ペーチン屋|100年近く変わらない「天妃前(てんぴぬめー)まんじゅう」を味わえる老舗店
那覇市|【更新日】2024年5月15日

はむっと頬張ると、ほっこり温かい気持ちになる、おまんじゅう。旅先で出合う名物まんじゅうは、多くの人に選ばれる定番土産となっています。
ここ、沖縄県那覇市(なはし)には、庶民に古くから親しまれている“三大まんじゅう”と呼ばれるおやつがあります。
今回ご紹介したいのが、その“那覇三大まんじゅう”のひとつに数えられる「天妃前(てんぴぬめー)まんじゅう」。
現在では販売する店がほとんどなく、他では滅多にお目にかかれないと言われている貴重なまんじゅうを求めて、老舗の「ペーチン屋」を訪ねてきました!
目次
曾祖母が創業。地域に根差し歴史を重ねてきた菓子店
那覇の定番手土産として広がった名物まんじゅう
市内観光にも便利な立地
那覇空港から店までは、車で約15分の近さ。沖縄都市モノレール・ゆいレールの「旭橋」または「県庁前」駅から徒歩で十数分の場所に、「ペーチン屋」は佇みます。
店主の新城(しんじょう)さんの曾祖母から、4代に渡って受け継がれている「天妃前(天妃の前てんぴぬめー)まんじゅう」。その起源は戦前にまで遡ります。
かつて、那覇市久米(なはし・くめ)には天妃宮(てんぴぐう)という航海安全を祈願するお宮があり、その周辺で栄えた市場にはいくつもの饅頭屋さんがあったのだそう。
それらの店で売られていた饅頭を総称したのが、いつからか「天妃前(天妃の前=テンピぬメー)まんじゅう」と呼ばれるようになり、今日まで残っているのだと言います。
創業100年近くになる「ペーチン屋」は、「うちの母も祖母も、てーげー(沖縄方言で「適当」)な人だったので(笑)。私が幼稚園の頃に『75年ぐらいじゃないかねぇ?』という感じで、はっきりとした記録が残っていないんです」と笑う、新城さん。
なんとも沖縄らしいエピソードに、クスッとしてしまいますね♪
“街のお菓子屋さん”な雰囲気を醸す、身近な存在
中に入ってみると、商品が並ぶカウンターのほかに、「お客さんとの触れ合いも大切にしたい」との想いから、イートインスペースも設けられています。
お土産を買うついでに、ウチナーンチュ(沖縄の人)の休憩タイム「十時茶(じゅうじちゃー)」や「三時茶(さんじちゃー)」に、店内でちょっとおやつを食べに寄っていくのもいいですね♪
時代を超えて地元で愛される2つの看板商品
初めての方は新鮮で驚く!ユニークな形と食感♪
冷めても硬くならずに美味しい「天妃前(てんぴぬめー)まんじゅう」は、曾祖母→祖母→母→娘(新城さん)によって、代々変わらぬ材料で一つひとつ手づくり。
小麦粉でつくられる皮の中に、大麦を焙煎して粉にした「はったい粉(麦こがし)」、三温糖、黒糖を練った餡が丁寧に包み込まれています。
サンニンカーサ(月桃)の葉にのせられたまんじゅうを手に持つと、弾力のある皮がふるふる揺れ動き、口に入れるまでどんな味なのか想像がつかずに、ワクワク♪
ひとくち噛めば、つるぷるっと滑らかな食感とともに、鼻に抜ける月桃独特の甘くスパイシーな香りがふわり。餡もあっさり奥ゆかしい甘さで、何個でも手がのびてしまいそうになりますよ。
ちなみに、つくり手によって味が変わってくるそうで、「ひぃおばぁちゃんのまんじゅうは、今よりもほんの少しだけ皮が厚め」だったとのこと。
「初期は饅頭とカーサを交互に重ねて一気に蒸していたので、下に置かれたものほどタッペーラー(平ら)でした。母の代からは1つずつ並べて蒸してつくっているので、常連さんには「だいぶ上品になったね」と言われたり(笑)。また、昔からの馴染みのお客さまの中には、小さい頃は親に『天妃前(てんぴぬめー)みたいに、たっぴらかすよ!(ぺちゃんこにするよ)』と叱られていたという思い出話をされる方もいらっしゃいましたね(笑)」と、老舗ならではのエピソードも教えてもらいました♪
週3回味わえる「くずもち」は、郷愁を誘うおばぁの味
2代目のおばぁさまが大得意だったという「くずもち」
「くずもち」は、沖縄のいもくず(サツマイモから作ったデンプン)と黒糖をふんだんに使った自慢の品で、火・水・金曜日のみ販売。
国産のきな粉は、大豆本来の風味をしっかり感じられるものを厳選し、たっぷりかけて提供してくれますよ。こちらは、当日中に味わうようにしてくださいね。
ひとくちサイズのくずもちを口に入れると、もっちりとコシのある噛みごたえが、何とも言えない心地よさ。後から追いかけてくる黒糖の甘い余韻に、ほっと心が和みます。
その場でも持ち帰りでも、気さくに迎え入れてくれる♪
1個だけでも気兼ねなく買えるのが嬉しい♡
プチサイズの2種が入った「お試しパック」も好評
毎回当日分のみを15時まで製造する「天妃前(てんぴぬめー)まんじゅう」は、店頭で個包装または5個入りセットの購入が可能です。
売り切れ次第で閉店となりますが、実は電話注文しておけば1個からでも気軽に購入できますよ。
保存料不使用となっているまんじゅうの賞味期限は、涼しい場所や冷蔵庫に保存して翌日まで。お土産にする際は旅の最終日に買って帰るのがいいでしょう。
夏場は、冷蔵庫に保存してヒンヤリした状態で食べても良し。肌寒い季節には、フライパンで少し焦げ目をつける程度に温めても良し…と、温冷両方とも美味しく頂けるので、機会があればぜひお試しを♪
地元の人たちは、定期的に決まったメンバーで集まる模合(もあい)、清明祭(しーみー)やお盆などの行事などに大量買いしていくことも。多い時には300個出る時もあるのだとか!
散策途中にふらっと。コーヒー or ティーブレイクはいかが?
店内限定のセットメニューのドリンクは、抹茶入り玄米茶、紅茶、コーヒーからチョイスOK。
最近は沖縄ツウな観光客も増えてきており、イートインでのユンタク(おしゃべり)も楽しみのひとつとして来られる方もいらっしゃるそうですよ。
出合えたらラッキー⁉︎な限定モノも
季節のレアメニューは、仕込みに余裕のある時だけ登場
夏は、ふわふわの氷をこんもり盛り付けた「かき氷」や「ぜんざい」で涼んでいけることも。
健康、無病息災を願う「ムーチーの日(旧暦の12月8日)」に合わせて、ムーチーをつくることもあるそうなので、タイミングが合えば味わってみたいものですね。
実家に帰るように、定期的に訪れたい癒しの店
一度訪れれば、店主家族の笑顔にまた会いたくなるはず
「ここを訪れた方に元気になっていただければいいなぁって。私たちにとっても、お客さまと会話する時間が、『まだまだ頑張ろう!』というモチベーションにつながっているんです。『ペーチン屋』を慕ってくださる皆さんに支えられながら、一日一日、気がついたらこの年数が経っているような感じですね。次の世代の子どもたちがまた繋いでいってくれるかもしれませんが、今のところ私が80歳までは頑張るつもりです(笑)」と、やさしい眼差しで話してくれた新城さん。
つるん♪ぷるん♪とした意外な食感が楽しい「天妃前(てんぴぬめー)まんじゅう」と、人のあたたかさにも触れられる「ペーチン屋」。
きっと、これから先も長きにわたって愛され続けていくに違いありません。
「ペーチン屋」へのアクセス・基本情報
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【住所】沖縄県那覇市泉崎2-10-14
【問い合わせ(電話番号)】098-832-0912 ※電話で1個〜注文&取り置き可
【営業時間】9時~15時(15時以降売り切れ次第終了)
【定休日】木・日曜、祝祭日 ※臨時休業の際はHPまたはSNSでお知らせいたします。
【駐車場】なし ※周辺にコインパーキングあり
【公式サイト】https://peechin.on.omisenomikata.jp/
【公式SNS】Instagram:@peechinya
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。