1. カラコロと石段に下駄音響く伊香保温泉

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

カラコロと石段に下駄音響く伊香保温泉

  『万葉集』にもその名が登場する上州の古湯。石段街を中心に開けた温泉街は、湯の町らしい情緒にあふれ、竹久夢二など多くの文人に愛された。茶褐色の源泉「黄金の湯」で温まり、石段街をそぞろ歩こう。

湯の町の旅情が漂う伊香保名物の石段街

  約1900年前に発見されたとも伝わる伊香保温泉は、群馬県中央部にそびえる榛名山中腹の標高600メートルから800メートルに開けている。山肌に続く365段の石段街は、伊香保温泉のシンボル。両側には土産物店、饅頭屋、射的などの遊技場が軒を連ね、どこか懐かしい温泉情緒を漂わせている。その風情は、徳富蘆花や竹久夢二など多くの文人、文化人に愛され、徳冨蘆花記念文学館をはじめ、文化人ゆかりの記念館も数多く点在する。石段を上れば伊香保神社や共同浴場があり、モミジに囲まれた河鹿橋が架かる。豊かな自然に囲まれた温泉街を浴衣姿でそぞろ歩いてみたい。周辺にツツジで有名な長峰公園や、榛名湖など見どころも多い。


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茶褐色の「黄金の湯」と透明の「白銀の湯」の2つの源泉

石段街のさらに上にある伊香保共同露天風呂

  伊香保温泉は湯質のよさもあって、江戸時代に湯治場として人気が高まった。武士から町人まで多くの人が訪れる観光名所になり、関所が設けられたほどだ。客に手ぬぐいを渡すサービスや今や全国でおなじみの茶色い温泉饅頭も、伊香保が発祥の地といわれている。
 古くから湧いていた源泉は、硫酸塩泉の「黄金の湯」。元々は無色透明だが、湯の中に含まれる鉄分が酸化して茶褐色になる。肌あたりのやわらかい湯で体の芯まで温まり、子宝の湯としても名高い。平成になって、無色透明のメタけい酸単純泉「白銀の湯」も湧出した。含有成分が微量なので、高齢者や病後の人も入りやすい。伊香保温泉には現在48軒の温泉旅館があり、どちらか一方、あるいは両方の源泉を引いている。黄金の湯の湯元横には源泉かけ流しの伊香保露天風呂がある。丸い湯船は中央で仕切られ、熱めとぬるめの浴槽に分かれている。近くには温泉の飲泉所もある。石段街入口には伊香保石段の湯があり、こちらも源泉かけ流しの共同浴場だ。

竹久夢二や徳冨蘆花など多くの文人、文化人に愛された湯の町

多くの作品を展示する竹久夢二伊香保記念館

  明治時代以降、夏目漱石や田山花袋、萩原朔太郎など数多くの文人や文化人が伊香保を訪れている。石段街の一部には、「榛名山の一角に、段また段を成して……」と、大正4年(1915)に与謝野晶子が詠んだ『伊香保の街』の詩が刻まれている。
 明治の文豪・徳冨蘆花の代表小説「不如帰(ほととぎす)」にも伊香保が登場する。蘆花は伊香保を非常に気に入り、養生のために幾度も訪れた。石段街に近い徳冨蘆花記念文学館には、蘆花終えんの部屋となった建物が移築され、常設展示室では貴重な遺稿や遺品を展示している。
 美人画で一世を風靡した竹下夢二は大正8年(1919)に初めて伊香保を訪れ、以後たびたび伊香保に逗留した。伊香保石段街から車で3分の竹久夢二伊香保記念館は、1万6000点以上の作品や資料を収蔵。美人画にとどまらず、デザイン画や版画、著書など多岐にわたる作品は、多才さを感じさせる。夢二の代表作として名高い「黒船屋」は通常非公開だが、毎年9月16日を中心に約2週間、完全予約制で特別公開される。

ツツジや紅葉の名所など、伊香保周辺は自然豊か

河鹿橋の紅葉ライトアップは幻想的な美しさ

  榛名山の麓に位置する伊香保周辺は、自然も豊か。黄金の湯の湯元近くにかかる河鹿橋は、紅葉スポットとして人気が高い。例年10月末から11月上旬、モミジ、カエデ、クヌギ、ウルシなどがあでやかに色づく。紅葉シーズンにはライトアップも行っている。朱塗りの太鼓橋と紅葉が幻想的に照らし出され、昼間とは違った雰囲気の紅葉が楽しめる。
 石段街から車で5分の長峰自然公園はツツジの名所だ。5月中旬から下旬にかけて、榛名山や伊香保の街を借景に、ヤマツツジの大群落と新緑が楽しめる。車で15分の県立伊香保森林公園でも、5月はレンゲツツジやヤマツツジなど数種類のツツジが花を咲かせる。
 少し足をのばし、湖面に映る榛名富士が美しい榛名湖や、近年はパワースポットとしても注目されている榛名神社を訪れるのもいい。

伊香保の施設情報、交通アクセス

  伊香保温泉露天風呂
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保甲湯本581-1
電話番号:0279-72-2488
営業時間:9時~19時(季節により変更あり・入場は終了1時間前まで)
休館日:第1、第3木曜
料金:450円

車で

  練馬ICから関越道経由115㌔、1時間50分。
石段街下に石段街駐車場 普通車29台(無料)
その他、近隣に市営物聞駐車場などあり

電車で

  東京駅から上越新幹線または長野新幹線で高崎駅まで1時間、上越線に乗り換え普通電車22分の渋川駅で下車。伊香保温泉線バスに乗り、25分の伊香保バスターミナルで下車、石段街まで徒歩5分。

施設情報

  ■伊香保石段の湯
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保36/電話番号:0279-72-4526/営業時間:9時~21時(季節により変更あり。入館受付は30分前まで)/休館日:第2、第4火曜/料金:410円

■徳富蘆花記念文学館
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保614-8/電話番号:0279-72‐2237/開館時間:8時30分~17時(入館は16時30分まで)/休館日:12月25日~29日。その他臨時休館あり/料金:350円

■竹久夢二伊香保記念館
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保544-119/電話番号:0279-72-4788/開館時間:9時~18時(季節により変更あり)/休館日:無休/料金:1728円
http://www.yumeji.or.jp/

写真提供:渋川伊香保温泉観光協会、竹久夢二伊香保記念会館

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