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地元女性たちが作る愛情たっぷりの塩。西伊豆名産「戸田塩」の製塩所を見学

沼津市|【更新日】2023年9月27日

地元女性たちが作る愛情たっぷりの塩。西伊豆名産「戸田塩」の製塩所を見学

静岡県西伊豆の戸田(へだ)にある「みはまビーチ」は、夏には海水浴場としても賑わう人気のビーチ。その目の前に建つ小屋で作られているのが、昔ながらの伝統製法による「戸田塩」です。

今回、製塩所で塩作りの工程の一つである「塩すくい体験(採塩作業)」を行ってきました!「戸田塩」の作り方や、そこに込められた想いをご紹介します。

目次

地元のためにできることを!「戸田塩」が誕生した理由

地元の女性たちが作る、地域ブランド「戸田塩」

戸田塩5

漁業・観光業の衰退により地域から活気が失われていく中、平成6年に女性の会の方たちが県主催のマーケティング講座に参加したのが「戸田塩」の始まり。

「戸田のためにできることを!」と立ち上がった女性たちが「戸田塩の会」を平成7年に結成し、戸田で古くから伝わる塩作りを復活させた「戸田塩」を作り始めました。

平成13年にはNPO法人化され、今も地元の女性たちにより愛情たっぷりに手作りされています。

数々の賞を受賞!今ではすっかり有名に

戸田塩6

塩作りはまさにゼロからの挑戦。材料の調達や設備、作り方など試行錯誤の日々だったそうです。

努力を重ねてきた結果、今では「ふるさとづくり大賞」奨励賞、「農林水産大臣賞」などを受賞するほどに!地域ブランドの「戸田塩」を作り上げてきました。

地域に愛されるブランドに育った「戸田塩」は周辺の飲食店でも多く使用され、「戸田塩を使っている」という宣伝効果も高いんですよ。

伝統製法によって作られる「戸田塩」とは

「戸田塩の会」の皆さんが語るおいしさとは

戸田塩

「戸田塩」の味の一番の特徴は、甘みが強いことだそう。製塩工程の中に、できた塩を工場の中で寝かせて、苦汁(にがり)を切る工程があります。

その際、塩になんとクラシックミュージックを聴かせているそう!これがカドがなくやさしい味わいを作っているのかもしれません。

「戸田塩」と相性抜群の料理は?

戸田塩10

「戸田塩の会」の皆さんにおすすめの食べ方を伺ったところ、魚、肉、天ぷらと何にでも相性抜群とのこと。

意外なのがフルーツの「なし」と合わせた食べ方!素材の味を引き立てつつ、塩のおいしさをダイレクトに感じられるそうです。

塩マニアである筆者。自宅にもたくさんの塩があるのですが、料理をする際についつい「戸田塩」を手にとってしまうほどのおいしさと使いやすさなんですよ!

手間ひまかけて作られる「戸田塩」の作り方

目の前に広がる日本一深い湾、駿河湾の海水を使用

戸田塩13

「戸田塩」は、昔からの伝統製法を用いて全て手作りで作られます。

使用するのは塩作りを行う小屋の目の前に広がる、日本一深い湾、駿河湾の海水です。

戸田沖の水深約20mから海水をポンプで汲み上げます。1回の作業での取水量は6〜7tで、作業は1ヶ月に2回ほど行うそうです。

小屋の中央にある釜で海水を炊き上げる

小屋の中央にある釜

まずは小屋の中にある特製の平釜を使って海水を炊きます。

釜の容量は250Lほどで、海水を足しながら炊いていきます。最終的には700Lの海水を夜中の2時頃から15時間連続で炊き続け、14kgほどの塩ができあがります。

釜からはミネラルたっぷりの蒸気が立ち上り、それを日々浴びている「戸田塩の会」の皆さんは、お肌がツルツルでした!

炊き上げる際の薪にもこだわりが!

戸田塩3

海水を炊く際の燃料は薪のみを使います。主に間伐材を使用していて、新建材や塗料の付いた木材は使用しません。

1回の塩づくりに使用する薪の量は軽トラック2台分にもなります。力仕事では男性の手も借り、たくさんの方の愛がこもった「戸田塩」が完成します。

地域の観光資源としても役立つ、塩作り体験や見学

小学生や観光客向けに体験や見学を実施

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「戸田塩の会」では塩の生産や販売のみではなく、小学生や観光客に向けた塩作り体験学習や見学の受け入れを行い、地域の観光資源にもなっています。

体験や見学の料金は無料。3日前までの要予約で、電話で受け付けています(毎年8月は繁忙期のため受け入れ中止)。

今回は一般観光客向けの「塩すくい体験」に参加!

戸田塩12

今回は一般観光客も参加が可能な、塩すくい体験(採塩作業)をしてきました。

海水を煮詰めていくと、釜の底には塩が溜まっていきます。それを「すくいあみ」ですくいあげます。

豊かな海の恵みを元にした、できたての塩。キラキラと輝いていて美しかったです。

水深397mの深層水を使った「アクア戸田塩」も人気

戸田塩11

定番の「戸田塩」のほか、駿河湾の水深397mの深層水で作られる「アクア戸田塩」も人気商品です。

「戸田塩」よりも強みのある味で、塩おむすびなど、お米との相性もぴったりではないでしょうか。

ほかにも、「戸田塩羊かん」、「アクア塩あめ」、製塩過程でできるにがりを使った化粧水「アクアオンディーヌ」などが現地やオンラインショップで購入可能です。

地域ブランド「戸田塩」は味も、想いもあたたかい!

静岡県西伊豆の名物「戸田塩」。おばあちゃんの家に帰ってきたかのような温かな雰囲気の中、熟練した腕の地元女性たちによる塩作りが行われていました。

「地元のためにできることを!」という熱い想いで作られた塩の味は、その想いと同様にあたたかみを感じることができました。

静岡県の日本一深い湾で作る塩に出会いに、戸田へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

「戸田塩の会」へのアクセス

  • 【住所】

    静岡県沼津市戸田3705-4

    【営業時間】8:30~15:30(定休日:水曜日、また荒天・強風時)

    【料金】無料

    【駐車場】あり(無料)

    【公式サイト】https://www.npo-hedashio.jp

    ※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

ライタープロフィール

新井夏海

新井夏海

神奈川県横浜市出身。静岡県の大学に進学し海洋学を学ぶ。卒業後は地元で海系旅行誌を発刊する出版社の編集ライターを経験。“自然のそばで暮らしたい”という思いから静岡に戻りフリーライターへ。現地の魅力を取材・執筆しながら、趣味の旅行、マリンスポーツ、キャンプ、車中泊旅を楽しむ。