山城まんじゅう|庶民から琉球国王まで親しんだ、1世紀半もの間守られ続ける首里名物
那覇市|【更新日】2024年5月10日

沖縄を旅するなら、地元で古くから食されてきた銘菓を味わっておきたいものですよね。
そんな方にぜひおすすめしたいのが、“那覇三大まんじゅう”と称され、庶民に親しまれている「ぎぼまんじゅう(のーまんじゅう)」、「山城まんじゅう」、「天妃前まんじゅう」。
今回は、御三家のひとつ、沖縄県那覇市にある老舗饅頭屋「山城(やまぐすく)まんじゅう」へ。約160年の歴史を持つ名物まんじゅうをご紹介します。
目次
首里さんぽを楽しみながら、ちょっと寄り道
城下町の坂道に静かに佇む小さなお店
看板を目印に、建物の奥へ進むとお店があります
首里城公園の城下のメインストリート・龍潭(りゅうたん)通り沿いに店を構える、「山城(やまぐすく)まんじゅう」。
沖縄都市モノレール「ゆいレール」を利用する場合は、「儀保」駅または「首里」駅で降りて、徒歩で15分ほど。レンタカーで向かう場合は、店舗の専用駐車場はありませんので、周辺にいくつかあるコインパーキングに車を停めるといいですよ♪
近所の常連さんに倣って、気軽に扉を開けて中へ♪
琉球王朝末期に創業し、琉球王国最後の王である尚泰(しょうたい)も食したという「山城まんじゅう」。
山城家本家が立ち上げたこの店は、第二次世界大戦で資料が全て消失してしまったため、実は正確な創業年が不明です。
また、3代目店主の姪にあたる4代目店主が体調を崩してしまった最中、店舗前の県道の拡張工事も重なったことから、2003年からは一時休業した時期もあったそう。
その後、復活を熱望する地域住民たちの声に応える形で、山城秀廣・富士子さん夫妻が2008年に店を再開。現在は5代目店主の息子・秀史さんから、妻の杏奈さんへ6代目を託され…と、多くの人たちの愛情と努力によってバトンがつながり、昔ながらの味が守られているのです。
6代目らしいエッセンスが加わった店舗カウンター
店内は、昭和の駄菓子屋さんのような雰囲気
扉を開けると、秀史さんの好きなレトロなアメリカン雑貨が目に飛び込んできて、ふふっと笑みがこぼれます。
この日も、ここでしか手に入らないまんじゅうを目当てに、10時30分に開店するやいなや、近所のマダムや紳士が続々と訪ねてきましたよ。
大抵14時〜15時には売り切れてしまうので、食べ逃さないように気をつけて。
持ってたら沖縄ツウ確定⁉︎かわいいステッカーを発見
当日限りのお楽しみとして味わえるおまんじゅうとは別に、旅の思い出にオリジナルのステッカーを持ち帰るのもいいですね♪
月桃の香りが立ち込める作業場に潜入!
人のぬくもりあふれる菓子は、こうしてつくられる
特別に作業風景をのぞかせていただきました
「山城まんじゅう」は、創業当時から変わらず全てが手作業で、毎回約250個を製造。9時ごろから仕込みを始め、一つひとつ心を込めて餡を包み、成形していきます。
小麦粉と水でこねた成形前の生地は、見るからに繊細
まんじゅうの皮の原料は、小麦粉と水のみ。作業台の上に、成形前の生地がとろ〜っと流れる様子を見ただけで、その柔らかさが伝わってきます。
皮の厚さは約1~3ミリ、直径が約10センチ
平らに伸ばしてまぁるくする時も、やさしく、やさしく。
山城さんの慣れた手つきは、まるで琉球舞踊の舞いのように軽やかで、言葉を忘れて魅入ってしまいましたよ。
本当に包める?というぐらい、たっぷりと置かれた餡
自家製のあんこは、あずき、水あめ、砂糖をぐつぐつ煮詰めた粒あん&こしあんの2種類を合わせたもの。子どもも大人も食べやすい、甘さ控えめな味わいになっています。
綺麗に敷き詰め、いよいよ蒸しの工程へ
サンニン(月桃)の葉を敷いたひとつの「ヒラセーマー(バーキ。饅頭を蒸す竹皿のこと)」に、45〜46枚のまんじゅうが綺麗に整列。
ヒラセーマーは、沖縄北部の職人さんがつくっているのだそうですよ。
蒸し上がりの瞬間を目撃!
蒸気をまとった朝一番のまんじゅうがお目見え
山城さんが「僕よりも前から頑張っている」と話す鍋窯
真っ白なおまんじゅうをヒラセーマーごと大きな鍋窯に入れたら、いよいよ蒸しの工程へ。工房内には、熱気と月桃の香りが充満してきて、期待は高まる一方…♪
24分間蒸し上げたら、ぶわぁっと広がる湯気とともに、つやつやのまんじゅうたちが姿を現しました。
ここからは時間との勝負!
蒸しあがったまんじゅうは、乾燥や硬くなるのを防ぐために、すぐにカーサ(月桃の葉っぱ)で包んでいきます。
夏場などは汗だくになりながら、黙々と集中して大事な工程をこなします。
ちなみにこのカーサは、店舗の定休日にあたる毎週一回は沖縄中部にある畑まで、なんと800枚を収穫に行っているといいます。
現地に来ないと出合えない特別な美味しさを体感して
あったか出来たてを味わう瞬間は、何にも変えがたい貴重な体験に
艶めく薄皮から餡子が透けて見えるのが特徴的
しっとりとつややかなアチコーコー(熱々)のまんじゅうは、格別のおいしさ。
蒸したてを狙うには、やはり10時30分のオープン直後に来店するといいでしょう。
または、1個からでも予約OKなので、事前に電話をしておけば、できる限り出来たてに近い状態で準備してくれるのが嬉しいですね。
薄皮の中にぎっしり密度で餡が詰まっています
「あちち…」と言いながら頬張るのは、その時、現地でしか味わえない楽しみ♪
手にしたおまんじゅうを口元に近づけるだけで、サンニンの豊かな香りに魅了され、もう一度目を閉じて思いっきり吸い込みたくなるはず。
ひと噛みすれば、芳しく上品な餡の美味しさに、ほぅっとため息を漏らしてしまうことでしょう…♡
手提げビニール袋と包装紙も味があって◎
手づくりの「山城まんじゅう」は、無添加ゆえに、その日つくった分を当日中に味わうのが鉄則です。例えば店舗で購入後、首里城公園内にある「首里杜館(すいむいかん)」前の芝生広場などで、温かいうちにおやつタイムを楽しむのもいいですね。
持ち帰りの場合にも、滞在先にレンジが備わっているのであれば、水を軽くかけてラップに包んでレンジで20〜30秒温めると美味しさがアップするので試してみてくださいね。
伝統を守りながらも新しい試みも。次の100年へ…
今後も末長く残ってほしいと願わずにはいられない名品
2021年には、那覇市市制施行100周年を記念して選定された「那覇市長賞100周年特別賞」も受賞している「山城まんじゅう」。これからも県内外の多くのファンに愛されていくことでしょう。
さらに、「沖縄にいる時しか食べられないなんてさみしい…」という貴方にも朗報です。2022年からは、蒸し上がり直後に真空パックした冷凍まんじゅうの全国発送も受け付けていますよ。公式サイトまたはLINEから注文できるので、旅先で食べたあの味が恋しくなったら、取り寄せしてみてはいかがでしょうか♪
「山城(やまぐすく)まんじゅう」へのアクセス・基本情報
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【住所】沖縄県那覇市首里真和志町1丁目58
【問い合わせ(電話番号)】098-884-2343
【営業時間】10時30分~16時(売り切れ次第終了)
【定休日】月・木曜
【駐車場】なし ※周辺にコインパーキングあり
【公式サイト】https://yamagusuku.okinawa/
※現在公式サイトリニューアル中の為ご覧いただけません。お問い合わせはLINEにてお願いします。
【公式Instagram】@yamagusuku_manjyu
【公式LINE】@887iocvw
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。