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ゝ月庵

大雪山の恵みと愛情をたっぷり
お菓子に詰め込んで 東川町「ゝ月庵」

更新:2020年03月05日

北海道旭川市の隣町に位置する東川町。人口減による過疎化に悩む北海道の市町村の中で、ここ数年人口を増やし続けているのがこの東川町です。
そんなこの町に新しい風を吹かせようと、道内外からの移住者や若者らが始めたカフェやショップも増えています。しかしこの地に根付いて数十年、長きに渡りこの地で商売を続けるお店も、もちろん負けじと健在。
今回はそんな東川町にある老舗菓子店、町民とローカル好き、皆に愛される「ゝ月庵(てんげつあん)」を訪ねて、そのこだわりと“東川町愛”に触れてきました。

看板

キュートな看板が目印
町のお菓子屋さん


真っ赤ないちごとたっぷりのクリームがのったケーキが形どられた、ぬくもりのある木彫看板が目を引きます。

2012年に新築した同店は、木をふんだんに使ったやさしい風合いの外観と雰囲気。

実は東川町は木工業が主要な産業のひとつで、町のあちらこちらのお店に、モチーフとして木彫看板が掲げられているんです。

今日もこの看板が、お店を訪れる人を温かく迎えています。

米粉のシフォンケーキ

店の看板商品は、東川町産の米粉を使った「米粉のシフォンケーキ」。

独特のしっとり・もっちりとした食感で、登場以来、愛されて続けています。

鮮やかな黄色のパッケージには、稲穂をモダンにデザイン。

東川町産のお米を、お菓子としておいしく食べてもらいたいと、同店2代目店主の高島郁宏さんが試行錯誤を重ね完成した一品です。

さて、このケーキは、どんな苦労や思いがあって生まれたのでしょうか。
シフォンケーキ

高島さんは、「米粉を小麦粉の代わりだととらえちゃダメ。水分を溜め込む点など、米の特性を踏まえてレシピを考える必要がありました。」と振り返ります。

米粉と真正面に向きあうその甲斐あって、時間が経ってもふんわり感が楽しめるような食感に仕上がりました。

さらに高島さん。は続けます。
「東川町内で使われる水は大雪山の伏流水。実は東川町って上水道がない町なんです。このおいしい水で育った自慢のお米を、どうしてもお菓子として楽しんでほしいと思ったんですよ。」

高島さんの地元への熱い想いから生まれた一品「米粉のシフォンケーキ」は、東川町でしか生まれなかった、東川町でしか体感できない「特別な味」です。

[たびらいセレクション]

高島さん

東川町の魅力や豊かさについて熱く語る高島さん(でも恥ずかしがり屋なので写真は横顔だけ)ですが、若い頃は「こんな田舎はイヤだ」と思っていた時期もあったそう。

都会への憧れと、本格的な洋菓子について学びたいとの気持ちから、かつては東京の有名店などで働いていました。

しかし実際に町を離れてみて、初めて故郷の懐の深さを改めて認識することができ、その後地元に戻って家業を継ぐことを決意したといいます。
色とりどりのケーキ

自慢のシフォンケーキの他にも赤や黄色、ピンク、白、茶色と色とりどりのケーキが並ぶのが「ゝ月庵」のショーケースの見所。

鮮やかで菓子職人の繊細な仕事ぶりが伝わるケーキが、ずらりと揃います。

また、ケーキにトッピングするチョコレートの飾りも店でひとつひとつ手作り。

「手の込んだケーキも作ってはいるけれど、町内の年配の人にウケがいいのは、やっぱりシンプルないちごのショートケーキですね」と高島さんは笑います。

高島さんの地元愛あふれるお菓子はほかにもいろいろ。今回はその中からいくつかを紹介します。
ロールケーキ

こちらも同町の米粉を使ったロールケーキ「絹ロール」。

米粉のしっとり感と、米粉にしか出せない柔らかな風味が楽しめます。

店舗向かいにある道の駅でも販売している人気の一品。

「ドライブしながらでも気軽に食べられるように」との配慮から、通常は1本売りはせず、厚さ2cmほどにカットしたものを2切れ入りで販売しているんだそう。

旅の途中にこのケーキをツマみながら東川町の風景を楽しむのも、なかなか良いですよね。

ひがしかわぷりん

米粉を使ったスイーツ以外に、町内の豆腐屋さんと一緒に作ったプリンも豊かな味わいで人気があります。

東川町にある手作りとうふ店「平田とうふ店」と共同で作った豆乳のプリン『ひがしかわぷりん』はコクがあってなめらか。

ブルーベリーのソースが心地よいアクセントになっています。

豆乳は畑のミルクといわれるだけあり、やさしくて体が喜ぶ味です。
食材に、商品名に、店内にといたるところに東川愛があふれています。

そんな店主の想いと技術は、しっかりと若い世代にも引き継がれているようです。
佐々木 天華さん

同店に入社してもうすぐ7年になるパティシエール、佐々木 天華(てんか)さん。

店主の高島さんが普段はやさしく、でも時に厳しく接しているのは本当の意味で「一人前になって欲しい」から。

次第に佐々木さんが一人で作れるようになったお菓子も少しずつ増え、新作ケーキの考案を任されることもあるそうです。

「彼女が独立する時がきて、ここで習得した味を自分の店でも出したいと言ったら、喜んでオレのルセット(レシピ)を使えって言うよ」と高島さんは笑います。
東川町に生まれ、東川町で育ち、今も脈々と「町の味」として作り手にも受け取り手にも受け継がれている「ゝ月庵」のお菓子。そんな東川町の甘味をしみじみと味わいながら、この土地の豊かさや人々の想い、そして土壌の豊かさに目と舌でふれてみませんか。

これが、ローカルな体験を“本当の意味で楽しんでほしい”と願う、たびらいからの提案です。
東川町産の米粉、豆乳などをはじめ、地元の食材を使ったケーキや焼菓子などを販売するお菓子屋さん。東川生まれ・東川育ちの店主がパティシエで、お母さんが主に接客を担当しています。学校帰りの学生たちや親子連れ、年配客など幅広い年代の人に愛されています。

ゝ月庵(てんげつあん)

【営業時間】8時半~19時半(日曜、第2・4水曜は18時半まで)
【定休日】第1・3・5水曜日
【住所】北海道上川郡東川町南町1丁目1-3
【交通アクセス】旭川中心部から車で約30分
【問い合わせ(TEL)】0166-82-3004
【公式サイト】 https://www.tengetsuan.com/

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