北斎の名画が残るアートと栗の町・小布施
江戸時代に千曲川の舟運や栗で栄えた小布施は、北信濃の文化の中心地だった。多くの文人墨客に愛された町並みに、今も文化や芸術が息づく。
![気品あるたたずまいを見せる小布施の町 気品あるたたずまいを見せる小布施の町]()
長野県北部の北信五岳を望む自然豊かな地に開けた小布施。千曲川と松川が合流する地点にあたり、二つの川が「逢う瀬」が「小布施」になったといわれる。千曲川の舟運が発達した江戸時代には交通と経済の要所として栄え、市がたち、物資と情報が集まる北信濃の中心地だった。幕府御用達の栗の産地としても名高く、豊かな町に多くの知識人や芸術家が集った。
小布施の文化の礎を築いた一人が高井鴻山だ。小布施の豪農・豪商の家に生まれ、江戸や京都に遊学した江戸末期一級の文化人だった。鴻山の招きで浮世絵師の葛飾北斎も小布施を訪れている。
小布施の町は今も文化の香り高く、美術館や博物館が点在。名物の栗の店も立ち並び、そぞろ歩くのが楽しい町だ。
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小路をだどって美術館をめぐる、小布施の町歩き
![高井鴻山記念館近くの“栗の小径” 高井鴻山記念館近くの“栗の小径”]()
小布施は半径2キロにほとんどの集落が入ってしまうこぢんまりとした町。そこに細い路地が通り、多くの美術館や博物館が点在している。
小布施駅から少し歩いた谷街道(国道403号線)沿いに、白壁に黒瓦の町並みが残り、小布施らしい落ち着いた雰囲気が漂っている。この近くに立つ高井鴻山記念館では、鴻山自身の作品を展示するとともに、書斎翛然楼(ゆうぜんろう)を公開している。当時、ここをサロンとして多くの文化人が交流した。今も当時の人たちの息遣いが聞こえてくるようだ。高井鴻山記念館から、北斎の作品を展示する北斎館へ延びる“栗の小径”は栗の角材を敷いた風情のある小道だ。
藩政時代を思わせる陣屋小路の近くには日本のあかり博物館がある。ほかにも日本画家中島千波の作品を展示する「おぶせミュージアム・中島千波館」やおぶせ中国美術館など、小道をめぐってアートに触れよう。
寺院の天井いっぱいに広がる北斎の『八方睨み鳳凰図』
![今にも動き出しそうな鳳凰図。その迫力に圧倒される 今にも動き出しそうな鳳凰図。その迫力に圧倒される]()
自らを“画狂老人”と称し、『富嶽百景』などの名作を残した天才浮世絵師・葛飾北斎。その北斎が印半纏を羽織り、草履姿で小布施を初めて訪れたのは実に83歳の秋だった。高井鴻山の招きによるもので、鴻山は北斎を師と仰いで厚遇。北斎のためにアトリエ碧漪軒(へきいけん)を提供した。北斎は都合4回小布施を訪れ、晩年の集大成ともいえる多くの肉筆画を小布施に残している。
有名なのは、文明4年(1472)創建の古刹、岩松院の本堂の天井に描いた『八方睨み鳳凰図』だ。大きさは21畳分。眼光鋭い鳳凰が生き生きと描かれ、160年経った今も鮮やかな色彩は色あせることがない。北斎の強靭な精神が宿っているかのようだ。ほかにも「北斎館」に多くの肉筆画や屋台の天井が展示してある。特に屋台天井絵の『龍と鳳凰』、男浪・女浪の『怒涛図』は引き込まれそうなあやしい魅力をたたえている。
600年の歴史を持つ献上品の“小布施栗”
![黄金色の栗をたっぷり使った栗おこわ 黄金色の栗をたっぷり使った栗おこわ]()
「小布施といえば?」と聞かれたら、多くの人が「栗」と答えるだろう。それほど有名な名産品だ。小布施の栗の栽培が始まったのは室町時代。その歴史は600年以上といわれている。江戸時代には将軍家への献上品となり、小布施栗は全国に名を馳せた。天領とされた栗林は全国でも丹波と小布施の2ヵ所だったという。初栗の献上が済むまでは栽培農家でさえも口にできず、栗林は留林、そこで採れる栗はお留栗と呼ばれていた。“拾われぬ 栗の見事よ 大きさよ”と小林一茶が当時の様子を句に残している。
今でも栗は変わらず小布施の名物だ。町には200年の歴史を持つ老舗の桜井甘精堂をはじめ、竹風堂、小布施堂など、栗製品を売る店がずらり。栗おこわや栗羊羹、栗かのこなどの和風はもちろん、モンブランやソフトクリームなどの洋風スイーツにもアレンジされている。散策の途中でお気に入りのスイーツを見つけてみては?
おもてなしの心を表現した“花の町づくり”
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小布施は、最近、花の町としても知られている。花の町づくりは、小布施の人たちの「町を愛する」「お客様をおもてなしする」という心から生まれたもの。旅人を快く迎える小布施人のホスピタリティは、昔から受け継がれてきた気質だ。
“オープンガーデン”は、個人が丹精した庭を来訪者に公開し、楽しんでもらおうというもの。平成24年度の時点で127軒が参加している。
そして、“花の町づくり”の中心的な存在が「フローラルガーデンおぶせ」だ。1万5000平方メートルの敷地に花壇や築山、芝生の広場が広がり、四季折々に色鮮やかな花が咲く。敷地内にある「トロピカル・ファンタジー」(鑑賞温室)では300種5000本の熱帯植物が育ち、フェニックスやトロピカルフルーツも見られる。研究棟の「おぶせフラワーセンター」やガーデンレストラン「OBUSE花屋」も敷地内にあり、花好きなら1日いても飽きない。
小布施の施設情報・交通アクセス
車で
練馬ICから関越道、上信越道経由224キロ、3時間。
大日通り沿いに町営松村駐車場普通車150台(4時間まで300円、その後1時間ごとに100円)
電車で
東京駅から新幹線あさまで長野駅まで1時間25分、長野電鉄に乗り換え特急列車25分で小布施駅。
施設情報
■高井鴻山記念館
住所:長野県上高井郡小布施町小布施805-1/電話番号:026-247-4049/開館時間:9時~18時(季節によって変更あり)/休館日:12月31日/料金:300円
■岩松院
住所:長野県上高井郡小布施町雁田604/電話 026-247-5504/拝観時間:9時~17時(季節によって変更あり)/休観日:法要日、年末年始については要問い合わせ
http://www.gansho-in.or.jp/
■フローラルガーデンおぶせ
住所:長野県上高井郡小布施町中松506-1/電話:026-247-5487/開園時間:9時~17時(入園受付は16時30分まで)/休園日:4月~12月は無休(1月~3月は木曜定休)、年末年始/料金:大人200円、高校生100円 ※イベントにより料金変更の場合あり。/駐車場:普通車100台・大型バス6台
http://www.floral.obuse.or.jp/
写真協力:信州・長野県観光協会、フローラルガーデンおぶせ
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車窓から見える長野の広大な景色を楽しみながら、のんびりお酒を飲むのもありだろう。
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