小樽オルゴール堂で
世界にひとつだけのオルゴール作り体験

小樽堺町通りと入船通りの交わるメルヘン交差点に建つ小樽オルゴール堂。本館に一歩足を踏み入れると、吹き抜けの広々とした空間の中に、所狭しとオルゴールが並びます。アイテムはおよそ3400種類。多い時は1日に2万人もの観光客が訪れる、小樽でも有数の人気スポットです。

しかも、小樽オルゴール堂の店舗はこの本館だけではありません。アンティークなオルゴールを展示した2号館や、オルゴールの手づくり体験ができる「手作り体験　遊工房」など、堺町通り周辺に6店舗が構えられています。

小樽オルゴール堂がオープンしたのは平成元年（1989）。ノスタルジックな小樽の街にはどこか懐かしいオルゴールの音色が似合うのでは……と、オルゴールを集めて販売したのが始まりだったといいます。店舗には、明治45年（1912）に米穀商が本社屋として建てた小樽市指定の歴史的建造物が利用されました。木骨れんが造りで築100年を超える建物は、内部は高さ9メートルの吹き抜けになっています。
レトロな空間とオルゴールの音色が調和して、多くの人が集まる魅力的なスポットになったのですね。

近年、オルゴール堂では、函館や富良野の他、鎌倉や京都など道外にもオルゴールの専門店を出店していますが、アイテム数も店舗の広さも小樽が最大。小樽でしか手に入らないオリジナル商品もたくさん揃えられています。本館には、オルゴールの歴史を紹介したジオラマや、コインを入れると音楽を奏でるディスクオルゴールも展示されており、お土産を選ぶだけではなく、見て聴いて楽しめる内容になっているのです。

とにかく種類が多いので、漠然と見てまわると目移り必至。まず、あらかじめムーブメントが組み込まれたオルゴールにするか、曲を選んでから箱やオブジェと組み合わせるか、どちらかに決めるといいかもしれません。オルゴールの素材も、木製、陶器、ガラス、象嵌細工などさまざま。LEDライトで光るタイプや、金属や七宝焼きの作家もの、壁掛けタイプや手回しオルゴールなどもあります。「音」にこだわった高級オルゴールのコーナーは値も張りますが、その分、大変に美しい音色です。ぜひスタッフに頼んで一度、試聴してみて。大切な人へ思い出の曲をプレゼントしたい時にはぴったりのアイテムですよ。

本館のすぐ近くにある「小樽オルゴール堂2号館 アンティークミュージアム」も、ぜひ足を伸ばしてみてほしいスポット。ドイツやスイスなどの歴史的に価値のあるアンティークオルゴールやオートマタ（自動からくり人形のオルゴール）がたくさん展示されています。

アンティークオルゴールは大きく分けて、円筒型のシリンダータイプと円盤型のディスクタイプの2種類があります。原理はどちらも同じで、取り付けられたピンが櫛歯を押し上げ、はじくことで音を出す仕組み。ディスクタイプの方が音が大きく、曲を交換できるのが利点です。1日6回の実演では、シリンダータイプとディスクタイプ、両方の音を聴くことができます。また、あわせてオートマタ（自動からくり人形オルゴール）も実演。音楽が鳴ると同時に精巧な人形が動くオートマタも、実際に動き始めると目が釘付けになること間違いなし。

展示の中でも注目は「エオリア・パイプオルガン」。明治41年（1908）の製造で、イギリスのヨークシャー州のホールに設置されていたものです。正面や左右にあるパイプは装飾で、音を出すのは内部に組み込まれた大小690本のパイプ。かつては大きなふいごを手動で動かして音を出していましたが、現在はモーターで空気を送り込んでいます。手動の演奏もできますが、小さな穴の開いた専用のロールペーパーで自動演奏も可能。空気を調節する弁を開いたり閉じたりさせ、空気をパイプの中に送り込んで音を出します。手動と自動と両方の演奏が可能なパイプオルガンは、大変珍しく貴重。ぜひ、10時・11時・12時・14時・15時・16時と、1日6回の実演で重厚な音を体感してみて。

小樽オルゴール堂本館の前にそびえ立つ蒸気時計は、カナダから輸入し、観光客をもてなすためのシンボルとして平成6年（1994）に設置されたもの。バンクーバー市の観光名所「ガスタウン」にあるものと同型で、高さ5.5メートル、幅1メートル、重さ1.5トンのブロンズ製です。

バンクーバーの蒸気時計は、時計職人のレイモンド・サンダース氏が、ガスタウンの保存と発展の願いをこめて2年の歳月を費やし製作したものです。小樽オルゴール堂の蒸気時計は同氏の2製作目の作品であり、ガスタウンの蒸気時計と姉妹関係となります。時計自体は電動式ですが、コンピュータ制御によりボイラーで蒸気を発生させ、15分ごとに蒸気で5音階のメロディーを奏でます。また10時、11時など正時には、時刻の数だけ「ポー」「ポー」と音を鳴らします。一番長く楽しめるのは、お昼の12時というわけですね。蒸気とともに急に音が鳴り出すので、驚いて顔を上げる観光客もいるのだとか。

珍しい蒸気時計は、記念撮影のスポットにもなっています。さらに、本館ではこの蒸気時計をモチーフにしたオリジナルオルゴールを販売されており、小さいながらもちゃんと時を刻む時計が組み込まれているので、お土産として人気。店頭で探してみてくださいね。

小樽オルゴール堂本館のはす向かいにある「手作り体験　遊工房」では、手作り体験もできます。席が空いていれば、予約なしで「トッピングフリー」というメニューが体験可能。これは、ベースのオルゴールをガラスのパーツなどで自由に飾りつけるものです。

まずベースとなる好きな曲のオルゴールを決めて、飾りつけるパーツを選ぶところからスタート。パーツによってオルゴール作りの料金は変わります。ひとまず会計を済ませてから、テーブル席に移動して、専用のボンドで貼り付けて完成！　トッピングアイテムを貼り付けた後、乾燥するまで30分間はカウンターに預けなければなりません。1時間以上の余裕を持って来店するのがカギです。旅の記念に、世界でたったひとつのオルゴールを作ってみるのも素敵ですね。

この他にも、事前予約すればさまざまな体験ができます。オルゴールのムーブメントの組み立てをはじめ、ガラスのコップなどに模様を描く「サンドブラスト」、ガラス棒を溶かしてつくる「トンボ玉」、ガラス板をハンダづけする「ステンドグラス」、ガラスの粒でアクセサリーをつくる「フュージング」、フレームやガラス板でつくる「押し花」など。料金や所要時間は、公式サイト（ http://www.otaru-orgel.co.jp/j_youkobo.html ）や電話での問い合わせで詳しく教えてくれます。

小樽オルゴール堂の店舗は、まだまだあります。

本館に隣り合って建つのは「小樽からくり動物えん」。その名の通り動物園をテーマにしたぬいぐるみのセレクトショップで、中に入ったら、かわいいぬいぐるみが勢揃い！子どもはもちろん、女性も自然と笑顔になってしまいます。ビックサイズのクマから、携帯ストラップのような小さいサイズまで、数え切れないぬいぐるみたちが大集合のアニマルワールドです。

また、からくり動物えんと本館の間に設置された金属製のツリーにもご注目。これはプロポーズにふさわしいロマンティックなスポットとして選定された「恋人の聖地サテライト」のあかし。カップルが愛を誓い合った南京錠がたくさん取り付けられています。

本館を挟んで反対側には「キャラクターハウス・夢の音」。こちらはディズニーやモンチッチ、リラックマ、スヌーピーなど、キャラクター雑貨とオルゴールの専門店。2階はジブリ映画のオルゴールとグッズを集めたフロアになっていて、海外客にも絶大な人気を誇ります。聞き慣れた数々の名曲も、オルゴールの音色で聴くと、またひと味違った雰囲気が楽しめそうですね。

また、時間に余裕のない時におすすめなのは「小樽オルゴール堂堺町店」。ここでは本館の人気商品をセレクトしてコンパクトなスペースに並べているので、手軽にオルゴール選びが楽しめます。なお、堺町店にはオルゴールのムーブメントを組み立てる「オルゴール工房」が併設されており、ここで制作したムーブメントを使ったオルゴールが「OTARU MUSIC」のブランド名で販売されているので、そちらにも注目を。職人がひとつ一つ手作業でオルゴールのムーブメントを組み立て、低音や高音の響き、テンポなどをきめ細かく調整しています。組み立てのプロセスを見学しながら、お気に入りの一曲を探してみてください。