チョウザメ専門店「Sensa-Banbetsu 千差万別」で新たな食文化と出会う
函南町|【更新日】2024年5月9日
今回伺ったレストラン「Sensa-Banbetsu 千差万別」。なんと、チョウザメ料理の専門店です。
一般的にあまり馴染みのない食材でもあり、“サメ”って臭いのでは?とためらってしまう気持ち、とても良くわかります。
でも実際に行ってみると概念が一変します。まだ見たことのない新しい世界へ、足を踏み入れてみましょう!
目次
チョウザメについて知っていますか?
誤解されがち!サメではないのです

店内にあるチョウザメの模型
まず誤解してはダメなのが、チョウザメはサメではないこと!“サメ”と名が付いているので誤解されがちですが、古代魚に分類される淡水魚なのです。
ウロコの形が蝶々のように見えること、全体的にサメに似た見た目であることから「チョウザメ」と呼ばれています。
実は海外ではメジャーな食材

さまざまな種類のチョウザメがいます
だからサメの身=アンモニア臭がするという懸念もそもそもの間違い。チョウザメはサメと違ってアンモニアを分解できる腎臓を持っているので、臭みがないのです。
日本ではまだまだ馴染みのない食材ですが、海外の特にヨーロッパでは良く食べられているメジャーな食材なのです。
静岡県函南町でチョウザメ専門店をオープン
キャビア以外は捨てられている現状を変えたい!

チョウザメ専門店「Sensa-Banbetsu 千差万別」の外観
高級食材として知られるキャビアはチョウザメの卵ですが、卵だけが重宝され、本体である身の多くが捨てられてしまっています。
その現状を疑問に思ったのが、日本の名店やイタリアで修行を積んだ後、表参道のキャビア専門店や埼玉のチョウザメ専門店でシェフを務めていた舘野 毅(たての つよし)シェフです。
チョウザメの身が捨てられてしまっている現状を変え、魅力を多くの人に広めていきたいとの想いからチョウザメ専門店「Sensa-Banbetsu 千差万別」をオープンしました。
もともとこの地域で養殖されていたチョウザメ

函南町で養殖されているチョウザメ
「Sensa-Banbetsu 千差万別」があるのは、伊豆半島のちょうど付け根の位置にある函南町です。店がオープンする前から、函南町ではチョウザメの養殖が行われていました。
当時、埼玉県のチョウザメ専門店にいた舘野シェフのもとに、函南町で養殖したチョウザメの良し悪しを判断してほしいと、函南ちょうざめ企業組合の方々がチョウザメを持ってきたそうです。
函南町のチョウザメがおいしい理由は?

店内のカトラリー置きもチョウザメ!
舘野シェフも捌いてみてびっくり。さらに味見をしてみてびっくり!非常に上質なチョウザメだったそうです。
その理由はチョウザメが飼育される環境にあります。函南町のチョウザメは、町のきれいな湧水の中で育ちます。
また、その湧水を掛け流しで使っているのもポイント。チョウザメは、本来寒いところに棲んでいる魚です。一年を通して低水温な湧水のおかげで、上質な身が作られるのです。
養殖場にもお邪魔させていただきました

養殖場に流れるきれいな湧水は、触ってみるととても冷たかったです
チョウザメを育てている養殖場にもお邪魔させていただきました。ここでは5種類のチョウザメを育てているそうです。
卵を取ってキャビアも作りますが、ここのチョウザメは身まで食用とすることが目標です。舘野シェフや函南ちょうざめ企業組合の皆さんによって、大切に育てられています。
チョウザメ尽くしのコース料理を提供
実際にランチコースをいただいてきました!

店内にはカウンター席が6席のみ。舘野シェフとの会話を楽しみながら食事ができます
店は完全予約制です。ランチは3,300円または5,500円、ディナーは5,500円または11,000円の月替りのコースのみで営業しています。今回は3,300円のコースをいただきました。
舘野シェフはあえてコック服を着て調理をしません。おいしいものをあまりかしこまらずに食べて欲しいという想いからです。
前菜でチョウザメと初対面!変幻自在の驚きの味わい

一口食べてびっくり!チョウザメってこんなにおいしいんだ!
料理はイタリアンをベースにして提供されます。まずは前菜から。
この日は写真上から時計回りに、チョウザメのマリネ、チョウザメスモーク、函南産キャビアが乗ったチョウザメカルパッチョ、チョウザメのエスカベッシュです。
最初にカルパッチョを食べてびっくり!上品な脂の甘さが口いっぱいに広がります。チョウザメっておいしい!
マリネのチョウザメはさっぱりしつつもねっとりとした旨みがあったりと、同じチョウザメでも変幻自在の味わいです。
あえてチョウザメを使用していないパスタ

地産地消も目指したレストラン。静岡の美味しい食材がたっぷり使用されています
二品目は天城黒豚の煮込みパスタと、名産の丹那牛乳を使った自家製ミルクパンです。どのコースにも一品だけはチョウザメを使用していない料理が入るそうです。
店のもう一つの特徴が、地元食材をふんだんに使っていることです。海と山に囲まれた静岡は食材の宝庫。旬の食材をたっぷりと詰め込んであります。
数々の名店で経験を積んだ舘野シェフが腕によりをかけてつくった料理はどれも絶品!この味を求めて、都内から足しげく通う常連さんも多いそう。納得のおいしさです。
変化に仰天!メインのチョウザメ料理

パサつきを一切感じないチョウザメの身のやわらかさ!
メインはチョウザメのクリーム煮込みです。この日は伊豆の国ブランドであるろっぽう野菜が一緒に煮込まれていました。
前菜と同じ魚とは思えないほど、全く異なる味わいに驚きます。
これはチョウザメの使用部位によって最適な調理法で料理されているから。同じチョウザメでこれほどにも味の変化が楽しめることも驚きでした。
デザートまで付いてお腹も心も大満足!

この満足度でこの価格。きっと都内ではあり得ないことでしょう
最後にデザートが付きます。この日は静岡抹茶を使ったティラミスでした。ほろ苦い丹那産のほうじ茶との相性も抜群です。
どこまでも地産地消にこだわったメニューの数々なので、県外から来る観光客の方も嬉しいはずです。
舘野シェフの今後の目標とは?

県産食材を活用した料理の提供を通じて、その素晴らしさを伝える「ふじのくに食の都づくり仕事人」にも認定
最後に、舘野シェフに今後の目標を聞いてみました。
「チョウザメの身が日本の食文化の一つとしてスーパーマーケットに並び、自宅でも気軽に食べられるようになることが最終目標です。
そのために、エラ以外捨てることがない魚として函南町の小学校でSDGsを兼ねた講義を行うなど、地域と連携しながらさまざまな活動に取り組んでいます」
舘野シェフの描く目標は、きっと遠い未来ではないと思えるようなおいしさでした。
静岡県の新名物となるチョウザメに出会いに行こう
函南町で育てられたチョウザメと、安全・安心な地産地消食材のマリアージュ、絶品でした。
二回目以降の来店の際は、予約時に希望に沿ってメニューを決定していくそうなので、通えば通うほど新たな発見があるはずです。
静岡の新名物チョウザメをいただきに「Sensa-Banbetsu 千差万別」へ行ってみてくださいね。
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Sensa-Banbetsu 千差万別へのアクセス
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【住所】 静岡県田方郡函南町上沢700-14
【駐車場】 あり
【営業時間】 お持ち帰り 11:00 ~ 17:30/ランチ 11:30 ~ 15:00(14:00 L.O)/ディナー 17:30 ~ 22:00(21:00 L.O)
【定休日】 不定休
【公式サイト】 https://kannami-chozame.com/sensa-banbetsu/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
