ため息ものの建築美「東海館」伊東駅から10分で昭和レトロの世界へ!
伊東市|【更新日】2023年8月24日

JR伊東駅から徒歩10分、たったの600メートルのところに、タイムスリップしたかのような気分になる建物「東海館」と「K’s House(ケイズハウス)/旧いな葉旅館)」があります。
東海館は昭和3年、K’s Houseは大正時代に建てられ、どちらも見事な木造巨大建築で当時の面影を色濃く残しています。
今回は伊東のシンボル東海館とそのお隣、K’s Houseをご紹介します。
目次
橋を渡ると見えてくる趣ある純和風建築
松川橋からの眺めも見逃せない
伊東市街中心部を流れる松川沿いに歩いていくと、純和風の建物が顔を出してきます。手前がK‘s House、その隣が東海館です。
橋の上から眺めるとまるでタイムスリップしたような気がしてきます。これも二棟並んで建っているからこそ。
泊まれる有形文化財のK’s House伊東温泉
橋を渡り小路を入ると建物正面が見えてきます。ここだけ見ていると本当に大正、昭和初期に来たんじゃないかと錯覚してしまいます。
K’s Houseのほうは「いな葉旅館」だった建物を、有形文化財のホステルとして営業していて、外国人観光客に大人気だそうです。
玄関前ではワーキングホリデーで来た外国人スタッフの方が掃除をしていました。
木造三階建ての元巨大旅館・東海館
こちらはその隣の東海館。木造三階建ての元巨大旅館です。目の前に立つと迫力があります。
昭和初期ごろの伊東はこうした巨大木造旅館がたくさん立ち並び、大変な賑わいを見せていたそうです。
当時は映画「千と千尋の神隠し」のような世界だったんでしょうね。
純和風の雰囲気の中、お茶で至福のひと時
腕利きの棟梁たちに競わせ建てた名館
東海館の正面玄関、扉にはしっかりと温泉旅館と書いてありますね。平成9年までは旅館として営業していたそうで、その後伊東市に寄贈されました。
建主は材木商の稲葉安太郎、金に糸目をつけず腕利きの棟梁たちに競わせるように建てたそうです。
吹き抜けの中庭には雨で輝く巨石が
受付で入館料200円を払い、中へ進むと見えてくるのが中庭の巨石です。
こちらは群馬県からわざわざ取り寄せたという「亀石」、よく見ると右が頭、左が甲羅のように見えますね。
雨に濡れると緑に光るそうで、さらに甲羅のように見えるんだとか。
一階奥は風流な喫茶室
一階左奥には喫茶室があります。取材時は盛夏とあって喉が渇いていたので早速冷たいものを、と入ってしまいました。
大広間は卓と座椅子、縁側にはチェアとテーブルセット、窓にかかる提灯越しに松川の向こう岸が見えます。これはなかなかの風流喫茶です。
昔懐かしのコーヒーフロート
注文は受付で行います。コーヒーフロートにティーフロート、アイスと氷が混ざりしゃりしゃりとした食感。小津安二郎の映画のような世界で味わう贅沢な時間です。
その他、あんみつと抹茶、練り切りなど和メニューも充実。フロートが600円、入館料200円を足しても800円、お茶だけの利用でも楽しめます。
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一階は要人たちが泊まったVIPルーム
まずは押さえておきたい資料の数々
一階奥には、東海館の歴史が分かる資料や当時の従業員の制服などが展示されています。
チェックしておきたいのは館内に施された職人たちの意匠の解説です。事前にここで資料に触れておくとより館内巡りが楽しめますよ。
娯楽の殿堂だった当時の東海館
こちらは昭和28年製の映写機です。リール型が懐かしいですね。
東海館の娯楽室で使用されていたとのこと。当時は館内で映画を上映していたそうで、宴会あり、温泉あり、映画まである一大娯楽施設だったことが偲ばれます。
当時のVIPルーム「葵の間」
こちらは一階の「葵の間」、二部屋続き10畳と大きめの部屋です。今で言うVIPルームのような部屋で、欄間の「鳳凰の透かし彫り」が見事です。
ちゃぶ台には葵の模様が掘り込んであります。その脇にあるのはなんと燗付け器、炭火で日本酒をお燗できるという酒飲みにとって夢のようなアイテムがありましたよ。
現代のオーパーツ、銘木と職人の技
同じく一階VIPルームの「蘭の間」、書院障子に施された富士に帆掛け舟の意匠に、大きく曲がった変木が見事です。
今ではこうした銘木を見つけるのも困難でしょうし、それを表現する職人技も廃れてしまいました。まさにロストテクノロジーと言ってもいいのではないでしょうか。
二階も見応えあり!伊東にゆかりのある展示
三人の棟梁が腕を競い合った数々の意匠
二階へ上がる階段の手すり、ヴィンテージの美しさがあります。東海館は主人の稲葉安太郎が、当時の腕利きの棟梁三人を集め各階ごとに建築を任せたそうです。
それぞれが競うように作ったことで、高度で変化に富んだ建築になったのでしょうね。
二階の窓から見る風情ある景色
二階へ上がると「牡丹の間」があります。帆掛船の書院障子が見事と有名な部屋ですが、思わず窓の外に心奪われてしまいました。
見下ろすと松川越しに対岸の街並みが見えます。提灯もいい味を出していて、窓際のチェアに腰を下ろしてみると、なんとも心が落ち着きます。
意外な二階の展示スペース
東海館の二階部分はなんと展示スペースが2つあります。
ひとつは常設展示・歴史の小部屋として伊東にゆかりのある外国人・三浦按針の展示スペース、その隣は特設展示スペースとして定期的に展示が入れ替わるそうです。
訪れた際は伊東市在住の彫刻家・重岡建治氏の作品が展示されていました。ちなみに重岡氏の作品はなぎさ公園にも展示があります。
影まで計算された欄間
特設展示室の欄間、その影が壁に写っています。精巧な木彫り細工だけでもため息ものの美しさですが、壁に映る影まで計算した職人の技、お見事です。
東海館では照明器具なども意匠を尽くしたものばかりで、細かいところも見所の一つです。
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120畳の大広間で当時の饗宴を偲ぶ
ステージありの大宴会場
三階には大広間があり、その広さはなんと120畳!当時はここで連日連夜、大宴会が催されていたのでしょう。
楽屋付きの本格舞台もあり、芸妓さんたちの歌や踊りを楽しんでいたのではないでしょうか。天井から下がるアンティークシャンデリアも素敵です。
伊東温泉の雅な夜を彩る芸妓たち
こちらは当時の芸妓さんたちの様子を再現した展示です。手前のお膳は当時使用していたもので、東海道五十三次が描かれている手の込んだ代物。
ちなみに東海館では「伊東お座敷文化大学」として芸妓さんの着付けやお化粧、作法などが学べるイベントを毎年春秋に開催しています。
観光ついでに芸妓さんの作法を学ぶのも乙ですね。
望楼まである贅沢三昧の温泉旅館
三階からさらに上に行け、やや急な階段を登り望楼と呼ばれる小さな一室に出てみると、そこから伊東の街が一望できます。
大宴会の後に見晴らしのいい望楼で一服、なんてこともあったのでしょうか。昔の酔客はなんとも贅沢だったんですね。
文化財に泊まれるK’s House伊東温泉
安価なホステルとして外国人に大人気
東海館探訪はここまで、続いてお隣のK’s Houseへ向かいます。こちらも築100年オーバーの文化財。
もとは東海館と同じく「いな葉」という温泉旅館で、現在では自炊のできるホステルとして外国人旅行者に人気の宿です。
一階には川沿いの交流スペース
東海館と同じ温泉旅館だったK’s House、内部の作りや意匠は東海館とよく似ています。
現在はホステルとして利用されているので、ところどころ現代風にアレンジされていて、一階の奥は交流スペースとして宿泊客が自由に使えるそう。
日帰り入浴もできるので、宿泊でなくともお風呂だけの利用もおすすめです。
レトロ感溢れる、お座敷のあるホステル
宿泊客の方がいるため部屋の中は写せないので、K’s Houseの大広間をご紹介。
かつての宴会場でしょうか、東海館と同じく舞台がありレトロな雰囲気を今に残しています。
ちなみにK’s Houseに食堂などはなく、その代わりに自炊ができるキッチンがあります。
ワーケーションでも使えそうな望楼
K’s Houseにも東海館と同じく最上階の上に望楼がありますが、東海館と違いこちらはミーティングスペースとしても使用可能。
観光で泊まるのもいいですが、伊東駅からアクセスもいいのでワーケーションの宿として活用するのもアリだと思います。
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伊東観光では外せない鉄板スポット
伊東駅から徒歩10分もかからない抜群のアクセスに、一歩足を踏み入れれば100年前にタイムスリップできる東海館は入館料も200円と格安!
日帰り温泉もありの伊東観光イチオシのスポットです。お隣のK’s Houseではその雰囲気を宿泊しながら味わうことができます。
伊東観光で迷ったらココ!とおすすめしたい場所です。
東海館へのアクセス
- 【営業時間】
9:00〜21:00(最終受付20:00)
【住所】静岡県伊東市東松原町12-10
【定休日】毎月第3火曜日(祝祭日の場合は翌日)、1月1日
【駐車場】なし
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
K’s House伊東温泉へのアクセス
- 【営業時間】
●チェックイン 15:00〜21:00
●チェックアウト 11:00【住所】静岡県伊東市東松原町12-13
【駐車場】なし
【公式サイト】https://kshouse.jp/ito-j/index.html
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。