お寺の境内にミュージアム!? ペリー来航の舞台「了仙寺」で学ぶ新・幕末史
下田市|【更新日】2023年12月7日

下田といえば黒船ですが、そのペリー一行と最もゆかりの深い場所が了仙寺です。
彼らの拠点であったお寺には貴重な資料が数多く残されており、それらを黒船ミュージアムで展示しています。そこで発見できるのはこれまでとは真逆の黒船像。
今回は、新しい幕末史を発信する名刹・了仙寺をご紹介します。
目次
ペリーロードの終点にある了仙寺
入り口の大きな看板が目印
了仙寺の入り口には大きな看板があり、その奥に駐車場があります。
了仙寺はペリーロードの終点にあたりますが、写真左の道は国道117号線です。ペリーロードから続く参道は、この駐車場から境内を抜けた反対側にあります。
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駐車場にはお土産物店とコーヒースタンドが
広めの駐車場にはお土産物屋さんが並びます。天然石やパワーストーンなどのご利益グッズや、コーヒー、ソフトクリームなどの軽食が販売されています。
駐車場には他にコーヒースタンドもあるので、ひと休みを兼ねてお土産探しに立ち寄るのもいいかもしれませんね。
境内の隣にはなんとミュージアムが
売店の奥はそのまま境内へと繋がっていて、進んでみると何やらお寺らしからぬ建物が見えます。
こちらが境内に併設された「MoBS 黒船ミュージアム」。ペリー関連の貴重な資料が展示されています。ミュージアムは後ほど詳しくレポートします。
緑が美しく映える南国、下田の名刹「了仙寺」
ペリーロードとは了仙寺の参道だった
こちらは駐車場側の反対にある入り口、了仙寺の参道から続く門です。ペリー一行は毎朝、下船して下田港から了仙寺に向かいました。
観光スポットとして人気のペリーロードはもともと了仙寺の参道だったもので、参道にしてペリーロードの終点というわけです。
江戸幕府直轄の天領寺院
こちらが了仙寺の本堂。了仙寺は幕府直轄の寺院で、江戸時代には奉行所が置いてありました。
蛇行する黒潮の影響で、江戸湾に入るためには必ず下田を経由する必要があったためです。
ペリー来航以前から交通の要所だったのが下田で、了仙寺は天領として扱われていました。
南国風の植物に囲まれる純和風寺院
本堂を斜めから撮った一枚。南国風の樹木と和風建築が面白いですね。ご覧の通り了仙寺の境内は緑が美しく、中を歩くだけでも癒されます。
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了仙寺・松井住職が語る新しい幕末史
ペリー一行が交渉の場として使った本堂
こちらが了仙寺の本堂。立派な純和風のお寺ですが、ここをペリーたちが使っていたと思うと不思議な気持ちになります。
日蓮宗のお寺らしく、鴨居には日蓮聖人の一生が絵物語として掲げられています。ここで松井大英住職に了仙寺とペリーについてお話が聞けたので、ご紹介します。
そもそもペリーの目的はクジラだった?
そもそもペリー一行は開国が目的ではなく、開港を求めていたそうです。捕鯨船の基地が欲しかったペリーは下田を漁の拠点にしたく、幕府に迫ったのは開港でした。
その交渉の応接場として選ばれたのが了仙寺だったそう。上の写真は了仙寺で訓練をするペリー一行の図です。
幕末・下田の歴史をSNSでも発信中
威圧的に描かれがちなペリー一行ですが、了仙寺ではイメージを覆すような資料に出会えます。
松井住職はペリー一行の本当の姿をスライドショー付きの法話として来訪者に届けていて、この法話が大人気で年間170件ほどの依頼があるそうです。
SNSでも積極的に発信しているので、訪れる前にチェックしてみてはいかがでしょうか。
日本有数の幕末コレクション「MoBS 黒船ミュージアム」
数千点に及ぶ資料から選りすぐりを展示
了仙寺で見逃せないのが「MoBS 黒船ミュージアム」。お寺が所蔵していた資料のほか、海外の資料なども集めて多角的にペリーと開国の歴史を紐解いています。
住職が30年かけて収集した資料の数は文書で2800点、画像では4000点にも及びます。その中から選りすぐりのものを展示しているミュージアムです。
テーマは日本と外国、それぞれの視点
ミュージアムの入場には、大人500円、小中高生250円の入場料が必要です。
「日本人が見た外国、外国人が見た日本」をテーマにして、国内外の日本の幕末期の資料を集めています。
館内にはシアター、展示室、ミュージアムショップがあります。
のんびり顔のペリーはフォトスポット
ミュージアム入り口にある記念フォトスポットには、大きなペリーの似顔絵が飾ってあります。
これは浮世絵師・歌川国信によって描かれたペリーの肉筆浮世絵です。随分とのんびりした顔に見えますね。
威圧的に描かれるペリーですが、実際の姿はそうではなかったようです。
ミュージアムショップは充実の品揃え
入り口から入ったところにあるミュージアムショップには、壁一面にポストカードや文具品、書籍や小物など土産品がぎっしり!下田土産にもよさそうです。
ちなみにミュージアムは有料ですが、ショップの方は無料で入館できます。ではいよいよミュージアムの中へ。
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絵巻物や風刺画が語る新しい幕末史
1階ではオリジナル映画を上映
こちらはミュージアムの2階展示室。1階にはシアターがあり下田開国物語として、オリジナル映画を上映しています。
了仙寺の提案する新しい幕末史を効率よく学ぶことができるので、まずは映画を見るのがおすすめです。
当時の日本を描いた風刺画・ポンチ絵
これは1862年、横浜で発行された居留外国人向け雑誌「ジャパンパンチ」です。
本家イギリスに「パンチ」という風刺漫画雑誌があり、その日本版といったところでしょうか。
日本で風刺画を指して言う「ポンチ絵」とはこの「パンチ」が語源なんだそうです。
幕末・開国期のインターナショナルな珍品の展示
こちらは珍しい下駄スケート。1906年に長野県下諏訪で発明されたそうです。上の絵にはスケートを楽しむ外国人を描いた絵があります。
日米和親条約から約50年後のことですが、もうすでに日本の各地に外国人がいたことがわかりますね。
悲運の女性・唐人お吉の遺品も
アメリカ領事タウンゼント・ハリスのお付きの人として選ばれ、悲運の最後を迎えた唐人お吉の遺品もありました。
ちなみにお吉とハリスの物語は「黒船」というハリウッド映画になっているので、興味のある方は見てみるといいでしょう。
ジョン・ウェインを主演に、伊豆で大規模ロケを敢行した大作映画です。
交渉の舞台で学ぶ新しい幕末史
ペリーゆかりのお寺として有名な了仙寺ですが、博物館も顔負けのミュージアムや住職自ら語る「下田開国物語」も聞けて、新しい幕末史を知る上では見逃せない寺院です。
歴史好きなら絶対におすすめしたい下田の観光スポットです。
了仙寺へのアクセス
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【住所】静岡県下田市七軒町3-12-12
【電話】0558-22-0657
【駐車場】5台
【ミュージアム入館料】大人500円、子ども250円
【ミュージアム開館時間】8:30〜17:00
【公式HP】https://ryosenji.net
※掲載時の情報となります。最新の情報は公式ホームページでご確認ください。