旭川の人情溢れる駅近商店街
日本最北の「銀座」を尋ねる
更新:2019年12月25日
北海道第二の都市、そして地理的にもまさに北海道の「中心地」である旭川は、北海道各地から美味しいもの、人、文化が集結するまさに北海道の交差点。そんな旭川には日本の中でもっとも北にある「銀座」と呼ばれる場所があります。
地元110年の歴史が紡いできた、旭川文化の集積地を、尋ねます。
北の銀座といえばココ。
北海道旭川にある銀座商店街。
一度足を踏み入れると、まるで昭和時代にタイムスリップしたよう。旭川で最初の市場が誕生した場所でもあり、市民の台所として親しまれてきました。
何度か改修された大通りは、旭川で2つ目の歩行者天国道路としてお祭りやマルシェなどのイベントも定期的に開催され、子供からお年寄りまで市民の憩いの場所として賑わいます。
110年前にできた小さな芝居小屋を皮切りに、旭川で最初の市場でもある「第一市場」が誕生。
戦後はヤミ市が行われていた場所でもあり、古くから市民の生活に欠かせない場所として存在していました。
最盛期には映画館や現在も残る大型デパートも建設され、日用品から食料品や家具家電まで、銀座に行けばなんでも揃うと言われるほどだったと言われています。
当時は人が押し寄せ、建物内の通りを抜けるだけでもひと苦労だったというこの商店街。
近年は人口減少の影響や大型スーパーの台頭で訪れる客数とともに商店の数は徐々に減ってしまいましたが、現在も残る商店にはお年寄りをはじめとした市民が日々訪れ、年末には新鮮野菜・鮮魚・精肉などを求め買い物客でごった返します。
あっちで肉を買って、こっちで魚を買って……会計こそ別々だけど、一度でいろんな買い物を済ませることができるのが商店街のよさ。
両側の通路には商店がところ狭しと詰められていて、見ているだけでも楽しいもの。
「来月には『アンコウ』が入るよ〜」なんて、スーパーにはないオススメやお買い得を気軽に教えてくれて、そんな店主との距離の近さも魅力です。
時代の変化とともに、商店街も変わっていきました。
昔からこの地で変わらず商売を続けている店(老舗)
に混じり、新しい顔ぶれ(新店)も。
どんな顔ぶれが軒を連ねるのか見ていきましょう
商店街の誕生前から この場所で
「柿崎青果店」
創業98年の青果店。柿崎青果店は、銀座商店街誕生よりずっと前からこの場所で商店を営んできた老舗です。
毎朝仕入れる新鮮な野菜や果物が、大小様々なカゴにどっさり。
スーパーとは違う対面での販売を求めていらっしゃるお客さんが多数いらっしゃって、お店のお買い得品や、天気のこと、街のこと、体調のこと。様々なコミュニケーションが生まれています。
常連さんからは季節の野菜が入ったら教えてあげたり、こんなの仕入れて欲しいとお願いされることもあるんだとか。
果物が安い。「スーパーでは綺麗な野菜や果物が高い値段で売られているけど、それではこの地域の人は買いづらいんです。」と、地域で長年商売を営んでいるからこそ分かるこの土地の適正価格で販売しています。
もちろん一見さん、大歓迎。旭川に来た時にはあえて商店街でお土産を買ってみてはいかがでしょう。
お土産を渡した人に「これ地元の商店街で買ったんだよ!」と渡すだけで、「どんな商店街だったの!?」と、“お土産話”が盛り上がりそうですよね。
今年4代目店主となった柿崎能成さん(38)は「信頼できる卸業者から安く仕入れているんだよ。きてもらえるお客さんに、安く良いものを提供して喜んでもらえたら嬉しいね。」とお話ししてくださいました。
「これいくら?」『70円でいいよ』「はいよ」。
ひとつひとつ支払いマイバッグに商品を詰めていく姿はまるで掘り出し物を探しているよう。若い人からは「カゴはないのですか?」と聞かれるそうですが……。
そうです、この商店街では、「買い物かごなし」がスタンダードなのです。
親子で切り盛り どこか懐かしい
おやき一個、110円。
変わらない味を 親子でこれからも
「おやきの冨士屋」
メイン通りを歩いていると甘い匂いが漂ってきます。創業35年の「おやきの冨士屋」さんは、定番のあんこの入った大判焼きとたい焼き、キャベツたっぷりのたこ焼きが人気のお店です。
札幌のおやき屋で働いていた店主は、旭川へ責任者として転勤になったのがきっかけでこのお店で働くようになったのだそう。そののち、勤めていた本店が撤退することになった後も屋号の「冨士屋」をそのまま引き継ぎ、「おやきの冨士屋」を創業しました。
現在は息子と親子3人で切り盛り。いまや、地域の"愛されスポット“です。
本格的にお店に立つようになって12年になる息子さんは、一度は就職したのち旭川へ戻ってきて手伝いをしている内に、後を継ごうと決めました。
「辛いと思ったことはありません。お客さんの顔が見えて、美味しいと言ってもらえることが何よりも嬉しいです」。
おやきやたい焼きの中にぎっしり詰まったこだわりのあんこは、美瑛産の「しゅまり」を使用。わざわざ遠くからここのおやきのために足を運ぶ人も多く、ひっきりなしにお客さんが訪れています。
「色んなお店のおやきを食べるけど、結局ウチのが一番。自信を持って出してます」。
と語る自信作は、おやき、一個110円。
銀座商店街に来るならば、このおやき、必食です。
ところで、
冬の定番「タチ」って知ってる?
今日も、良いタチが入ってるよ!
「平野鮮魚店」
と教えてくれたのは平野鮮魚店の大将。58年間銀座で商店を営む鮮魚店の2代目です。
「タチ」とはタラの白子のこと。北海道ではお味噌汁に入れて飲む風景が冬の風物詩。
もちろん生でもお酒のおつまみとして人気で、北海道で「タチポン」といえば「タラの白子ポン酢」のことを指すのです。
一般のお客さんの他にも、居酒屋などの飲食店などプロの料理人たちもこぞって仕入れに来るほどの絶品なんですよ。
タチのほかにも、本州ではあまり見かけないような北海道近海の新鮮な魚が、ところ狭しと並んでいます。
旭川は、北海道のほぼ中央に位置している、いわば“交通の拠点"。
だから、日本海・太平洋・オホーツク海全ての海から、季節ごとに新鮮な魚介類が届けられるのです。
もちろん一般のお客さんも購入可。「旅の帰りに、現地の魚屋さんに寄ってみる」っていうのも、なかなかツウで乙ですよね。
農家を訪れて美味しいと思ったお肉だけ
『愛宕精肉店』
創業50年を迎えた「愛宕精肉店」さん。店主のまさゆきさんが若くして突然他界されたお父様の後を継いだのは、当時まだ24歳の時でした。
「夫婦二人で苦楽をともにしながらここで商売をしてきた」と奥様。
寡黙なご主人も、お肉の話になると真剣な眼差しに。
「何よりもお客様からの信頼を大切にし、北海道産の新鮮なお肉にこだわって、自分が美味しいと思ったものしか出さない」と力強くおっしゃいました。
そんな想いとこだわりをもって作られた店主まさゆきさんオススメの自家製味噌漬けは、
とり肉は100グラム160円(税込)、豚肉は100グラム260円(税込)。まさに地元に寄り添った商店街ならではの、良心的な値段です。
おや、老舗が多い商店街に新しい顔が。
普段とちがって、でも落ち着く場所
「クローバーギンザベース」
ここは銀座のサードプレイス、「クローバーギンザベース」。
フリーのウェディングプランナーとして活躍していたというオーナーの江口さん。この商店街の人たちの温かさに惹かれ、4年前に出店を決めました。
カフェ店内ではブライダルの相談はもちろん、ハンドメイド雑貨も販売しています。
「この地域を訪れる人たちは人に会いにきている方が多いと思います。普段の生活とは少し違って、だけどなんか落ち着く。そんなサードプレイスとしての居場所を作れれば。」
歴史ある商店街に、話し声の弾むアタラシイ場所が生まれました。
商店街に初めてきた人でもお話がしやすい場所。
“銀座初心者”にもおすすめです。
この街の住人に、会いに行く。
商店街は、スーパーには成し得ない人間味のある空気にあふれています。
人と話したくなったら、すこし心が落ち着かなくなったら。
ちょっと様子を見に来るだけでも大歓迎。
この銀座商店街を訪れてみてもいいかもしれません。
写真は、創業80年のフラワー菓子舗さん。
創業時から受け継ぐ「屯田もなか」をはじめ、和洋新旧問わず様々なお菓子たちと、お母さんの柔らかな空気でいっぱいです。
さあ、
温かい人柄がにじむ、この街の住人に会いに来ませんか?
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