国内屈指の山岳リゾート「上高地・乗鞍」
“神が降りる地”と呼ばれた秘境ムードを守りつつ高級感あふれる上高地。360度の大パノラマと高山植物の咲く花畑が広がる乗鞍。日本が誇る山岳リゾートで、都会の喧噪を忘れる休日を過ごしたい。
![穂高連峰をバックにした河童橋。これぞ上高地という風景だ 穂高連峰をバックにした河童橋。これぞ上高地という風景だ]()
標高1500メートル、梓川沿いに開けた「上高地」は江戸期までは人跡未踏の秘境だった。明治末期にシンボルの河童橋が架橋され、大正期には焼岳の爆発で大正池が誕生。昭和8年以降に山岳リゾートホテルが開業して現在の上高地が形作られた。一方、「乗鞍」は高原エリアから山頂エリアへと車道が整備され、日本アルプス3000メートル級の山にもっとも楽に登れることで知られる。開発を進めた一方で、「上高地」「乗鞍山頂」ともに自然環境を守るためのマイカー規制を実施した。どちらも目的までバス・タクシーへの乗り換えが必要となるが快く協力しよう。
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梓川とともに上高地のシンボル河童橋から大正池まで歩く
![焼岳の麓に広がる大正池。誕生時は現在の4倍強の広さがあった 焼岳の麓に広がる大正池。誕生時は現在の4倍強の広さがあった]()
年間135~140万人が訪問する上高地は、長野県、岐阜県、富山県にまたがる北アルプスの南部に位置する。東京・新宿駅からは松本駅に出てアルピコ交通上高地線(ローカル線)に乗り換え、新島々駅からシャトルバスに乗る。東京から片道4時間以上もかかるが、その不便さが“秘境”へ趣く気分を盛り上げる。自動車の場合もマイカー規制のため、さわんどか平湯温泉の駐車場に車を預けてシャトルバスかタクシーで上がる。
シャトルバスの終点・上高地バスターミナルに到着したら、まずは帰りバスの手配をしよう。上高地バスターミナル発の新島々行きと乗鞍高原・白骨温泉行きバスは、乗車券のほかに「乗車整理券」が必要なのだ。窓口で乗車券を購入あるいは提示して、乗車日と乗車時間を申告すると無料発行してくれる。とくにハイシーズンはバス乗車待ちの行列ができるが、乗車整理券が有れば出発10分前に集まればよい。途中のバス停から乗車も可能だが、混雑時は乗れない場合もある。上高地バスターミナル発からの乗車を心かげよう。
上高地の定番トレッキングコースは2つ。上高地バスターミナルから5分ほどの河童橋を境にして、梓川の下流にある大正池を往復するコースと上流の明神池を目指すコースだ。初心者には比較的平坦な道のりで、絶景ポイントも多い大正池往復おすすめだ。起点となる河童橋は長さ36.6メートルの吊り橋で、上流側には穂高連峰と明神岳、下流側に焼岳が望める。ここから散策コースは宿泊施設が集まる右岸コースとカラマツ林が続く左岸コースに分かれ田代橋で合流する。右岸コースではウェストン碑に注目。明治26年(1893)に外国人で初めて北アルプスの前穂高岳に登頂したイギリス人宣教師で、「日本アルプスの登山と探検」を出版し日本アルプスの名を世界に広めた。
田代橋から上高地自然研究路を抜けると田代湿原に出る。木道を歩くと視界が開け、湿原越しの穂高連峰が望める。さらに木道を進むと田代池。樹林の中にほっかりと開けた池で、霞沢岳が顔を覗かせる。サワグルミ、ハルニレの林を抜けて、白い砂礫の道を過ぎるといよいよ大正池に到着だ。大正4年(1915)に焼岳の噴火で泥流により、梓川がせき止められ誕生した。立ち枯れの木々が水面に映える幻想的な光景は、いくら見ても見飽きることがない。河童橋からは往復2時間の距離だが、脚力に自信がない人や、明神池まで足を伸ばしたい人は大正池バス停で降りて、河童橋を目指すといい。
ちょっと優雅に山岳リゾートホテルでランチ&ティータイム
![赤い三角屋根の建物が印象的な上高地帝国ホテル 赤い三角屋根の建物が印象的な上高地帝国ホテル]()
山岳リゾートホテルでランチや喫茶を味わえるのも上高地の楽しみだ。昭和8年(1933)、日本初の本格的な山岳リゾートホテルとして誕生した「上高地帝国ホテル」は巨大なマントルピースのある吹き抜けロビーラウンジで、河童橋近くの「五千尺ホテル」では松本家具が配したシックな喫茶室で、それぞれ一流パティシエが手がけたスイーツが堪能できる。梓川の右岸に立つ「ホテル白樺荘」の名物はジャンボモンブラン。直径10センチの大きさで、中には生クリームがたっぷり。歩き疲れた体にはうれしい。
ランチでは上高地帝国ホテルの特製オムライスとハッシュドビーフ、五千尺ホテルのビーフシチュー、ホテル白樺荘の特製信州牛ビーフカレーなど。そばでは「大正池ホテル」や「上高地西糸屋山荘」がおいしい。アドバイスとしてはランチタイムに注意すること。プランニング通りに行かず、到着した時には閉店していたということは意外とある。目的のレストランをあきらめて、臨機応変に食事をとることも賢い方法だ。
雲上に広がる乗鞍畳平の花畑。ピークは7月中旬から8月上旬
![バス停から階段を降りてお花畑へ。ほぼ平坦でのんびりと歩ける バス停から階段を降りてお花畑へ。ほぼ平坦でのんびりと歩ける]()
乗鞍岳は北アルプスの剣ヶ峰(標高3026m)を主峰とする山々の総称。上高地よりも南側にあり、標高1200~1500mの乗鞍高原までは自動車で上がれる。オシャレなレストラン、そば店、みやげ店、民宿、ペンションなどが集まる賑やかなエリアだ。乗鞍岳山頂はマイカー規制のため、自動車は乗鞍観光センター前の駐車場に預けてシャトルバスに乗車する。
終点の乗鞍山頂畳平バス停に上がったら、まずは深呼吸したい。この時点で標高2700mもあり、真夏でも空気がひんやりと涼しく清々しい。バス停の周辺は畳平と呼ばれ、いくつものウォーキングコースがある。小さな子どもや高齢者がいる家族連れでも、安心なのは1周約30分の「お花畑周遊コース」。足元が確かな木道の上を歩き、6月下旬から7月上旬が見ごろのハクサンイチゲをはじめ、チングルマ、イワギキョウ、トウヤクリンドウなどの高山植物が8月下旬頃まで楽しめる。
乗鞍岳の最高峰・剣が峰へは畳平から往復3時間ほど。標高3026メートルの山頂は遮るものがなく、槍・穂高連峰をはじめとする北アルプス、木曽御嶽山、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳、白山、浅間山など、名だたる名山が見渡せる。登山後半は足元の悪い砂礫の道を登るので、山頂を目指す人はしっかりと登山装備を調えよう。一般的な登山期は7月中旬から10月中旬。天候の悪い時は断念しよう。
上高地・乗鞍へのアクセス情報
電車で
(上高地)新宿駅から特急スーパーあずさ2時間35分、松本駅で松本電鉄に乗り換え30分、新島々駅下車。アルピコ交通バスに乗り換え1時間5分、上高地バスターミナル下車
(乗鞍山頂)新島々駅からアルピコ交通バス47分、観光センター前バス停で乗鞍岳線バス乗り換え50分、乗鞍山頂畳平バス停下車
車で
上高地)中央道松本ICから国道158号経由32.5キロ、50分のさわんど地区(駐車場)。または東海北陸道飛騨清見ICから中部縦貫自動車道・国道158号経由54.5キロ、1時間20分の平湯温泉(駐車場)。それぞれ駐車場に預けてバス・タクシー利用。
(乗鞍岳)中央道松本ICから国道158号経由38キロ、1時間の乗鞍高原(観光センター前駐車場)または東海北陸道飛騨清見ICから中部縦貫自動車道・国道158号経由78キロ、2時間の乗鞍高原(観光センター前駐車場)
高速バスで
(上高地)新宿駅西口から4時間40分、上高地バス停下車
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