茅ヶ崎観光で立ち寄りたい「開高健記念館」旅好き文豪の邸宅
茅ヶ崎市|【更新日】2024年7月1日

茅ヶ崎市で生涯を閉じた作家・開高健。純文学からルポルタージュまで幅広い執筆をする傍ら、世界中を旅するアクティブな男性でした。
「開高健記念館」は開高健が晩年まで使っていた邸宅をそのまま公開している建物。文学好きはもちろん、旅好きも憧れる作家の生活が覗ける貴重なスポットです。
目次
書斎などがそのまま残されている「開高健記念館」
「開高健記念館」は白い外壁が印象的な洋風の邸宅
白い壁と現代的なデザインが特徴の開高健記念館
開高健記念館があるのは、神奈川県茅ケ崎市の海岸にほど近い、ラチエン通りという閑静な住宅街です。
開高が家族と住んでいた邸宅が、そのまま記念館となっています。建物は真っ白な外壁と、三角の屋根が独特な洋風の造り。
門をくぐると、開高の筆跡で「入ってきて人生と叫び、出て行って死と叫ぶ」と書かれた石碑が出迎えてくれます。
開高健は1974年からこの邸宅を活動の拠点とし、亡くなるまでの15年間、執筆を行ってきました。
いまだにファンが増え続けている作家・開高健
旅好き、釣り好きとしても知られる開高健
開高健は、昭和時代に活躍した小説家です。1989年に58歳でその生涯を閉じるまで、ベトナム戦争を題材にした「輝ける闇」などの純文学作品から、「オーパ!」などの紀行文学まで幅広く執筆しています。
今回、伺った開高健記念会の森さんは、開高の担当編集者のおひとり。
生前活動的でダンディな印象の開高は、もともとは男性ファンが多かったそうですが、最近は女性ファンも増えていると教えてくださいました。
カリブー(鹿)のはく製も!ワイルドな作家の魅力が溢れる展示室
展示室の板張りの壁も開高のこだわりだそう
玄関から入ってすぐの広々とした空間が常設の展示室になっています。目を引くのは、吹き抜けの空間に掛けられた大きなカリブーの首のはく製。
開高自身が、欧米でハンティングに参加して撃ったカリブーです。開高は殺生を好まなかったそうですが、欧米の男性のたしなみとして、猟に参加したのだそう。
展示ケースには開高作品が掲載された当時の雑誌や書籍、直筆の原稿などが並び、貴重な資料を目にすることができます。
半年に一度の企画展はさまざまな視点から魅力を伝える
宣伝部時代に作っていた冊子「洋酒天国」
常設展示のほかに、半年に一度企画展示も行われています。編集部が訪れた時には、「広告人・開高健の三つの顔」が開催中でした。
実は開高健は大学卒業後、現在のサントリー(当時の壽屋)の宣伝部に所属していました。
まだ「宣伝」という言葉すら日本になかった時代、自由な社風のなか、文化的アプローチでお酒の魅力を発信していたのだとか。
企画展示室では当時のCM動画で俳優として登場する開高の姿も見られました。
開高健が実際に執筆していた書斎には愛用品がずらり
机は使用していた当時のままで展示されている
当時のままの書斎。かつては窓の外に松林が広がっていたのだとか
開高健記念館では、開高が実際に使っていた書斎を公開しています。本好きにとっては憧れの、作家の執筆環境が見られる貴重な展示です。
開高は記憶力が素晴らしく、執筆時は資料を手元に置くことはありませんでした。それでも、ベトナム関連の資料は常に机に置いていたのだそう。
中央部分は中国で買い付けた螺鈿細工の机を、盤面だけ切り取ってはめ込んでいます。執筆環境へのこだわりが感じられますね。
周囲の壁にはルアーや熊皮などが蒐集品がたくさん!
開高は忙しい日々の中でも自分の時間を大切にしていた
執筆用の机の後ろには、趣味の釣りのルアーや魚のはく製、昆虫の標本などがずらりと壁に並んでいました。
趣味の品の蒐集にも熱心だった開高。館内では他にも、パイプや灰皿など愛用品が数多く遺されています。
書斎の隣の部屋にはなんと熊の毛皮が!
書斎の入口のドアには、欧米風のプレートやドアノブ、ドアノッカーなどが取り付けられています。「生活をとても楽しむ人だったんですよ」と森さんが話されていました。
神奈川の交通手段はレンタカーがおすすめ
開高健が暮らしを愛し楽しんでいた形跡も必見
白い椅子が並ぶサンルームでは読書を楽しむことも可能
庭の緑に映える白い椅子とテーブルが素敵!
展示室の外には、ガラスの屋根が張り出したサンルームが。
開高が海外で買い付けたという、白いレースのような繊細な模様が美しいガーデンチェアとテーブルが並びます。
ここは来館者が座ることも可能なスペース。庭の緑を眺めながら、読書を楽しむこともできます。
庭には当時バーベキューをしたかまどや越前スイセンも
緑したたる庭園は、心休まる空間
建物の周囲には、大きな木が植えられた庭園があります。開高の生前、周囲は松林だったそうで、緑に包まれた静かな環境が執筆にちょうど良かったのでしょう。
庭園には作家や編集者とともにバーベキューをするために作られたかまどがあり、開高の愛した福井県の越前スイセンも植えられています。
書籍や力強いメッセージが描かれたグッズも販売
力強い文字が人生の迷いを払しょくしてくれそう
館内では、開高健記念館オリジナルグッズの販売もあります。
開高の筆跡で書かれた名言の数々のクリアファイルやサイン入りルアーなど。
編集者のために書いたという「出版人マグナ・カルタ第9章」のクリアファイルには、「両目を開けたまま眠れ」など、ユーモアとウィットに溢れる表現が書かれていました。
他にも開高の著書や、関連書籍を取り扱っています。
開高健記念館で作家の生き様からパワーをもらおう
執筆活動の傍ら、世界中を旅し、茅ヶ崎での暮らしを楽しんだ作家、開高健。
エネルギーに溢れる生き様が、開高健記念館に詰まっています。
ぜひ、開高健記念館で作家の力強い言葉からパワーをもらい、新たな旅にでかけませんか。
神奈川の交通手段はレンタカーがおすすめ
開高健記念館へのアクセス
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【住所】 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南6‐6‐64
【営業時間】4月~9月 10:00~18:00(入館は17:30まで)
10月~3月 10:00~17:00(入館は16:30まで)【定休日】月~木
※金・土・日曜日の3日間と祝祭日のみ開館
※年末年始(12月29日~1月3日)は休館【料金】200円
開高記念館と茅ヶ崎ゆかりの人物館の2館共通券は300円【アクセス】
東海岸北5丁目バス停より約600m(辻堂駅南口行き 辻02系 辻13系)
コミュニティバス 東部循環市立病院線・松が丘コース15番バス停「開高健記念館」下車すぐ【駐車場】あり。8台(茅ヶ崎ゆかりの人物館と共有)
【問い合わせ(電話番号)】0467-87-0567
【公式サイト】https://www.kaiko.jp/%E9%96%8B%E9%AB%98%E5%81%A5%E8%A8%98%E5%BF%B5%E9%A4%A8/
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