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紅葉が清流を赤く染める。静岡県森町「小國神社」で去りゆく秋を見送ろう

森町|【更新日】2023年12月15日

紅葉が清流を赤く染める。静岡県森町「小國神社」で去りゆく秋を見送ろう

“遠州の小京都”と呼ばれる森町は、自然豊かな風情ある町。

そんな森町の小國(おくに)神社といえば、静岡県西部地方出身なら一度は訪れたことがある方が多いのではないでしょうか。

この記事では、紅葉の名所として晩秋に訪れたい「小國神社」をご紹介します。

目次

遠州の小京都、森町の由緒正しき古社

ご祭神は大己貴命ことだいこくさま

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日本の神話「古事記」に書かれた「因幡の白うさぎ」のお話はご存知でしょうか。

小國神社」に祀られているのは、白うさぎを助けた心優しい神様、大己貴命(おおなむちのみこと)ことだいこくさま。日本の国土を作り、恵みをもたらした神様です。

遠江国一宮、静岡県西部で最も格式が高い神社

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小國神社の創設は神代と伝わっており、555年にご神霊が本宮山の頂上に出現されたと記録されていますので、やがて創建1470年になります。

遠江国一宮とされ、静岡県西部で最も格式が高い神社です。

大きな鳥居に迎えられ参道を歩く

一の鳥居をくぐって参道へ

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参拝に訪れると、まず迎えてくれるのはこちらの大きな一の鳥居。1965年に建立されたものですので、半世紀以上ここで参拝者を迎えていることになりますね。

一礼して顔を上げると、杉の大樹が両脇に並ぶ参道が見えます。

参道の隣には勅使参道が

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一の鳥居を背にして参道の右側、一段高くなっているのは勅使参道(ちょくしさんどう)。飛鳥時代の701年に天皇の使者である勅使が通った道です。

この時、勅使がご覧のもと、十二段舞楽が奉納されました。それ以来、舞楽は毎年奉納され、1982年には国の重要無形民俗文化財に指定されています。

大切に屋根が架けられた大杉の根株

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さらに進むと、参道左側に大杉の根株が。樹齢1,000ともいわれる大杉は、残念ながら1972年の台風で倒れてしまいましたが、根株となった今もご神木として大切に祀られています。

苔むした屋根にはセッコクというランの一種が根付き、初夏には白や淡いピンクの花が咲くとのこと。華やかな帽子をかぶった姿も見てみたいですね。

二の鳥居の奥に佇む拝殿へご挨拶

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大杉の先、二の鳥居をくぐると正面の拝殿に迎えられます。たくさんの参拝者が並んでご挨拶できるよう、紅白の鈴緒がずらりと並んでいますね。

拝殿は1882年の明治の火災の後、1886年に再建された入母屋造(いりもやづくり)。どっしりと重厚です。

「令和のお屋根替え」で40年ぶりに生まれ変わった社殿

大社造の御本殿は出雲大社の1/2スケール

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御本殿は普段入ることのできない玉垣の中にありますが、年に一度、初甲子(はつきのえね)祭の日のみ御本殿の周りを巡ることができます。

甲子講の講員だけでなく、事前に申し込みをすれば一般の方も参加できるそうですよ。

御本殿は大社造、出雲大社と同じ建物を1/2スケールにしたものとのこと。こちらも1886年に再建され、その際に大社造となったそうです。

5年近くかけ職人が檜皮で葺いた屋根

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神社では天皇陛下御即位を記念して「令和のお屋根替え」が行われました。2019年1月から檜皮(ひわだ)採取が始まり、本殿は2021年に完工、幣殿など含め2023年10月に全ての作業が完了したばかりです。

檜皮は木を傷めずに採取することができ、今回の御屋根替えではそのほとんどを、神社敷地内の檜皮を使い葺替えられました。檜皮を採取するのは原皮師(もとかわし)。

檜皮採取の際は“振り縄”を巧みに使って木に登り、体を固定して作業。これぞ日本伝統の智恵と技です。

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こちらは檜皮を留める竹の釘。職人さんはこの釘を一つかみ口に入れ、目にも止まらぬ早さで次々と檜皮を打ち締めていくそうです。

また、美しく切り揃えられた屋根の端は小さな手斧のみで整えられているとのこと。権禰宜(ごんねぎ)の堀川さんが、職人技の凄さについて熱くご説明くださいました。

1ヶ月前に葺き終わったばかりの屋根

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こちらは葺き終わったばかりの幣殿・中門の屋根。檜皮の色が明るく、屋根の一番上の棟木を包む銅板が美しく輝きます。

檜皮採取と檜皮葺は伝統建築工匠の技として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。「令和のお屋根替え」の様子はYouTubeで見ることができますので、小國神社公式サイトからぜひご覧ください。

なお、次のお屋根替えは40~45年後とのことです。

紅葉と宮川の赤い橋の光景に時を忘れる

境内を流れる清流、宮川のほとりで紅葉を堪能

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小國神社といえば紅葉の名所。特に境内を流れる宮川沿いの紅葉と鮮やかな朱橋の組み合わせは美しく、毎年楽しみに訪れる方も多いのではないでしょうか。

今年は暑い日が続いたこともあり、例年より色づく時期は少し遅れ気味とのこと。この日は緑、黄、色づき始めた赤のグラデーションを見ることができました。

最低気温が10度を下回る日が数日続くと色づきが進むとのことですので、目安にしてみてくださいね。

ライトアップされ広がる幽玄の世界

紅葉の時期は17時頃から20時頃まで、ライトアップが行われます。紅葉の状況によって期間は変動しますので、公式サイト内「季節の便り」をご覧ください。

昼間の青空の下で見る千代紙のような華やかさから一転、照明に浮かび上がる木々の姿から幽玄の美しさを感じます。時間が経つのを忘れてしばし見とれてしまいました。

美しい光景を存分に堪能できるよう、温かい格好でお出かけくださいね。

小國神社の美しい自然に包まれる豊かな時間を

今回は紅葉が美しい時期の小國神社をご紹介しました。

小國神社では紅葉だけでなく、桜、青紅葉、花しょうぶなど四季折々の美しい自然に包まれて豊かな時間を過ごすことができます。

慌ただしく流れていく毎日の中で、いつも頑張っている自分にそんなひと時をプレゼントしてみませんか?

小國神社へのアクセス

  • 【住所】静岡県周智郡森町一宮3956-1

    【駐車場】あり(無料)

    【公式サイト】http://www.okunijinja.or.jp

    ※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

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ライタープロフィール

芦馬 実

芦馬 実

静岡県浜松市出身。現在はフリーランスのライターとして静岡県の魅力を発信中。牛乳やヨーグルト、チーズが大好きで、旅先では地元産の乳製品を必ずチェックする。直売所と道の駅にはついつい寄ってしまう。