1. たびらい
  2. 観光情報
  3. 北海道観光情報
  4. ガラスの街小樽より 老舗ガラスメーカー 「深川硝子工芸」の工場と支える人々
深川硝子工芸

ガラスの街小樽より 老舗ガラスメーカー
「深川硝子工芸」の工場と支える人々

更新:2020年03月12日

伝統的なガラスの街として知られる小樽。この地で、クリスタルガラスを使った特徴的な製品を製造している工房が「深川硝子工芸」です。1906年(明治36年)に東京の深川で創業し、2003年に小樽に移転した老舗のガラスメーカー。この工房には、ガラスを使った作品に命を吹き込み続け、100年以上引き継いできた想いと歴史があります。そんな「深川硝子工芸」では職人たちが日々行っているガラス作りを垣間見ることができる工場見学を実施中。今回は「深川硝子工芸」の工場におじゃまして、職人たちの粋な姿と心意気に触れてきました。

出口さん

実用的かつデザイン性に
こだわった製品づくり


工場を案内してくださったのは出口 健太さん。

2018年に、父であり先代の社長である新一郎さんから会社を引き継いだ30才の若手の代表です。

昔からの家業が「ガラス工場」であることから、幼い時からガラス製品が身近にある環境で育ちました。国内でも数少ないガラス工場の技術や文化を、後世に繋げたいという想いを強く持ち続け、今日もガラスの町 小樽で緻密な作業に勤しんでいます。

出口さん

そんな出口さんがガラス製品づくりでこだわっているのが、『実用的かつデザイン性をもつ製品』づくり。

「いくらカッコ良い見た目でも使いづらければ意味がない」とおっしゃいます。

出口さんは制作実務のほかに製品のデザインもされており、「インダストリアルデザイン」としての美しさを探求する日々です。
安倍さん

次にお話を伺ったのは、吹き職人の安部 純次さん。

小樽市の高校を卒業後、ものづくりに携わる仕事がしたいという思いから深川硝子工芸へ入社しました。

職人歴は15年で2020年からは職長を務め、職人たちを束ねるリーダーを担当しています。

ちなみに趣味は歌を歌うことで、十八番はスピッツとHAMBURGER BOYS(ハンバーガーボーイズ)なんだとか。
安倍さん

「製品つくる上で試作や練習を繰り返し、最終的に出来上がった時はやりがいを感じます。」と安部さん。

「職人になって15年が経ちますが、まだ簡単だと思ったことはありません。それくらい、一つのグラスを作るにしても様々な技術が必要とされるのです。」

「これからもたくさんの人に使ってもらえる製品がつくれるよう、職人として技術を磨いていきます。」

物づくりへの情熱とたゆまぬ向上心に、おもわず脱帽です。
沼田さん

続いての職人、沼田たまえさんは“切子”職人という肩書の持ち主。

札幌市出身で職人歴14年目の沼田さんは入社当初は加工場を担当されていましたが、先輩の切子職人のつくる製品に興味を持ち、休み時間や休日に先輩に教わりながら切子を学びました。

その後上京し、江戸切子の伝統工芸士である篠崎英明氏の元で1年半の修行の後、深川硝子工芸へ戻って現在に至ります。
沼田さん

「切子の模様は独創性で、かつ、使う人にとって実用的で飽きのこないものを考えてデザインしています。」

「思いつくまでが大変ですが、その分納得のいくものが出来上がって、実際にそれがお客様の目に止まり、さらにご購入いただけたときは凄くやりがいを感じますし、嬉しいですね。」

「自分を切子職人として育ててくださった方々には、感謝してもしきれません。これからも切子の腕を磨いていきたいです。」

沼田さんの言葉からは、長い期間を経て引き継がれてきた、技術とガラス作りへの「執念」がひしひしと、 そしてガラスを作ることへの高揚感にも似た「楽しみ」が、ドキドキと伝わってきます。

そして、その言葉を伺った沼田さんの作業工程を拝見していると、何か「ガラス制作の工程」以上に教えられているものがあるように感じられます。

[たびらいセレクション]

深川硝子工芸

『深川硝子工芸クオリティ』


深川硝子工芸で作られる製品は、クリスタルガラスが使われていることが特徴。

ガラスを扱った工房は数あれど、クリスタルガラスは生産が難しく、国内で生産しているのはたった数社しかないのだそうです。

クリスタルガラスが持つ特徴は、一般的にガラス製品よりも重みがあり、輝きが良く、打音が高くてよく伸びる音を出すこと。

深川硝子工芸の製品はその性質を生かし、氷がグラスの中で転がるときの音の響きが良く、手に持った時に重厚感があり高級感を感じられるように設計されています。

これは、単に"きれいなモノ“を作るだけではなく、その製品がどう使われるのか、使う人の体験(コト)にまで着目した、いわば“コト作り”。

深川硝子工芸の製品に強く込められているのは、如何ようにも形を変えるガラス制作だからこそ職人の皆さんに大切に受け継がれてきた、製品への並々ならぬ「工夫」と「気遣い」です。

ギャラリー

そんな深川硝子工芸の工場にはギャラリーが設置されており、事前連絡をすれば見学が可能となっています。

ここでしか購入できない一点物や限定品が並べられているギャラリーの製品たち。

窯元だからこその色や形の豊富さと、繊細な作りの一つ一つの製品に目を奪われます。

実際に製品を手に取ってみると、クリスタルガラス特有のずっしりとした感覚と、ファイヤーポリッシュで滑らかに磨かれた切子のカットが手触り良く伝わってきます。
工場見学

さらに深川硝子工芸では、製品を見ることができるギャラリーだけでなく、実際にガラス作りを見ることができる工場見学もご用意。

3階が見学通路となっていて、上から職人たちの制作風景を無料で覗くことができます。

さらに、事前予約で「案内付きの見学」を希望すると、吹きガラスの現場になっている2階で職人の作業を間近で見学することも可能(一名ごとに1000円)。

普段何気なく使っているガラス製品が、人の手で作られる光景。それは、機械化が進んだこの時代でも、モノや製品が人から生まれていることを実感できる機会です。

手作りガラスの繊細さ、輝き、美しさが生まれる現場とその瞬間。

貴方も、ここ「ガラスの街 小樽」でその目と手で確かめてみませんか?
1906年、現在の東京都江東区にて深川硝子工芸(旧:井田製壜)創業。それ以来、手づくりにこだわり続けたガラス製品の生産を行っています。2003年に小樽に移転。先人より伝承してきた技術を守り後世に伝えていくこと、そして新しい創造への挑戦を続けていくことを使命として、現在は主に工芸用ガラス製品を製造しています。

株式会社深川硝子工芸

【営業時間】8時〜17時15分
【定休日】土曜日、日曜日
【料金】
・3階の見学用通路からの見学は無料。予約不要。
・現場内の案内付き見学は要予約(有料:1人につき1000円)
【住所】北海道小樽市有幌町2-3
【交通アクセス】JR南小樽駅より徒歩10分
【駐車場】無料(約2台分あり)
【問い合わせ(TEL)】 0134-31-3002 
【公式サイト】 https://fukagawaglass.co.jp/

[たびらいセレクション]

最新情報はこちらからチェック!

旬な観光情報を現地からお届け
×