美に触れ、心が豊かになる空間。掛川「資生堂アートハウス・資生堂企業資料館」
掛川市|【更新日】2023年12月13日
東海道新幹線に乗っていて、掛川駅付近で気になる建物やオブジェを見かけたことはありませんか?実はこちら、資生堂アートハウスとその屋外展示作品。
今回は資生堂アートハウスと資生堂企業資料館の展示など、施設の魅力についてご紹介いたします。
目次
新幹線の車窓から鑑賞できるアート
線路のすぐ南に位置するアートな別世界
資生堂アートハウス・資生堂企業資料館は掛川駅から西へ1.6kmほど、新幹線線路のすぐ南側に立地します。
資生堂掛川工場に隣接し、アートハウスは1978年、企業資料館は1992年に開設されました。
写真はアートハウスの曲面ガラスの窓。外側のミラーに新幹線が美しく映るよう設計されています。
ゆるやかに回転する「5月のリング」
新幹線の車窓から見える「5月のリング」は、伊藤隆道氏が1978年に製作した作品。
太陽の光にキラキラ輝きながら、ゆっくり回転します。
ステンレスでできているのですが、曲線的な形と滑らかな動きによって柔らかい物体のように見えてくるから不思議。時を忘れて見入ってしまいました。
“文化で生活を彩り、美しさによって暮らしを豊かに”
資生堂では“文化で生活を彩り、美しさによって暮らしを豊かに”という考えのもと、文化芸術支援活動を行なっています。
アートハウスは1978年の開設後、美術館としての機能を高めるため2002年にリニューアルされました。
近・現代の優れた芸術品を収集・保存し、一般公開をしているのですが、入館料は無料。文化芸術を通して地域貢献したいという思いを感じます。
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資生堂アートハウスで芸術に包まれる
谷口吉生氏、高宮眞介氏設計の建物
こちらはアートハウスの2階から1階の常設展示室を見下ろしている様子。
円筒と立方体を組み合わせた形の建物内部では、なだらかなスロープによって1階と2階が繋がっています。
建物を設計したのは谷口吉生氏と高宮眞介氏。後にニューヨーク近代美術館新館を設計した谷口氏のデビュー作品といわれる建物で、1979年度の日本建築学会賞(作品)を受賞しました。
自然と調和するモダンな建物
アートハウスはとてもモダンな建物なのですが、芝生と見事に調和し、心安らぐ空間になっています。
開館時には周りの通路を散策することができますので、ぜひ外観も鑑賞してみてくださいね。芝生には立ち入ることができませんので、ご注意ください。
ゆっくりとアート空間を楽しむ
一面のガラス越しの緑に囲まれた常設展示室。
展示を鑑賞した後は、建築家で家具デザイナーのマルセル・ブロイヤーがデザインした椅子にゆったりと座って、光が差し込む空間を楽しむことができます。
企画展「工藝を我らに」
取材にうかがった日は、企画展「第二次 工藝を我らに 第四回展」を開催中。
こちらの開催期間は2023年7月27日から10月29日で、残念ながら既に終了してしまっているのですが、お茶やお酒、食事を楽しむための美しい道具類が展示されていました。
会場には、陶藝や漆藝、金工、ガラス工藝などの器や茶道具、お盆などが並びます。
作品を一つずつ展示するのではなく、テーマごとにいくつかを組み合わせて展示し、実際に料理などを盛りつけた写真も添えられていました。
テーマは「夏の来客」、「気軽にお茶を」、「独酌」などなど。
生活の中で作品がどのように映えるか、料理をどのように引き立てるかを見ることができました。
椿モチーフのグッズも並ぶミュージアムショップ
美術館に行くとミュージアムショップを覗くのが楽しみ、という方も多いのではないでしょうか。
こちらはアートハウスのミュージアムショップ。
これまでの企画展の図録やアートのポストカードだけではなく、資生堂パーラーのスイーツや椿モチーフのグッズも並びます。
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150年のあゆみが詰まった資生堂企業資料館
はじまりは薬局として誕生した資生堂
アートハウスで芸術を堪能したら、今度は企業資料館に行きましょう。資生堂は1872年、日本初の民間洋風調剤薬局としてそのあゆみを始めます。
福原有信氏は現在の東京大学医学部に学び、西洋の薬学を広く一般に役立てるために資生堂を創業しました。
日本初の練り歯磨「福原衛生歯磨石鹸」は、当時出回っていた粗悪な粉歯磨と比べ歯を傷めることがなく、使用感が良いためヒット商品になったそうです。
資生堂初の化粧品オイデルミンは今も
オイデルミンは1897年に発売された、西洋薬学処方に基づく化粧水。資生堂が初めて作った化粧品です。
当時は「資生堂の赤い水」と呼ばれ、親しまれていました。
発売から120年以上経つオイデルミンは、パッケージや内容をリニューアルしながら、今も愛され続けています。
レトロなパッケージにときめく
こちらは「パッケージの変遷 PART Ⅰ」に展示されている、発売当初のオイデルミンのボトルです。
1897年、明治30年頃はまだまだ和式の生活が一般的。そんな暮らしの中で、赤い化粧水、球状の蓋が美しいボトル、バラと筆記体で書かれた商品名のラベル、内容と同じ赤のリボンはどれだけ華やかに見えたのでしょうか。
当時、どのような方がこれを手に取っていたのか、想像がふくらみます。
オイデルミン以外にも歴史の変遷を感じるパッケージがずらりと展示されており、見応えがあります。
特に明治から大正、昭和初期にかけてのパッケージはレトロでおしゃれ。
写真の左側は1918年から1921年にかけて販売された香水シリーズ「梅・藤・菊」の藤。ガラス瓶に文字や図柄が金で焼き付けてあります。
憧れの「ミス・シセイドウ」コスチュームの変遷
こちらは現在のパーソナルビューティーパートナー(旧:資生堂美容部員)の歴代のコスチューム。
左が1934年、初めて作られたもの。ベルトが素敵です。「ミス・シセイドウ」と呼ばれ、ステージで近代美容劇も演じるスター的な存在だったそうです。
中央は戦後の1953年に「ミス・シセイドウ」が復活した時のもの。
右は1999年の春夏用で、初めて環境に配慮して作られました。ペットボトルのリサイクル繊維が使用されています。
こちらは三宅一生氏が1970年台から1980年台にかけてデザインした、美容部員のユニフォーム。
一番左のものは三宅氏が初めてデザインした1970年の秋冬用で、当時はミニスカートがトレンドでした。それまでは少し堅い雰囲気だったユニフォームを、カジュアルでファッショナブルなニット素材のものに。
自分では勇気がなくて履けない丈ですが、とてもキュートです。
懐かしさに盛り上がる!パッケージの変遷
こちらは「パッケージの変遷 PART Ⅱ」のコーナー。1970年以降の商品パッケージが展示されています。
何十年も前に自分が使っていた商品をたくさん見つけることができ、その当時の懐かしい思い出も甦りました。
この他にポスター・広告などの展示や、代表的な184本のCMを鑑賞できるシアターもあり、来館者の方々も「そうそう、懐かしい!」と盛り上がっていましたよ。
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アートと花を楽しみながら散策
近・現代を代表する彫刻家の名作
敷地内には「5月のリング」と合わせ、9つの屋外作品が常設展示されています。いずれも近・現代を代表する国内外の彫刻家の名作。
お天気がいい日には、のんびりと屋外作品を巡りながら鑑賞するのもおすすめです。
椿、桜、サツキに金木犀が香る
丁寧に手入れされた芝生の緑も美しいのですが、さまざまな花木も植えられています。
資生堂といえば椿。2月から3月にかけてが見頃。
それ以外にも、桜、サツキ、トチノキ、オリーブ、そして金木犀と、春から秋にかけて季節の花を楽しむことができますよ。
アートを鑑賞し、資生堂の歴史に触れた後は、自然の美しさを楽しみましょう。
きっとまた訪れたくなる、美と親しむ空間
資生堂アートハウスと企業資料館では、どちらも見応えのある展示を堪能することができます。
訪れてみて、たくさんの人にアートに触れてもらいたい、美に親しんで欲しいという思いをしっかりと感じました。
なお、アートハウスは2023年10月29日に企画展を終え、同年の年末までは休館となります。企業資料館は2023年12月22日まで毎週金曜に開館します。2024年の開館につきましては、公式サイトでご確認ください。
資生堂アートハウス・資生堂企業資料館へのアクセス
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【住所】静岡県掛川市下俣751-1
【開館時間】10:00~16:30(入館は16:00まで)
【開館日】
資生堂アートハウス:現在休館中
※開館日は公式サイトでご確認ください
資生堂企業資料館:毎週金曜
※2024年~:毎週木・金・土曜に開館
※開館日は公式サイトでご確認ください
※夏期(8月中旬)、年末年始、展示替え期間は休館
【入園料】無料
【駐車場】あり、無料
【公式サイト】
資生堂アートハウス:https://corp.shiseido.com/art-house/jp/
資生堂企業資料館:https://corp.shiseido.com/corporate-museum/jp/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご覧ください。


















