戦国時代に思いを馳せて…「山中城跡公園」で歴史ロマン感じるトレッキング
三島市|【更新日】2023年7月20日

三島市の北部、箱根山の中腹に位置する「山中城跡公園」。
山中城は北条氏が戦国時代末期に築き、小田原に向かう豊臣軍を食い止めようと戦いましたが、敢えなく半日で落城しました。
400年前の堀や土塁が美しく残る公園を、歴史のロマンを感じながら散策してみませんか?
目次
箱根山の大自然に抱かれた標高560mの戦国山城
三島市街から箱根街道をひたすら登る
三島市街から箱根峠方面へ箱根街道(旧国道1号)をひたすら登っていくと、やがて道沿いに「山中城跡」の看板が出現。
箱根山の中腹、標高560mに位置しているため、空気はひんやりと澄んでいて思わず深呼吸したくなります。
北条橋を渡ってタイムスリップ
駐車場と箱根旧街道の間を結ぶ「北条橋」。うっそうと茂った木々が光をさえぎっているため、橋の先は薄暗く、異空間への入り口のようです。
少しだけ躊躇してしまいそうですが、橋を渡って戦国時代にタイムスリップしてみましょう。
杉木立の下、往時の街道を思いながら城へ
箱根旧街道とは、東海道の三島宿と小田原宿を結ぶ「箱根八里」のことです。
江戸時代初期までは雨が降れば泥に足がとられる悪路でしたが、1680年に幕府が石を敷き詰めて歩きやすくしました。
高い杉木立に挟まれた街道を歩くと、江戸時代の旅人や大名行列が向こうから歩いてきそうな気がします。
“つわものどもが夢の跡” 豊臣軍の目線で城を攻める
長い坂道を登って辿り着いた先に「一の堀」
ここからは豊臣軍の足軽になって城を攻める目線で散策してみます。
1590年3月29日早朝、箱根山の長い坂道を登り、ようやく辿り着いた岱先出丸(だいさきでまる)。
手前には深い「一の堀」が横たわり、行く手を阻みます。
出丸から次々狙い撃ちにされますが、細く残された畝(うね)の上を一列で進むしかありません。
「岱先出丸」はまだ未完成だった
何とか一の堀を突破し、岱先出丸に侵入。
入ってみれば岱先出丸はまだ未完成で、北条氏が慌てて増築工事を行ったことがよく分かります。
出丸を守る北条軍の副将間宮守康勢はここで全員討ち死に。
一方、豊臣軍の先鋒一柳直末もここで戦死するほど激しい攻防が繰り広げられました。
「障子堀」が行く手を阻む
西櫓(にしやぐら)方面から攻撃を仕掛けた豊臣軍の前に現れたのは「障子堀」。
北条氏の独特な堀で、中央の区画からは水が湧き出し、水堀と用水池を兼ねています。
現在は堀を保護するために芝が植えられていますが、当時はローム層の滑りやすい土がむき出しになっていたため、くぼみに落ちると脱出することはできませんでした。
三の丸、二の丸からついに本丸へ
三の丸、二の丸を陥し、ついに本丸へ。激しく戦う北条軍ですが、その数はわずか4千でした。
4万の豊臣軍の前にはなすすべもなく、城主松田康長も討ち死にし、早朝に始まった戦いは正午過ぎには終わったと考えられています。
現在、本丸の広間があった場所には大きな藤棚があり、春には美しい花を咲かせます。
戦い終わり両軍の将兵が眠る宗閑寺
山中城城主の松田康長、副将の間宮康俊など北条軍の将と共に、豊臣軍の一柳直末の墓も並ぶ宗閑寺。
三の丸の裏手に、間宮康俊の娘が父を弔うために創建しました。
戦いが終わり、小さな境内で静かに並んで眠る両軍の将兵。敵方の墓を作った人の気持ちに想いを馳せてみたくなる場所です。
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散策を始める前のお役立ち情報
出発前に売店でもらおう!リーフレットは必携
散策に出発する前に、山中城跡案内所・売店でこちらのリーフレットをもらうことをおすすめします。
公園の要所要所に看板はありますが、とても広く配置が複雑なため、自分がどこにいるか分からなくなってしまうことも。
山中城跡案内所・売店の営業時間は10時〜16時ですが、リーフレットは店外に常時置かれています。
歩きやすい靴と飲み物は必須
公園内はきれいに整備されていますが、舗装はされていませんので歩きやすい靴でお出かけ下さい。
また、散策コース内に自動販売機はありませんので、飲み物を持参することをおすすめします。売店には自動販売機があります。
「戦国山城探訪コース」は約2時間、8千歩ほど歩き、良い運動になりました。
なお、ショートカットもできますので時間や体力に合わせて散策を楽しめますよ。
ポイントに立つ説明看板が分かりやすい
各ポイントには説明看板があり、ここがどんな場所だったのかが良く分かります。
また、分かれ道には方面を示す看板もありますので、たどって行けばコースから外れてしまうことはありませんが、あまりの広さに時々自分の位置が分からなくなるかもしれません。
公園のリーフレットがあると安心です。
季節の花や鳥のさえずりに心和むトレッキング
障子堀をピンクに彩るツツジ
春には西の丸周辺で新緑の障子堀と、ピンクのツツジのコントラストを楽しめます。
例年、4月下旬から5月上旬に見頃を迎えるツツジ。ぽこぽこと丸みを帯びた形がかわいらしいですね。
四季折々の花と鳥のさえずりを楽しむ
春にはツツジ以外にも桜、ヤマブキ、藤など、初夏にはアジサイやヤマボウシ、秋にはススキや彼岸花、紅葉も楽しむことができます。
また、木立からは鳥のさえずりが聞こえてきて、心が和みます。
堀を保護する芝の緑も美しい
土だけでできている堀や土塁を剥き出しのままにすると傷んでしまうため、表面は芝で保護されています。
この時も堀の管理作業の真っ最中。
広大な公園の遺構を維持するのはとても大変だと思いますが、日々の管理の賜物で美しい園内を楽しむことができました。
売店の2大名物「寒ざらし団子」と「障子堀ワッフル」
山中の伝統食「寒ざらし団子」
散策後に売店でいただいた「寒ざらし団子」。冬の寒さにさらした上新粉で作る山中地区の伝統食です。
白い団子には抹茶塩、よもぎたっぷりの緑の団子には甘味噌とごま、さらに全体にきな粉がかけられています。
熱々揚げたての団子は油っぽさがなく、表面はサクっ、中はモチモチ。
甘味と塩味のバランスが良く、たっぷり歩いた後に食べると格別のおいしさでした。
歴史ロマンを噛み締める「障子堀ワッフル」
障子堀の独特な形は、まさにワッフル。
北条氏も、未来の世にこのような南蛮渡来のお菓子があるとは思いもしなかったでしょう。
出発する前に売店で購入、障子堀で写真撮影を楽しんだ後はおいしいおやつになります。
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「山中城跡公園」で歴史のロマンと自然を満喫
箱根山の大自然の中、北条氏が必死で築いた堀や土塁が美しく残る「山中城跡公園」。
戦国山城が好きな方、花や野鳥が好きな方、自然の中を歩くのが好きな方など、それぞれの楽しみ方ができる場所です。
三島を訪れた際には、ぜひここで歴史のロマンと大自然を満喫してくださいね。
「山中城跡公園」へのアクセス
- 【営業時間】
10:00〜16:00(定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休み))
冬季は営業時間が変更されることがあります。【住所】静岡県三島市山中新田410-4
※【営業時間】と【住所】は山中城跡案内所・売店のものです。公園は施錠されませんので、常時利用が可能です。
【料金】無料
【駐車場】普通車40台、大型バス10台(無料)
【公式サイト】https://www.mishima-kankou.com/spot/282/
※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご覧ください。