1. 名勝「長瀞」でアクティブな休日を過ごす

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

名勝「長瀞」でアクティブな休日を過ごす

  都心から電車で1時間40分の近距離にありながら、豊かな自然が残る長瀞は都民のオアシス。急流下り、ハイキング、花めぐり散策など、気軽にアウトドアスポーツを楽しめる。

長瀞渓谷。瀞とは川の中で流れの緩やかな場所を指す

  埼玉県西北部に位置する長瀞(ながとろ)は、東京湾に注ぐ荒川の両岸に開けた町。上長瀞から高砂橋までの荒川両岸は切り立つ岩壁や奇岩が連なる美しい渓谷で、船頭たちが長い棹で操船する舟下りを楽しむことできる。また、町の総面積の約60%は山林で、標高550メートル前後の山々が四方を囲む。その1つ宝登山は山頂近くまでロープウェイで登ることができ、秩父連山や長瀞の町並みを一望できる。春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬のロウバイと訪れる季節ごとに彩りが変わるのも楽しみの1つだ。

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波しぶきも気持ちよい和船の急流下り

急流を下る和船からはうわっと乗船客から楽しげな歓声が

  大正4年(1915)から続く長瀞ラインくだりは、秩父鉄道長瀞駅から5分ほどの岩畳発着場を境にして、上流側のAコース(親鼻橋-岩畳)と下流側のBコース(岩畳-高砂橋)、全コースの3種類がある。A・Bコースはそれぞれ約3kmを約20分で下る。どちらも急流ポイントはあるが、Aコースの方が川幅が狭く白波が立つ。よりスリル感が味わうならばAコース、ゆったりと広い景色を楽しむならばBコースとなる。
Aコースは長瀞駅前から無料シャトルバスで親鼻橋へ。定員20名ほどの木造和船に乗り込むと、船首と船尾に立つ船頭らが長い棹を巧みに使い、川の流れに和船を乗せる。赤レンガ積みの橋脚がきれいな荒川橋梁が見えると、ぐんぐんと水流が早くなり「小滝の瀬」に突入する。水量の多い日は白波が船内に飛び込んでくるが、船頭の合図に従って波よけのビニールを広げればそれほど濡れない。もっとも夏場は水しぶきが気持ちいい。
船頭のユニークな解説を聞きながら川を下り、流れの緩やかな瀞に入ると中国揚子江の名勝「赤壁」にちなんで命名された「秩父赤壁」が右手に見える。高さ100メートルの絶壁が500メートルほど続き、岩肌から「明神の滝」が流れ落ちている。秩父赤壁の対岸は岩畳。隆起した結晶片岩が荒川の流れに浸食され、畳を敷き詰めたような景観を作っている。Bコースはここを出発し、急流の「大河瀬」へ。その後はゾウ岩、カエル岩などの奇岩や緑豊かな渓谷を眺めながら下る。終点の高砂橋からは無料シャトルバスで長瀞駅前まで運んでくれる。岩畳の上は散策できるので、乗船前後に訪ねるのもいい。

日本武尊の伝説が残る宝登山へ

宝登山ロープウェイで宝登山の頂上近くまでは行ける

  長瀞駅から西側へ進み、巨大な一の鳥居がくぐる。緩やかな登り坂は寳登山(ほどさん)神社の表参道で、正面に見える山が「宝登山」だ。寳登山神社の社伝によると、今から1900余年前に日本武尊が東征の途上でこの地を訪れた。日本武尊は神霊を拝するため山へ登ると、突然山火事が起こり、周囲を火に囲まれてしまう。すると、山犬たちが現れて火を消し止め、日本武尊を山頂に案内すると姿を消した。山犬たちは山の神様の使いであった。このことから、日本武尊はこの山を「火止山(ほどやま)」と命名し、神武天皇、大山祇神、火産霊神の3柱を祀った。その後、光り輝く宝珠が山上を飛翔する神変が起こり、現在の名前で呼ばれるようになる。
山頂に上がる前に寳登山神社を参拝。権現造りの本殿は江戸後期から明治にかけて再建されたもので、平成21年に改修工事が完了し、極彩色の美しい社殿が蘇った。とくに龍や鳳凰をはじめ、中国の孝行話『二十四考』などを題材にした彫刻は一見の価値ありだ。宝登山の山頂へはロープウェイで。境内から坂道を上がった山麓駅から山頂駅まで全822メートルを約5分で登ってしまう。山頂駅周辺は展望台になっていて、長瀞の町並みや釜伏山、武甲山、両神山などが望める。ここから5分ほど歩くと山頂だが、樹林に覆われ眺望はよくないので、しばらく眺望を楽しもう。山頂周辺にはロウバイ園、梅百花園、小動物園があり、例年1月下旬から2月中旬には、ロウバイの黄色い花と馥郁たる香りに包まれる。山頂から樹林の中を少し下ると寳登山神社奥宮がある。静かに参拝したら下山しよう。

3000余本が競い咲くサクラの園

約4キロにわたってソメイヨシノの桜並木が続く北桜通り

  どのシーズンに訪れても魅力的な長瀞だが、とくに春はおすすめだ。3000余本のサクラが次々と咲き、「日本さくらの名所百選」にも選ばれている。桜シーズンの到来を告げるのは秩父鉄道野上駅から15分歩いた「大手の桜」。樹齢200年のエドヒガンザクラで、例年3月下旬頃に町内で一番初めに開花する。その後を追うのが町の天然記念物「法善寺のシダレザクラ」だ。入口近くの「与楽の地蔵さくら」と門をくぐった左手に樹齢100年以上の「弥陀のさくら」がある。枝張りは東西16メートルに及び、満開時は花火のしだれ柳を彷彿させる。
4月上旬になるとソメイヨシノが開花。荒川と秩父鉄道の間を走る「北桜通り」と「南桜通り」の合計800本の桜が満開になると通りは桜のトンネルと化す。荒川西岸の岩畳では約5万本のユキヤナギが白い小さな花を咲かせ、ソメイヨシノと美しさを競う。寳登山神社の表参道には約400本の桜並木があり、参詣者の目を楽しませてくれる。
桜シーズンの締め括りはヤエザクラ。宝登山ロープウェイ山麓駅近くの不動寺周辺では約800メートルの遊歩道沿いに30種類約500本のヤエザクラが植えられ、「通り抜けの桜」の呼び名で親しまれている。ピンク色のカンザン、黄色のウコン、緑色のギョウコウなどバラエティ豊かで、薄いピンク一色のソメイヨシノとはまた違った趣がある。「北桜通り」や「通り抜けの桜」の開花期にはライトアップを実施。ポカポカ陽気の中で眺める昼間の桜もいいが、ライトに浮かぶ幻想的な桜もまたいい。せっかく長瀞を訪れたのならば、昼と夜と両方の桜を愛でてみよう。

長瀞へのアクセス情報

車で

  関越道花園ICから国道140号経由18キロ、30分

電車で

  池袋駅から西武池袋線特急レッドアロー号で1時間20分、西武秩父駅乗り換え秩父鉄道20分、長瀞駅下車
池袋駅から東武東上線1時間20分、寄居駅乗り換え秩父鉄道20分、長瀞下車

長瀞ラインくだり

  住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞
電話番号:0494-66-0950(長瀞ラインくだり案内所本部)
営業時間:9時~16時頃
定休日:12月中旬~3月上旬
乗船料金:A・Bコース1600円、全コース3000円(繁忙期は運航しない場合あり)

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