっくり見学してみませんか。

千葉県指定史跡のレトロな建物も一見の価値がありますよ。

「佐倉順天堂記念館」へのアクセス

  • 【住所】千葉県佐倉市本町81

    【アクセス】

    JR佐倉駅から徒歩約30分

    京成佐倉駅から約徒歩20分

    または京成酒々井駅・白銀ニュータウン行バス「順天堂病院」下車すぐ

    【問い合わせ】043-485-5017

    【営業時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)

    【休館日】月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始

    【料金】

    佐倉順天堂記念館 一般100円、学生50円

    三館共通入館券(※)一般600円、学生300円

    ※三館共通入館券…武家屋敷・旧堀田邸・佐倉順天堂記念館に当日限り、1人各館1回ずつ入館できます

    ※土日祝日は小中学生は無料

    ※障害者手帳提示で本人と介助者1名が入館料無料

    【駐車場】あり(5台・無料)大型バス(1台・要予約)

    【公式サイト】https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/bunkaka/bunkazai/sisetsu/juntendou/5797.html

    ※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

ライタープロフィール

こじまちはる

こじまちはる

千葉県出身。学生時代は夜行バスや青春18切符を利用して旅行に。現在は主にLCCを利用して沖縄、北海道へ。生まれ育った千葉県の魅力を伝えるため、県内の観光地を取材。自然や文化財をはじめ、美味しいものがいっぱい、ちーばくんの出身地をご紹介します。