鎌倉で“映画愛”に触れる。「鎌倉市川喜多映画記念館」で文化的休日を
鎌倉市|【更新日】2023年5月20日

1936年に松竹大船撮影所が開所し、風光明媚な土地も相まって“映画の街”としても知られる鎌倉。
そんな鎌倉で都会の喧騒から離れ、日本のみならず、世界の映画史に触れることのできる「鎌倉市川喜多映画記念館」をご紹介します。
目次
古都鎌倉の情緒あふれる記念館
小町通りの奥、一歩路地を入ると静けさが
多くの観光客で賑わう小町通り。所狭しと立ち並ぶお店やワイワイと楽しい雰囲気を味わったら、細い路地に入ってみましょう。
ぐっと人が少なく、静かで落ち着いた古都の情緒がそこにあります。
伝統的な建築が鎌倉に溶け込む
「鎌倉市川喜多映画記念館」は、日本の映画文化の発展に大きく貢献した、川喜多長政(1903~1981)・かしこ(1908~1993)夫妻の旧宅跡に、鎌倉における映画文化の発展を期して2010年4月に開館。
日本の伝統的な建物様式「数寄屋造り」をイメージしたという外観、味のある板塀が鎌倉の豊かな自然と調和しています。
映画好きにはたまらない、密度ある展示
年間を通じて企画展を開催
大きな窓から柔らかい光の差し込む展示室は、長政・かしこ夫妻を紹介する常設コーナーと、年4回変わる企画展で構成されます。
取材時は「BOW(バウ)シリーズの全貌―没後30年 川喜多和子が愛した映画」(6月25日まで)を開催。
夫妻の長女として生まれ、映画配給会社・フランス映画社を牽引した和子の功績を振り返ります。
夫婦二人三脚で世界の名作映画を日本に紹介
川喜多長政は1928年に東和商事(現在の東宝東和)を設立し、翌年同社に翻訳兼タイピストとして入社した、かしこと結婚。
新婚旅行の記念にヨーロッパで買い付けた「制服の処女」が大ヒットしたことをきっかけに、長政は商談、かしこは作品選定にあたり、「望郷」「天井棧敷の人々」「第三の男」など、夫婦で数々の名作を日本に紹介しました。
紫色が好きだった、かしこの美しい着物
パスポートやトランクケースなど、ゆかりの品からは世界各地を飛び回った2人のアクティブな生き様が感じられます。
紫色が好きだったというかしこの美しい着物も展示。こちらは年4回の企画展に合わせて違う着物に入れ替えられるそう。
“傑作を世界から運ぶ”BOWシリーズ
そんな2人の娘・和子も、両親の意志を受け継ぎ、愛する映画を見せることに情熱を注ぐ生涯でした。
現在開催中の企画展では、和子がフランス映画社で“傑作を世界から運ぶ”をスローガンに、多様な映画を紹介したBOW(Best films Of the World)シリーズのポスターがずらり。
大島渚監督や数々の映画俳優と交流する写真からは、彼女が映画界に与えたインパクトをうかがい知ることができました。
古典から現代まで、幅広い映画作品を上映
館内には、デジタルとフィルムの両方を上映できる映像資料室(51席)を有し、年間を通じてさまざまな作品を楽しむことができます。
企画展示にあわせた映画を上映するほか、トークイベントなども開催。
加えて、同館がセレクトした近年の話題作や特集上映も行われるので、事前にスケジュールをチェックして、映画鑑賞を鎌倉観光に組み込んではいかがでしょう。
鎌倉映画の世界に浸るオリジナルグッズも
ミュージアムショップでは、記念館のオリジナルグッズをはじめとした映画に関連したグッズを販売。
映画のロケ地やゆかりの場所を散策できる冊子「鎌倉映画地図」や一筆箋、ポストカードに加え、各地の国際映画祭グッズも並び、コアな映画ファンに刺さるラインナップです。
遊歩道で四季折々の自然を楽しむ
このほか敷地内には、春・秋の年2回一般公開される「旧川喜多邸別邸」が。
哲学者の和辻哲郎が住居としていた江戸後期の民家を、1961年に夫妻が東京都練馬区から移築し、海外から訪れる映画人を迎える場に。
2010年には鎌倉市景観重要建造物にも指定されています。
開館中、庭園を臨む遊歩道は通行自由。四季折々移り変わる自然を感じながら、ゆっくりと過ごすことができますよ。
名作を届け続けた裏方の情熱に触れる
私達がこれまで何気なく観てきた映画には、その作品をより多くの人へ届け、魅力を伝えようと働きかけた人たちの存在があります。
映画好きな方もそうでない方も、そんな“裏方の情熱”には刺激を受けるはず。「鎌倉市川喜多映画記念館」で、一味違う文化的な休日を過ごしてみませんか。
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「鎌倉市川喜多映画記念館」へのアクセス
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【住所】神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目2番12号
【開館時間】9:00-17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜(月曜祝日の場合は開館、翌平日休館
【駐車場】なし
【公式サイト】https://kamakura-kawakita.org/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。