圧巻の華やかさ!花の寺、遠州三山「可睡斎」のひなまつりを体験
袋井市|【更新日】2024年2月21日

萬松山可睡斎(ばんしょうざんかすいさい)は、静岡県袋井市にある曹洞宗の禅寺。同じく袋井市内にある法多山尊永寺(はったさんそんえいじ)、医王山油山寺(いおうざんゆさんじ)と合わせて遠州三山と呼ばれています。
春のぼたん、秋の紅葉と境内で四季折々の花木を楽しむことができる“花の寺”でもありますが、可睡斎といえば大迫力の華やかさに魅了されるひなまつり。新春から楽しめるひなまつり会場の様子をお伝えします。
目次
可睡斎でものの命や伝統文化の大切さを学ぶ
元旦から楽しめるひなまつり
可睡斎ひなまつりの開催期間は元旦1月1日から3月31日まで。たっぷり3ヶ月間、瑞龍閣や大書院などを会場に、部屋の中に限らず廊下から階段まで飾られたおひなさまを楽しむことができます。
貝合わせの展示や絵付体験、十二単の着付け実演などのイベント、精進料理・特別ひな御膳の提供まで。まさに五感で楽しむことができる催しです。
人形供養で納められたおひなさまに命が吹き込まれる
飾られているのは、子供達の成長を見守り、役目を終えたおひなさま達。人形供養で納められた後も大切にされ、ひなまつりの期間は晴れ舞台に登ります。
可睡斎では「ものの命を大切にする思いを感じ、伝統文化に親しんでほしい」とこの催しを開き続けてきました。
大迫力!32段、約1,200体のおひなさま
日本最大級。瑞龍閣2階の広間にそびえるひな壇
メイン会場は1937年建築の瑞雲閣。国の有形文化財に登録された建物は天井絵や襖絵、欄間などの設えも見事な総ヒノキ造です。
その2階の大広間を使い、天井近くまで見上げるような32段、約1,200体が並ぶひな飾りは圧巻!
おひなさまはそれぞれ華やかな色の着物を着ているのに、全体に統一感があるのが不思議。これが和の色合わせの妙がなせる技なのでしょうか。
準備と片付け、想像するとありがたさが込み上げる
ただでさえ忙しい年末、ましてやお寺では年越しの準備も大変な中、どうしたら1月1日に間に合うように飾りつけができるのでしょう。
可睡斎総知客の篠田さんにお尋ねしたところ、人が登れる強度の段を組み上げ、赤い毛氈を敷き詰め、一つずつ大切におひなさまを並べていく、ただそれだけを皆さんで取り組むとのこと。
その準備と、丁寧に整理して片付けることを思うと、それだけで深い感謝の気持ちが込み上げます。
宝づくし!半年かけて作られた「傘福」
32段飾りの前で振り向くと、続きの広間には大きな「幸せをもたらす傘福」が。
傘福とは、江戸時代から山形県酒田市に伝わるつるし飾り。金欄の生地を可睡斎が提供し、山形県酒田市の「傘福くらぶ」12名の方が半年かけて作ったものとのことです。
打ち出の小槌や亀など、縁起のいい宝が999個も!見上げていると、福が天井から降り注いできそう。
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会場いっぱいに飾られたバラエティ豊かなひな人形
丸いお顔が可愛らしい木目込人形
こちらはまんまるなお顔、ころんとした体型に思わず顔がほころぶ木目込人形展。瑞龍閣1階の1室に集められています。
シュッとしたおひなさまもとても素敵ですが、こちらはとても親近感を感じてほのぼのしました。
三尺坊様の前でご祈祷する様子を再現
こちらは可睡斎オリジナル、おひなさまでご祈祷の様子を再現したものです。法衣は職員の方々、小物は僧侶の皆さんの手作り!
御真殿でご祈祷を見学させていただき、その迫力に感動した後に見ると、そのリアリティに改めて感服します。
歴史を感じる御殿飾り
こちらは御殿飾り。平安時代の京都の御所を模して、江戸時代後期から昭和にかけて作られたものとのこと。
段飾りとは違った趣で、御殿の屋根や欄干、室内の設えなどが見事です。
リアルさにドッキリ。等身大のひな人形
大書院の廊下を歩きながらふと室内を見ると、等身大のおひなさまにドッキリ。藤枝市にある岡部宿大旅籠柏屋のもので、人形店の3代目人形師好光さんの作とのことです。
昼間、明るいところだったのでドッキリくらいで済みましたが、夜なら軽く腰を抜かしていたと思われます。
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「いにしえの源氏物語」平安の雅やかな世界
光源氏と13人の姫、名場面をおひなさまで表現
2024年の大河ドラマ「光る君に」の主人公は紫式部。それに合わせ、今年の特別展示は「いにしえの源氏物語」です。
こちらの部屋では、源氏物語の名場面をおひなさまで表現。
こちらは「車争い」、六条御息所と光源氏の正妻、葵の上が葵祭で行き合ってしまい、六条御息所の牛車が壊されてしまう場面。
葵の上を呪い殺した六条御息所の生き霊の姿も見えます。
背景や小道具も眼をひく、雅な平安絵巻
こちらは平安時代の披露宴をテーマにした展示。
川や橋、船遊びの様子や御殿も表現されていて、作り込んだ背景や小道具を見ていると、平安時代にタイムスリップしそうです。
爽やかな香りにうっとり。室内ぼたん庭園
瑞龍閣1階の豪華な襖絵とぼたんの競演
屋外のぼたんまつりは4月から5月にかけて開催されますが、それに先立って室内ぼたん庭園ではおよそ50鉢の大輪のぼたんを楽しむことができます。
瑞龍閣1階の見事な襖絵と艶やかなぼたんの競演。その華やかさに思わずうっとりしてしまいました。
艶やかな花と爽やかで仄かな香り
実はぼたんの花をちゃんと鑑賞したのは初めてだった私。こんなに花が大きいことも、色がとても鮮やかなことも知りませんでした。
そして、室内ならではの楽しみは意外にも爽やかで仄かな香り。屋外ではきっと感じるのが難しいくらい、花のイメージとは少しギャップがある優しい香りでした。
期間限定の展示やイベントも!下調べして可睡斎へ
華やかで雅なおひなさまの世界に取り囲まれる体験は、この可睡斎ひなまつりでしかできないかもしれません。
3ヶ月の間、様々な展示やイベントなどが開催され、期間限定のものもありますので、ぜひ下調べしてからお出かけくださいね。2度、3度と行きたくなってしまうかもしれません。
可睡斎へのアクセス
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【住所】静岡県袋井市久能2915-1
【開催期間】1月1日〜3月31日
【営業時間】8:00~17:00
【拝観料】700円(小学生以下無料)
【駐車場】周辺の民間駐車場を利用
【公式サイト】https://www.kasuisai.or.jp/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご覧ください。