琉球王国時代から続く武術の歴史を見て学ぶなら「沖縄空手会館」へ行こう!
豊見城市|【更新日】2024年7月23日

沖縄本島南部に位置し、那覇のすぐ隣にある豊見城市(とみぐすくし)は、マリンスポーツやショッピングなど様々な観光体験を楽しむことができる人気観光エリアです。
今回はその中でも、「沖縄の伝統文化に触れて学びたい!」という方におすすめの文化施設「沖縄空手会館」へ取材に行ってきました。
沖縄空手の始まりや、旅行の思い出作りにもおすすめしたい沖縄空手の鍛錬を体験できるコーナーなど、この施設ならではの楽しみ方をお伝えします。
目次
世界に誇る沖縄の伝統文化
沖縄空手のはじまり
“沖縄が空手発祥の地である”ということを発信するために建てられた施設。
沖縄の伝統文化のひとつ「沖縄空手」の歴史は、古い記録が18世紀あたりから断片的に残っているだけで、いつから始まり・どのようにして発展してきたのか、その詳細は謎が多いのだそう。
そのため、沖縄空手の誕生背景は現在でも調査中となっています。
ですが、沖縄に古くから伝わる「手(ティー)」という格闘術の歴史を辿ると、そこから沖縄空手の3系統が誕生したという記述があったため、ベースは手(ティー)ではないかと考えられています。
手(ティー)から派生した3系統は、首里手(シュイディー)、那覇手(ナーファディー)、泊手(トゥマイディー)、そして上地流の4つ。これらが、現在の沖縄空手の基盤となっています。
空手の源流「手(ティー)」は「士(サムレー)」という役人のための武術だった!
元々、手(ティー)は琉球王国時代の士(サムレー)という身分の役人が使う武術として誕生。そこから、平民そして地方に広がりました。
さらにその先で、独自の技術、中国や他国との交流の中で知り得た武術の影響を受け、沖縄空手の基礎が出来上がったとされています。
このように、様々な影響を受けながら先人たちから伝わり続けた沖縄空手は、現在193カ国の地域に広がり、世界中の空手愛好家はなんと約1億3千万人以上になりました。2020年には東京五輪で初めての競技種目となり、さらに多くの人々から注目されるように。ここ数年では、年間約7千人余りの国内外にいる空手家が来県しています。
沖縄空手会館ってどんな場所?
伝統的な空手の真髄を学び、伝える“沖縄空手の拠点”となる施設
沖縄空手を伝えた先人たちの教え。「空手に先手なし」という言葉がとても印象的でした。
沖縄空手会館は、2017年沖縄の本土復帰40周年を迎える記念事業の一つとして、豊見城市に建設。沖縄空手を独自の文化として、この先も保存・継承・発展させていくために、その発信の中心的存在として作られました。
そんな沖縄空手会館には、“沖縄が空手発祥の地である”ということを国内外へと広め、空手の真髄を学べる場所として6つの役割が与えられています。
それが、1.人格形成への寄与、2.空手発祥の地であることの発信、3.県内及び国内外の各流派間の交流、4.指導者・後継者の育成、5.空手の真髄の継承、6.本場沖縄での修行の促進です。
そのため、この施設では気軽に県外・国外から来た方でも道場を利用できるようにと、一般向けに開放しています。
大会・鍛錬で使われている施設を見学しよう!
空手のために作られたこだわりの道場
無垢素材ならではの肌触りの良さに感動!思わず寝転がりたくなりました。
最大収容人数は1000人と、その広さにも驚きですが道場の作りにも注目を。
空手は裸足で行なう競技ということもあり、練習するさい足裏に馴染み集中できるようにと、宮崎から取り寄せた赤松を無垢素材のまま使用。壁は赤松ではなく檜を使っているため、天気によっては檜の香りが道場内に漂います。
木材にもこだわり作った道場だからこそ、その素晴らしさに驚く人も少なくないんだとか。以前、長堂さんが案内された海外観光客の方は「自分の国にはこんな見事な道場はないよ!」と感動していたそうですが、確かに私自身も他の場所でこんなにも広く、立派な道場を見たことはないため、改めてこの施設の貴重さを実感しました。
実際、県外や国内外でもこれほどの広さとこだわりある道場は無く、あるのは沖縄空手会館だけ。
空手好きなら大興奮すること間違いなしです!
沖縄空手の鍛錬具も使える「鍛錬室」
突きの練習に使う巻藁。想像以上に硬く2~3回が限度でしたが、実際の鍛錬では何十回も突き続け拳を鍛えます。
道場と同じく一般開放されている鍛錬室には、空手家が稽古の時に使う5種類の鍛錬具と、サンドバッグなど様々な設備を設置しています。
どのように使うのか分からない鍛錬器具もあり、長堂さんに教えてもらいながら使ってみました。が、想像以上にヘビーな重さ。これを持って空手家の方々は日々鍛錬しているのかと思うと、尊敬の念を抱きます。
使われるのは「空手の日」のみ!特別道場「守禮之館(しゅれいのやかた)」
空手家にとって特別な場所だからこそ、此処での演武に憧れる人も多いそうです。
道場から少し離れた場所にあり、年に1回しか使われない特別道場「守禮之館(しゅれいのやかた)」も空手好きには外せないスポットのひとつ。
ここは、10月25日「空手の日」に沖縄県指定無形文化財「沖縄の空手・古武術」保持者の先生方など、選ばれた人のみ演武を許されている場所です。
そのため、その日以外では扉は閉じられていますが、稀に清掃や風通しの為に開けている日もあるので、タイミングが合えば中を見ることができます。
ですが、稀に清掃や風通しのために扉を開けている日もあるそうなので、タイミングが合えば中を見る事ができますよ。
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沖縄空手会館資料室で歴史と鍛錬器具に触れてみよう!
沖縄空手に関する古い資料がズラリ
外部公開されていない物など、貴重な資料が多く展示されていました。
「沖縄空手会館資料室」では、空手の発展に貢献した偉人達の記録、沖縄空手・古武術の稽古時に使われた鍛錬具や武具、現代の沖縄空手に関する資料が展示されていました。
記録が記され始めた18世紀頃から、現代までの資料をまとめて見ることができるのは、ここ沖縄空手会館資料室のみ。沖縄空手の知識をもっと深めたいという方にはピッタリな場所です。
沖縄空手の鍛錬を体験してみよう
5キロなら楽勝!と思いましたが私は即降参…。力に自信のある方は是非試してくださいね。
資料室の一角にある体験コーナーでは、実際に空手家が鍛錬の際に使っていた道具に触れることができます。
写真に映っている「鉄下駄」は、鍛錬道具のひとつで片足の重さは約5キロもありました。
実際に重さを体験するため履いてみましたが、片方づつあげるので精一杯…。何度も上げ下げすることはできず、終わった後には足がプルプルと震えるほどでした。
しかし、昔の人はこの鉄下駄を履いて歩き、蹴りの練習をしていたんだとか。なかでも驚いたのは、この鉄下駄を履いて、首里から那覇まで約4キロの道のりを歩いていたということ。こうやって錘をつけ歩くことで、足腰を鍛えていたそうです。
この他にも、空手の基本である「突き」に挑戦したり、「カーミ」という鍛錬具を持ち上げる体験コーナーもあるので、どのぐらい重いのか?実際に体験してみてくださいね。
また、映像シアター室では、170センチのスクリーンで沖縄空手の歴史や特徴、沖縄空手の演武など沖縄空手会館限定の映像を観ることもできるので、要チェックです。
Karate Cafe AGARI で一休み
自家製麺を使った「空手そば」
地元の子ども達もたまにお昼ご飯として食べに来る、人気メニュー!
地元でちょっとした人気がある沖縄そば、その名も「空手そば」。麺は、カフェ内の厨房で作られている自家製麺を使用し、空手と同じく「コシが命」。歯応えのある麺は、噛めば噛むほど小麦の甘さが口の中に広がります。
またトッピングにもこだわっており、昆布には黒帯になれるようにという意味が込められています。麺もトッピングも空手にちなんだこだわりの空手そばは、空手好き必食の一品です。
空手そばの他にも、タコライスなど沖縄のソウルフードも◎知識欲を満たしたあとは「Karate Cafe AGARI(からてかふぇあがり)」で、お腹を満たしてはいかがでしょうか。
沖縄空手の歴史も学んだ後は、限定土産をGET!
琉球紅型まもり、Tシャツ、バッグなど種類豊富!
空手着をきたちょっとやんちゃそうな表情のシーサーが可愛いですね♡
空手着を着たペアシーサーマグネットは、沖縄空手会館限定商品。沖縄の砂で作られていること、そしてその愛らしい表情もあってかお土産の中でも人気です。
その他にも、琉球紅型まもり、空手着モチーフのTシャツ、普段使いにも便利なエコバッグやランチバッグなど、とにかくお土産の種類が豊富。
空手好きへのプレゼントや、一味違うクールな沖縄土産を探している方は是非チェックしてみてくださいね。
大好きな沖縄の文化に触れたい、学びたい!そんな時は、沖縄空手の歴史が学べ、実際に目で見て体験できる沖縄空手会館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
沖縄空手会館へのアクセス・基本情報
【住所】沖縄県豊見城市豊見城854-1
【問い合わせ(電話番号)】098-851-1025
【営業時間】道場施設:9時〜21時/展示施設:9時〜18時(入室は17時30分まで)
【休館日】毎週水曜日(12月30日~1月3日)
【駐車場】100台(無料)
【公式サイト】https://karatekaikan.jp/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/okinawakaratekaikan/