1. 関東を見晴らす都会のオアシス・高尾山

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

関東を見晴らす都会のオアシス・高尾山

  都心から電車でわずか50分ながら、豊かな自然が広がる高尾山。登りやすく、幅広い年齢層が訪れている。

高尾山

  年間260万人以上が訪れ、登山者数は日本一どころか、世界一といわれる高尾山。東京都八王子市にあるこの山は、古くから修験道の霊場として開け、山腹には約1200年前の開山と伝わる薬王院の諸堂が点在している。信仰の霊山として徳川幕府など時の権力者に保護されてきた歴史があり、現在も一帯が明治の森高尾国定公園に指定されて、自然が保たれている。平成19年にフランスのミシュラン社が発行した初の日本版旅行ガイドブックでは、その豊かな自然が評価され、富士山と並ぶ最高の三ツ星観光地に選ばれた。動植物の種類が豊富で、眺望もいい。ケーブルカーやリフトが通い、登山がしやすく、家族みんなで登れるのも魅力だ。

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体力に合わせて選べる7つのコース

中腹まで登れる高尾山―ケーブルカー

  登山者の多くが起点とするのが京王高尾線の高尾山口駅だ。駅から歩いてまもなく、高尾山ケーブルカーや二人乗りのエコーリフトの乗り場に出る。登山コースはここからスタート。標高599メートルの山頂まで3つのルートがあり、途中、分岐道も含めると7つのハイキングコースが山をめぐっている。3つの登山コースは、一般的な速度で登ればいずれも山頂まで1時間30分ほど。もう少しラクに登りたい、という場合はケーブルカーやリフトを利用するといい。高尾山ケーブルカーは、高低差271メートルを約6分で結ぶ。途中のケーブルカーの線路では日本一の急勾配という31度18分の地点は、垂直の壁を上るような迫力だ。
 一番登山者が多いのは、高尾案薬王院の表参道でもある「1号路」。薬王院まで舗装道が続く。沢沿いを登る「6号路」や、稜線を歩く「稲荷山コース」などがある。コースごとに、また四季ごとにも違った風景が展開する。

ビアガーデンやサル園など山腹には楽しみがいっぱい

薬王院の表参道である「1号路」は、赤い灯籠が続く

  ケーブルカーの高尾山駅付近までくると、標高は472メートル。山のふもとより、だいぶ空気がひんやりするのを感じる。「1号路」はこのあたりから視界が開け、展望台からは東京スカイツリーや都庁、横浜や江ノ島、房総半島など関東一円を見晴らす大パノラマが広がる。
 駅付近には、60頭余りのサルが暮らすさる園と、希少な種類も含めて約300種類の山野草が育つ野草園が一緒に広がる高尾山さる園・野草園があって、子どもたちに人気だ。例年、6月下旬から10月上旬には、東京都で一番標高の高いビアガーデンといわれる「高尾山ビアマウント」もオープン。ビール片手に、夜景を眺めながら夕涼み、という来場者が増える。
 「1号路」を進むと、山門や赤い灯籠が立ち、うっそうと茂る杉木立も目を引く。中には根がタコの足のように曲がったたこ杉、天狗が物見をするという推定樹齢700年の天狗の腰掛け杉などもあって、長い歴史を感じる。

1200年以上の歴史を持つ高尾山薬王院有喜寺

登山客でにぎわう御本殿

  高尾山の山腹にたたずむ薬王院は、正式には「高尾山薬王院有喜寺(ゆうきじ)」という。うっそうと茂る木立に包まれてたたずむ山門や仁王門、御本殿、御本社などの伽藍は、風格に満ちている。「1号路」をたどった登山者の多くが参拝し、境内はいつもにぎやかだ。季節の野菜を使った精進料理も人気が高い。
 開山は1260年あまり前の天平16年(744)、聖武天皇の勅令により、東国鎮守の祈願寺として行基が開いた。当初は薬師如来を本尊としたため薬王院の名があるが、戦国時代に山岳信仰の「飯縄大権現(いづなだいごんげん)」を本尊としている。
 境内には天狗の像が立ち、“天狗注意”のユニークな標識もある。天狗は飯縄大権現の随身であり、人々を救う神通力を持つとされる。高尾山では天狗は精霊ともいうべき存在。信仰の山を護るために、参詣者をどこかで見張っているかもしれない。

鳥の声や花々を楽しみ、山並みを見渡す山頂へ

山頂からの眺めは爽快だ

  「1号路」をはじめ、登山道を歩くと、鳥の声が響き、さまざまな花が目を楽しませてくれる。高尾山の自生植物の数は1300種以上といわれ、これはイギリス全土の植物数に匹敵するという。野鳥も100種類以上生息し、日本全土で見られる野鳥の30%にあたるそうだ。古くから守られてきた、まさに自然の宝庫。
 眺望や道沿いの植物を楽しむうちに、登山コースが交わって登山客が増え、やがて山頂に到着する。ケーブルカーの高尾山駅付近からは徒歩約15分だ。山頂の大見晴園地では、周囲の山並みが眼下に広がる。空気が澄んだ日は富士山も見えるという。江戸時代は、武蔵や相模などの関八州はもちろん、信濃や越後、甲斐、駿河など13州が見えたといわれる。
 山頂からの眺めは、登山であることを実感する。いくら登りやすい山であっても、動きやすい靴や服装、雨具や防寒着を持参するなど装備はきちんとしよう。

高尾山の施設情報・交通アクセス

車で

  新宿出入口ICから首都高速4号線、中央道、圏央道経由50キロ、45分。
京王線高尾山口駅近くに市営高尾山麓駐車場普通車83台(12時間まで平日800円、土・日・祝1000円。5月及び11月は全日1000円)など。紅葉シーズンなどは込み合うので、高尾山駅など周辺駅近くの駐車場を利用し、電車で向かうのがおすすめ。

電車で

  新宿駅から京王線準特急などで54分。あるいは新宿駅から中央線特別快速で44分の高尾駅で京王高尾線に乗り換え、3分で京王線高尾口駅。

施設情報

  ■高尾山ケーブルカー
住所:東京都八王子市高尾町2205/電話番号:042-661-4151/運行時間:8時~18時(終発は季節、曜日によって細かく変動するので要確認)/休運日:12月31日/料金:480円

■高尾山さる園・野草園
住所:東京都八王子市高尾町2179/電話番号:042-661-2381/開園時間:9時30分~16時30分(季節によって変更あり)/休園日:無休/料金:420円

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