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家具

日本最北の家具産地 旭川
まちに溶け込む旭川家具の魅力と裏側

更新:2020年03月05日

快適な住まいの生活に欠かせない「家具」。日本でも昔から多くの家具職人が集まる場所として、大川市(福岡)・府中(広島)・徳島(徳島)・飛騨高山(岐阜)・静岡(静岡)、そして北海道旭川市が日本の6大家具産地と言われ、現在も高品質な家具を作り続けています。まちなかの飲食店をはじめとした多くの施設で活用されているのですが、皆さんに旭川家具を使う理由をお伺いすると、どうやら「高品質だから」というだけではないようです。地域で生まれた家具から繋がる、人の思いに触れていきます。

旭川駅

地元で生産された家具が
まちなかのいたるところに点在する街「旭川」


旭川の玄関口の一つ旭川駅。駅コンコースには「旭川家具ラウンジ」と題された家具の展示スペースが。しかもこの家具、ただの展示ではなく実際に触れることも可能です。

実はJRの駅コンコースにこれだけの家具が置いてあることは全国でもとても珍しいそうで、家具のまち旭川ならではの風景と言えます。

しかし、この光景に生まれ変わるまでには、多くの方の協力と尽力があったそうです。

椅子

2011年、旭川駅は線路の高架化に伴い全面改修され、内装には木材をふんだんに使用した旭川らしい駅舎に生まれ変わりました。

しかし、当時コンコースに設置してあるイスやテーブルは旭川家具とは無関係なものばかり。

利用者からは「家具のまちなのにどうして旭川家具を設置しないの?」「まちなかで旭川家具を見られる場所はないの?」という声があがっていました。

そこで、旭川の一大産業である家具を、まちなかを訪れる市民や市外からのお客様にたくさん触れて親しんでもらおうという想いのもと、旭川家具工業協同組合、JR北海道、旭川市の3者が協力し、2018年5月「旭川家具ラウンジ」が誕生。

現在は100点近い数の家具を、実際に使用し、体感できることができるようになりました。
勉強

国産家具というとさぞや高級なイメージを持たれてしまいがちですが、ここでは昼間は売店で購入したお蕎麦を大きなシェアテーブルに座って食べたり、夕方からは高校生が勉強に使用したりと。

誰でも気軽に利用することができ、市民の憩いの場所として早くも定着しています。

旭川デザインデンターの杉本専務理事は「まちなかで多くの旭川家具に気軽に触れることのできる場所ができたことはとても嬉しい。家具は使ってみて体験しないと本当の良さはわかってもらえません。実際に触れてみて、たくさんの人が使っても丈夫で長持ちする品質の良さなどを感じてもらえれば」とお話しいただきました。

[たびらいセレクション]

家具

まちなかで見つけた、
たくさんの旭川家具たち

弐乃雪屋

旭川家具を愛する店①
路地裏に「弐乃雪屋」


まちなかの大通りから1本入った路地裏に佇む割烹「弐乃雪屋」。お客様のほとんどが地元の人だという、地域に愛される名店です。

この店のオーナーもまた、旭川家具の良さを知り、伝えていきたいと思う一人であり、店内の至る所で旭川家具に触れることができます。

個室

個室が主体の店内は、会食や接待など、大切な人との食事の場として利用しやすい雰囲気。

柔らかな光の廊下から、話の雰囲気が漂う木の温もりが、穏やかな大人の空間を演出しています。

開店時にデザイナーの紹介でオーダーしたという個室のテーブルは、全てガージーカームワークス製。

オーナー兼料理人の哘崎(さそざき)さんは「旭川家具は品質の良さはもちろんですが、実際に持った時のどっしりとした重さや触れた時の質感など、空間に与える重厚感がまるで違う」と語ります。
製品

店内には他にも様々な旭川家具メーカーの製品が使用されていて、オーナー自ら様々なメーカーのショールームに足を運んで選ばれた、傘立て、鏡、ハンガーラック。

なんと個室の名札や仕出し用の弁当箱までも、旭川家具メーカーのものが使用されてました。

「店舗では一般家庭よりもハードに使うので傷付いたり壊れたりすることもありますが、アフターケアがとても良いんです。

テーブルの足を折ってしまった時にもすぐ対応していただけましたし、傘立ては既製品でしたがお客様が倒してしまうことがよくあったのですが、使いやすいように改良を加えてもらったりもしていました。

結果的に一つの製品を長く使えるので、やはり地元メーカーのものを選んで良かったと思っています。」
ジャパチーズ旭川

旭川家具を愛する店②
チーズ工房「ジャパチーズ旭川」


旭川のチーズ工房「ジャパチーズ旭川」。お店の名前からも象徴される通り、日本人の口に合わせたクセのないフレッシュチーズを日々製作しています。

そんな同店は7条緑道のお店らしい、木のぬくもりを感じる内装。

そこには店主とお店を作り上げた方々の、「職人」としての思いがありました。

店舗

単に「チーズを売る」ことよりも、『チーズを食べる「スタイル」の提案』に重きを置いている店主の長尾さん。

出店を決めた際に、旭川家具メーカー「ガージーカームワークス」さんを紹介されたのがきっかけでした

木田代表の人柄や仕事に対する思いに共感した長尾さんは、店舗の家具製作を「ガージーカームワークス」に一任。

店内のカウンターや工房入口の扉は、同メーカー製作のオリジナルです。「業種は違えど、同じ技術者としてお客様のライフスタイルを考え、良いものを提供する熱い姿勢に強く共感しました。ここの家具を使っていることが、お店の一つの自慢でもあります」と語ります。

[たびらいセレクション]

焼鳥専門ぎんねこ

旭川家具を愛する店③
新子焼きの「焼鳥専門ぎんねこ」


旭川名物といえば「新子焼き」。

鳥の半身を素焼きにした旭川のソウルフードとして、市内外から多くのお客さんが集まるお店が、5・7小路ふらりーとの「焼鳥専門ぎんねこ」さんです。

歴史を感じる建物の店先からは今日もじゅうじゅうと食欲をそそるタレの良い匂いが漂っています。

そんな昭和25年創業の老舗「焼鳥専門ぎんねこ」でも、実は旭川家具メーカー「メーベルトーコー」製のスツールが使用されています。

店舗

三代目の久保さんは、当時の店舗の拡大を検討する際に、「新たに増設させたエリアでも、既存の店舗と同じ雰囲気をお客様に楽しんでもらいたい」との思いから、先代の時から使ってきた「メーベルトーコー」のスツールを再度注文。

その際、店内スペースの有効活用のためにスタッキング(お揃いの食器や家具などを積み重ね、コンパクトに収納すること)可能な仕様にするなど、ぎんねこオリジナルデザインのスツールが誕生しました。

一般家庭と飲食店では椅子の使用の頻度や使い方が違い、店舗ではより強度が必要になるため、頑丈な作りであることはもちろん、耐久性も求められます。

また、「補修が必要な時には、わざわざ遠くまで配送しなくとも地元の家具メーカーであればすぐに対応してもらえるので安心」と久保さん。

地元メーカーの家具を使うことは、『職人さんがすぐ近くにいること』も大きな利点の一つでもあるんですね。
旭川は昔からの北海道の豊富な森林資源に恵まれ、主要産業の一つとして家具作りが発展してきました。

外国産の安価な家具が市場でシェアを伸ばす中、旭川家具は2019年に「ユネスコ・クリエイティブシティーズネットワーク(ユネスコ創造都市ネットワーク)」へのデザイン部門への加盟(日本で名古屋市、神戸市に次ぐ3都市目)が認定されたことで、街全体が世界からも注目を集めるデザイン都市へと進化しようとしています。

そんな家具も、もとを辿れば作る人と使う人がいてこそ今も残り続けていると言えます。

旭川へ旅をする際には是非とも、この「家具たち」に着目してたくさん触れてみてください。

その家具には旭川の歴史と人々の地域愛を元に、人々の手によって紡がれ"繋がさった"、旭川への想いが詰まっているのです。

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