1. 箱根髄一のレジャースポット「芦ノ湖」

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

箱根髄一のレジャースポット「芦ノ湖」

  大温泉郷である箱根の西端に広がり、富士山も望む景勝地。湖畔には旧東海道の杉並木から続く箱根関所やパワースポットの箱根神社など見どころが多く、観光船やロープウェイも通っている。

華やかな装飾で彩られた海賊船で芦ノ湖を遊覧

  神奈川県の西端、標高724メートルに広がる芦ノ湖は、箱根温泉郷を代表するリゾートスポットだ。富士箱根伊豆国立公園の豊かな自然に包まれ、江戸時代の史跡や、湖を望む美術館、ロープウェイ、水族館など豊富な見どころが並ぶ。和・洋の温泉宿泊施設もそろっている。湖畔は、南から「箱根町」「元箱根」「箱根園・湖尻・桃源台」の3つのエリアに分かれ、各港を海賊船や遊覧船が結んでいる。箱根関所が残り、江戸時代の面影を残す箱根町エリア、関東総鎮守の箱根神社が立つ元箱根エリア、ロープウェイなど乗り物が豊富な箱根園・湖尻・桃源台エリアなどそれぞれ特徴がある。少し内陸に入った「芦之湯・大芝」エリアには文豪が愛した名湯が湧く。

箱根関所で江戸時代の旅人気分を味わう

大番所・上番休息所には、役人の人形が並びリアルな光景が

  箱根町エリアの一番の見どころは、江戸時代、東海道の要衝だった箱根関所だ。古文書から解明した建物や調度品が復原されている。旧東海道の杉並木から続く江戸口御門から入ると、メイン施設だった大番所・上番休息所、見張りのいる足軽番所、馬をつなぐ厩などがあり、京都側の京口御門に出る。小高い山の上には関所を見下ろす遠見番所も復原されている。建物や石垣、そして調度品や武器などの道具類にいたるまで、当時の様子を忠実に再現してあり、目で歴史を体感できる。取り締まり対象である「入鉄砲と出女」の中でも、箱根関所は特に「出女」に対する取り締まりが厳しかった。出女は、幕府の人質として江戸で暮らしていた地方大名の妻子が国許へ逃げることだが、人見女と呼ばれる女性が髪をほどき、ほくろの位置や数など、証文に記載されている身体的特徴と一致するまでチェックしていたという。同じ敷地内には、箱根関所資料館があるので立ち寄って、より深く関所の歴史に浸ってみよう。このエリアには、他に箱根駅伝ミュージアムや眺めのいい恩賜箱根公園などがある。

美術館や花の名所、パワースポットも訪れたい

4万5000坪の広大な庭園にツツジが咲く小田急山のホテル

  芦ノ湖に来たら、華やかな箱根海賊船(箱根町~元箱根~桃源台)や、芦ノ湖遊覧船(箱根関所~元箱根~箱根園~湖尻)で湖上から湖岸の風景を眺めたい。船からひときわ目を引く赤い鳥居が立つのが元箱根エリアだ。鳥居から続く参道の奥に、古くから山岳信仰の霊場として信仰を集めてきた箱根神社がある。杉並木が続く参道や境内は厳かな雰囲気。運開きの神様として、また関東屈指のパワースポットとして多くの参拝者が訪れている。元箱根エリアには、ほかに現代日本画など4000点を所蔵し、展望テラスも人気の成川美術館、5月に30種3000株のツツジが咲き誇る小田急山のホテルなどがある。
 遊覧船の発着地がある箱根園は、アザラシなどのショーが楽しめる箱根水族館が人気だ。箱根駒ヶ岳ロープウェーに乗って約7分で到着する駒ヶ岳山頂には、神社「箱根元宮」が立つ。駒ヶ岳山頂までは桃源台からも箱根ロープウェイがあり、大涌谷に続いている。湖尻から桃源台にかけては、レンタルボート屋が点在しているので、スワンボートや手漕ぎボートが乗るのもいい。湖の美しさが身近に感じられるはずだ。

白濁の硫黄泉やエメラルドグリーンの湯が湧く芦之湯温泉

「美肌の湯 きのくにや」の貸切源泉風呂「正徳の湯」

  芦ノ湖温泉は16ほどの宿があり、湖畔の芦ノ湖エリアと駒ヶ岳山麓の芦之湯エリアに分かれる。
 芦之湯は“七色に変化する湯”といわれ、硫黄泉や硫酸塩泉など複数の泉質が楽しめる。江戸時代には国学者である賀茂真淵や本居宣長など多くの文化人が滞在した。今も老舗旅館が残る。
 滝廉太郎が療養滞在した「美肌の湯 きのくにや」は創業300年。女性に人気のぬるめの硫黄泉のにごり湯と、湯ノ花沢から引いた無色透明の熱めの湯の2種類の湯に入れる。「鶴鳴館 松坂屋本店」も明治維新の志士や皇太子殿下が訪れた老舗旅館だ。風呂は、敷地内に湧き出す自家源泉100%。風呂に注がれたばかりはエメラルドグリーンだが、空気に触れて酸化すると白濁や透明の色に変化していく。その日の天気や湿度によって、その色合いが異なるというめずらしい温泉だ。

芦ノ湖のビッグイベント「芦ノ湖夏まつりウィーク」

芦ノ湖の花火は、箱根の夏の風物詩

  毎年、7月31日~8月5日の1週間は、多くの祭事やイベントで芦ノ湖が盛り上がる。箱根神社の御祭事として行われるのが、芦ノ湖の守り神である九頭龍を奉る「湖水祭」(7月31日)や、鎮座以来続く「例大祭」(8月1日)、御神幸祭(8月2日)、駒形神社例祭(8月3日)龍神祭(8月4日)、鳥居焼祭(8月5日)だ。
それに加え、この期間は「芦ノ湖夏まつりウィーク」として、花火大会や夜店、大神輿、太鼓なども催される。打ち上げられる花火の総数は約1万2500発。水上に上がるロマンチックな夏の風物詩として、毎年人気をよんでいる。遊覧船に乗って眺めるのも芦ノ湖らしい楽しみ方だ。花火は元箱根湾や箱根園湾、湖尻湾など、日によって打ち上げ場所が変わる。

芦ノ湖の施設情報・交通アクセス

  芦ノ湖夏まつりウィークの問い合わせ先
箱根町総合観光案内所 電話:0460-85-5700
https://www.hakone.or.jp/

写真協力:箱根町企画観光部観光課、箱根観光船株式会社、美肌の湯きのくにや

車で

  厚木ICより約60分、御殿場ICより約50分
元箱根・箱根町のエリアには、有料・無料の駐車場多数あり。

電車で

  新宿駅より小田急ロマンスカーで箱根湯本駅まで1時間25分。
小田原駅より箱根登山鉄道で20分。

施設情報

  ■箱根関所
住所:神奈川県足柄下郡箱根町箱根1/電話番号:0460-83-6635/開館時間:9時~17時(12月~2月は~16時30分、入場は閉館の30分前まで)/休館日:無休/http://www.hakonesekisyo.jp/

■箱根海賊船
住所:神奈川県足柄下郡箱根町箱根161(箱根町港)/電話番号:0460-83-6325(箱根観光船 運航部/営業時間:9時50分~17時(季節、港により異なる)/休館日:荒天時/ http://www.hakone-kankosen.co.jp

■芦ノ湖遊覧船
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根45-3(箱根船舶営業所)/電話番号:0460-83-6351/運航時間:季節、港により異なる/休館日:荒天時/ http://www.izuhakone.co.jp

■箱根 駒ヶ岳ロープウェー
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根139/電話番号:0460-83-1151/開館時間:9時10分~16時50分(季節によって異なる)/休館日:無休(整備点検運休あり) http://www.izuhakone.co.jp

バスツアーで芦ノ湖へ行こう

  車だと渋滞が気になったり、電車だと座れなかったり…芦ノ湖までの移動時間は結構苦労する人が多いようだ。そこでおすすめなのが “バスツアー”。

バスツアーなら席も確保されているので安心。
運転する必要がないので、友達や家族との会話も楽めるし、昼寝も自由。
箱根の車窓を楽しみながら、お酒を嗜むのもありだろう。

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