日本初のパンにも出会える!「江川邸」は韮山に残る国指定重要文化財の屋敷
伊豆の国市|【更新日】2024年9月28日

静岡県伊豆の国市韮山にある、国指定重要文化財「江川邸」。
入館料を払えば自由に見学できますが、邸内スタッフによる無料ガイドをお願いすることも可能です。
「江川邸」についてより詳しく知りたいなら、ガイド付きが絶対におすすめ!今回はスタッフと一緒に、「江川邸」で刻まれてきた歴史の数々を覗いてきました。
目次
国指定重要文化財「江川邸」とは?
日本の代官屋敷を見学できる特別な場所
「江川邸」とは、江戸時代に幕府の韮山代官職を世襲した江川家の屋敷です。
広大な敷地面積を持つ主屋や書院、蔵などは江戸から大正時代にかけて建築され、現在まで大切に守られてきました。
現存する邸宅建築として国指定重要文化財にもなっています。代官屋敷を当時のままの形で今の時代に伝えていくため、現在は一般公開されていますよ。
素晴らしい業績の持ち主、江川英龍公ゆかりの地
全国から塾生が集まり砲術を学んだ「じゅくの間」
「江川邸」を語る上で重要なのが、江川家36代当主で韮山代官9代目の江川英龍公です。英龍公が行ったことを挙げたらキリがありません。
徳川幕府の代官をしながら、世界遺産の韮山反射炉を建設、鎖国の日本において海防を建議、品川台場を建築、日本初の洋式帆船ヘダ号の建造を指揮などを行いました。
また、軍事の先生でもあり、小学校などでお馴染みの「前へならえ」「気をつけ」「右向け右」といった号令を作ったとも言われています。
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「江川邸」の見どころ4選を紹介!
1.母屋の屋根裏構造は圧巻の光景!
思わず感嘆の声が出ます!職人の技術ってすごいですね
一番の見どころである主屋は1600年頃に建てられました。50坪以上もある土間に入ったら、ぜひ天井を見上げてみてください。
天井板が張られていない屋根裏は、柱や梁が複雑に組み合った構造をそのまま目にすることができます。
なんと、釘は一本も使われていないそう。こうすることで地震の揺れなどにも柔軟に対応でき、400年以上経った今でも倒壊せず現存できているのです。
2.火事から屋敷を守る御守りを探そう
棟札が納められている木箱を探してみましょう!
「江川邸」が当時のままの姿で現存できているのには、もう一つ大きな理由があります。それは、これまで大きな火事に見舞われてこなかったからです。
土間から天井を見上げると、一番高い場所に木箱があります。その中には日蓮上人直筆の曼陀羅(まんだら)が収められているそうです。
これは火除けの御守りとして「江川邸」を守っていて、今まで大きな火事の被害にあってこなかったと言われています。
木箱は少し見つけにくいですが、探してみるのも楽しみの一つですよ。
3.膨大な数の貴重な史料を目にしてみよう
台所にも重要文化財に指定された貴重な品が残ります
大きな火事がなかったということは、屋敷に所蔵する史料なども当時のまま残っているということです。
2013年には所蔵する史料約7万点のうち4万点弱が重要文化財に指定されました。
屋敷の中には数々の貴重な史料が展示されいて、この地で育まれてきた歴史の流れを感じることができます。
4.表門が建つ場所にも意味が!
玄関から表門を見てみると、あれ?位置がずれている?
玄関を通って母屋に出入りできるのは、江川家の関係者のみです。
玄関から表門を見てみると正面に構えていないことがわかります。これは当主の出入りを他人に見せないようにするための造りなのだそう。
このように「江川邸」では、日本で昔から伝わる思想や趣などにも触れることができます。建築美とともに必見ですよ。
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日本で初めてパンを焼いた場所!
日本のパン祖と呼ばれる英龍公
長持ちするよう水分を含んでいないため硬い!
英龍公は「江川邸」で、日本で初めてパンを焼いたとも伝えられています。
米だと炊く際に煙が出て敵に見つかる恐れがあったり、持ち運ぶのに重かったりすることなどから、パンは日常食ではなく兵隊の携帯食として考案されました。
当時のレシピは「江川邸」で大切に保管されていて、それを再現製造した「パン祖のパン」が購入できます。
英龍公も使っていたかまどで当時のパンを焼く!
当時からあるかまどが今でも使えることにびっくり!
英龍公が日本で初めてパンを焼いたとされる1842年4月12日。その日を記念して毎年4月12日は「パンの記念日」となり、「江川邸」ではイベントが開催されています。
土間にある当時から使われていたかまどでは、年に一度の火入れが行われ、英龍公のレシピを再現したパンが焼かれて来場者に振る舞われますよ。
毎年多くの方が足を運ぶ大人気イベント!「パンの記念日」に合わせた週末に開催されているので、確認してみてくださいね。
まだまだ魅力たっぷり!楽しみ方はそれぞれ
期間限定公開!風情ある内庭で日本の侘び寂びを感じる
内庭の奥には先人たちが眠る仏間もあります
内庭は通常非公開なのですが、年に何度か期間限定で公開されているとのこと。
「碧雲の池」を囲むように、春には新緑、秋には紅葉が美しく色付く内庭の散策を楽しむことができます。
なんと今回は特別に案内していただけることに。風情ある空間に心が凛とし、日本の侘び寂びを感じられたひとときとなりました。
限定公開の時期に合わせて訪れるのもおすすめです!
幻の酒「江川酒」も味わってみたい!
奇跡の復活「江川酒」は一度味わってみたい逸品!
「江川邸」では織田信長、豊臣秀吉、徳川家康も味わったと伝えられる「江川酒」という酒が江戸時代までつくられていました。
その醸造方法を記した物が320年の時を経て発見され、地元の方によって復元されています。
名だたる武将を魅了した幻の酒。基本的には団体「江川英龍公を広める会」に入会し、寄付金を行った際の返礼品として贈答されています。
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「江川邸」で感じる、学ぶ!歴史の一ページ
スタッフによるガイドの所要時間は40〜60分ほど。この時代まで大切に残されてきた屋敷や史料に込められた先人たちの想いを教えていただく、貴重な時間となりました。
車で5分ほどの所にある、英龍公が建設した世界遺産の韮山反射炉と合わせて見学するのもおすすめですよ。
「江川邸」へのアクセス
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【住所】静岡県伊豆の国市韮山韮山1-1
【営業時間】9:00~16:30(最終受付 16:15)
【休館日】年末年始(12/31~1/1)、毎週水曜日(例外あり。また、学校を含めた団体予約は受付可能)
【駐車場】あり
【公式サイト】https://www.egawatei.com
【電話番号】055-940-2200
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。