港北に佇む荘厳な神殿。「大倉山記念館」で貴重な近代建築を見学しよう
横浜市|【更新日】2023年7月19日

横浜・大倉山の地に堂々と佇む「大倉山記念館」をご存じでしょうか。
映画やドラマのロケにも使われている荘厳な建物は、実業家・大倉邦彦氏の意向により1932年に創建されました。
「人々が心豊かな生活を送れるよう、精神文化や伝統文化を学ぶ場所を創りたい。」
このような大倉氏の想いから、「大倉精神文化研究所」として設立されたのが始まりです。
今回はそんな大倉山記念館へ、建築探訪に出かけてきました。
目次
ギリシャ神殿のような、歴史ある横浜市指定有形文化財
独特の建築様式が特徴。ついじっくりと眺めてしまう
まるでギリシャ神殿のようなこちらが「大倉山記念館」です。荘厳な雰囲気に圧倒されてしまいます。
まずは上部の柱に注目しましょう。上が太く、下が細い珍しい形をしていますよね。
この裾ぼそりの柱はクレタ・ミケーネ文明の建築様式で、「プレ・ヘレニック様式」と呼ばれています。
中央のペディメントには、和の雰囲気を感じる二羽の鳳凰の姿が。大倉氏の理念のひとつ「東西文明の融合」が見事に表現されています。
ノスタルジックな音が響く。ドアノブをひねり館内へ
ドアノブをひねり、ゆっくりと扉を開けましょう。「ギィーー」と木がきしむ音が鳴り響きます。現代の建物では聞くことのない、なんともノスタルジックな音です。
ドアに彫られた菊のようなロゼット、ぐるぐると円を描く連続螺旋文様…。こちらも入口の柱と同様、プレ・ヘレニック様式の特徴です。
館内はどうなっているのでしょうか。早速中に入ってみましょう。
重厚な雰囲気に息をのむ。光が降り注ぐエントランス
宮殿に迷い込んだかのよう。響く足音も心地いい
目の前に現れたのは、重厚な雰囲気のエントランスです。まるで異国の地の宮殿に迷い込んだかのよう。タイムスリップした感覚が味わえます。
しんとした静けさの中、コツコツと響き渡る足音。なんだか心地いいですね。
天井のステンドグラスから降り注ぐ明るい光は、石造りのエントランスを優しく包み込んでいます。
天井から見下ろすテラコッタ像に隠された秘密とは
天井を見上げると、そこには獅子と鷲のテラコッタ像が。一見、あちこちを見てるかのようですが、ちゃんと意味があります。
実はどこから見上げても、必ずどれか1体と目が合うようになっているのです。
試しにグルグルと回ってさまざまな角度から見上げてみました。…本当に目が合います。驚きです。
これは神や仏など目に見えないものが、いつでも我々を見守っていることを表現しているそう。精神文化研究所の名残を感じます。
特徴的な建築は大倉山記念館でしか見られない希少なもの
ホール入口の彫刻は石造りとは思えないほど滑らか
階段を登った先にあるのがホールです。その入口の彫刻は、石造りとは思えないほど滑らかで印象的でした。
上から下へと流れるように渦をまく彫刻。躍動的で、今にも動き出しそうです。正面入り口の連続螺旋文様を彷彿とさせます。
詳しい説明はありませんでしたが、もしかしたらこれもプレ・ヘレニック様式のひとつなのかもしれません。
正面入口と同じく、菊のようなロゼットもありました。
椅子に腰かけ一休み。見下ろすとさまざまな発見も
3階にやってきました。木のベンチに腰かけ、一休みしましょう。
上から見下ろすと、さまざまな発見があります。
階段の壁には三角と螺旋の彫刻が、ホール入り口の上部には、三角の屋根のようなものが。これはどちらもプレ・ヘレニック様式の特徴だそうです。
館内には、豪華絢爛なきらびやかさはありません。しかし、シンプルながらもこだわりが随所に散りばめられています。非常に雰囲気のある空間だなと感じました。
神奈川の交通手段はレンタカーがおすすめ
哲学、歴史、文化など。付属図書館には幅広い書籍が揃う
三連出入り口の付属図書館は崇高な印象を受ける
さて、2階に戻ってきました。こちらは「大倉山精神文化研究所 附属図書館」です。
プレ・ヘレニック様式の特徴でもある3つ並んだ出入り口。そして「精神文化研究所」の文字。なんだか崇高な印象で、入るのをためらってしまいそう。
こちらの図書館は一般公開されており、どなたでも利用可能です。哲学、宗教、歴史、文学の書籍が10万冊ほど揃っています。
中には座って読書できるスペースもありました。静かな時間が過ごせそうです。
書庫には本がぎっしり。まだ見ぬ世界へ誘われそう
こちらは図書館の中の公開書庫です。本がぎっしりと並べられており、まさに研究所の書庫といった雰囲気。
思想・哲学・報徳…。なんだかとても難しそうです。
手に取るまでのハードルが少し高いような気がしますが、読んでみたらまだ見ぬ世界を知ることができるかもしれません。
無料でもらえる「大倉邦彦物語」で記念館の理解を深めよう
「もしご興味があったらぜひ読んでみてくださいね」と図書館のスタッフさんに渡されたのは「マンガで学ぶ大倉邦彦物語」です。
大倉山記念館を設立した大倉邦彦の半生が描かれた漫画で、なんと無料でもらえます。
マンガなら私にも読めるかもしれない。そう思い、一冊いただきました。同敷地内にある大倉山公園でのんびり読んでみようと思います。
東西文明が融合。「大倉山記念館」で建築美を堪能しよう
大倉山に佇む神殿、大倉山記念館をご紹介しました。
東洋と西洋を融合させた建築様式ですが、違和感はなく見事にマッチしています。
特徴的なプレ・ヘレニック様式は、大倉山記念館でしか見られない貴重なものです。
個人的には天井のテラコッタ像が印象的でした。神様はいつでもどこでも我々を見守っている…。大倉氏の想いが伝わってきます。
建築美を堪能できる大倉山記念館に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
「大倉山記念館」へのアクセス
- 【営業時間】
9:00~22:00
【住所】神奈川県横浜市港北区大倉山2-10-1
【駐車場】なし
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。