1. そそり立つ岩峰と清流の渓谷美・昇仙峡

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

そそり立つ岩峰と清流の渓谷美・昇仙峡

  見上げるばかりの巨大な岩峰「覚円峰(かくえんぽう)」をはじめ、奇岩や滝が壮大な景観を創り出す景勝地。正式には「御嶽昇仙峡(みたけしょうせんきょう)」といい、国の特別名勝に指定されている。

昇仙峡のシンボル「覚円峰」と手前に見える天狗岩

  昇仙峡は、甲府盆地北部を流れる荒川の上流に続く渓谷。花崗岩が浸食された巨大な岩峰と、清流や緑が織り成すダイナミックな風景が展開する。特に秋は白い岩肌が紅葉に映え、いっそう美しい。独特の景観は多くの人の心をとらえ、昭和25年(1950)に毎日新聞社が行った「新日本観光地百選」のハガキ投票で渓谷部門 1位に選出。平成21年に読売新聞社が行った「平成百景」でも富士山に次ぐ第2位の得票数を獲得した。渓谷沿いに約4.5キロの遊歩道が整備され、トテ馬車も通っている。遊歩道の先に、影絵作家・藤城清治氏の作品を展示する昇仙峡影絵の森美術館や、昇仙峡ロープウェイもあるので、1日かけてゆっくりめぐりたい。

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レトロな橋を見ながら遊歩道へ。次々と奇岩が現れる

昇仙峡の入り口に架かるアーチ橋の長潭橋

  昇仙峡の遊歩道は、標高約460メートルの長潭橋(ながとろばし)から標高700メートルほどの仙娥滝 (せんがたき)まで約4.5キロ続いている。バスや車で仙娥滝の上まで行き、下ってくることもできるが、下から上って行く方がより景色が美しいといわれる。一般的な速度で歩いて2時間ほど。急坂はなく、道も整備されている。
 昇仙峡口バス停から遊歩道に向かうと、すぐに長潭橋が見えてくる。昇仙峡の玄関口として、大正14年(1925)に竣工されたアーチ橋だ。ゆるやかな曲線が渓谷にやさしい表情を加えている。近くにはトテ馬車発着所があり、ここから行程の半分ほどの距離をトテ馬車に乗って行くこともできる。遊歩道の前半は、左側を流れる渓流沿いに次々に現れる奇岩を見つけるのが楽しみだ。カメそっくりの亀石に始まり、オットセイ岩や大砲岩、ラクダ石、松茸石、ハマグリ石など。四角い豆腐を包丁でスパッと切ったようなトーフ岩など、ネーミングもユニークだ。

夢の松島、もみじ回廊、覚円峰……。壮大な景色に圧倒される

水しぶきを上げる「仙娥滝」は、マイナスイオンたっぷり

  遊歩道を歩き進むと、カップルで渡ると愛が実るといわれる「愛のかけ橋」や、県の天然記念物に指定された名所「天鼓林(てんこりん)」がある。林の中で足を強く踏み鳴らすと地中から鼓に似た音が返ってくるという不思議な場所だ。トテ馬車が折り返す地点を過ぎると、対岸に松と岩が美しい「夢の松島」が現れ、遊歩道はモミジの多い「もみじ回廊」へ入る。見上げれば、「天狗岩」と昇仙峡のシンボルともいうべき「覚円峰」も見えてくる。覚円峰は高さ約180メートルの巨岩の頂で、覚円とよばれる僧が座禅を組んだという言い伝えから名がついた。「石門」をくぐり、昇仙橋を渡って対岸に出ると間もなく「仙娥滝」だ。高さ約30メートルからなめらかな岩肌を落ちる姿は壮麗で、日本の滝百選に選ばれている。“娥”は美しいという意味があるという。
 昇仙峡の風景は四季折々に魅力的だが、新緑と紅葉のシーズンは特に人気が高い。紅葉は、標高差があるので例年10月下旬~11月下旬と1カ月間以上にわたって見られる。

影絵に魅せられ、ロープウェイで大パノラマを見晴らす

独創的な世界に引き込まれる昇仙峡影絵の森美術館

  遊歩道以外にも昇仙峡周辺の見どころは多い。仙娥滝の近くには昇仙峡影絵の森美術館があり、世界的に有名な影絵作家の藤城清治氏の作品をはじめ、画家の山下清氏が残した『貼り絵 昇仙峡』などを展示している。何層にも紙やフィルムを重ね合わせた緻密な影絵が、背面から光に照らされて、幻想的な世界を創り出している。
 美術館から5分ほど歩くと、昇仙峡ロープウェイの乗り場に出る。約5分で到着するロープウェイ山頂からは、日本一高い富士山、2位の北岳、4位の間ノ岳(あいのだけ)などの山々を一望する大パノラマが広がる。さらに山道を10分ほど歩いた弥三郎岳の頂上は360度の眺望が開け、南に富士山、西に南アルプス、東に秩父連山など、雄大な山並みを望む。
さらに足を延ばせば、昇仙峡を登りつめた先の金峰山を御神体とした金櫻神社や、大小の滝が見られる板敷渓谷がある。金櫻神社では、御神木の「鬱金の櫻」が咲く4月下旬から5月上旬にかけて参拝すると金運に恵まれるといわれ、この時期は特に参拝者でにぎわう。

昇仙峡の施設情報・交通アクセス

車で

  新宿出入口から首都高速4号新宿線、中央道経由141キロ、2時間10分。
遊歩道入り口に市営天神森普通車50台(無料)など。

電車で

  新宿駅から特急あずさで1時間20分の甲府駅下車。山梨交通バス昇仙峡行きバスで30分の昇仙峡口下車、すぐ。

高速バスで

  新宿駅西口から高速バスで甲府駅まで2時間10分。

施設情報

  ■トテ馬車
住所:山梨県甲府市平瀬町/電話:055-287-2158 (昇仙峡観光協会) /営業時間:9時~15時/運休日:悪天候日、12月中旬~3月/料金:大人1500円、子ども500円(定員15人、6人以上で出発)

■昇仙峡影絵の森美術館
住所: 山梨県甲府市高成町1035-2/電話:055-287-2511 /開館時間:9時~17時/休館日:無休/料金:大人800円、中学・高校生500円、小学生400円、園児200円
http://www.kageenomori.jp/

■昇仙峡ロープウェイ
住所:山梨県甲府市猪狩町441/電話:055-287-2111/営業時間:9時~17時30分(12月~3月は、~16時30分)/運休日:12月1日~3月19日(年1回整備点検あり)/料金:大人(中学生以上)往復1000円、片道550円。子ども(小学生以下~4才まで。3才以下は無料)往復500円、片道270円。ペット往復300円。
http://www.shousenkyo-r.jp/index.html

写真協力:やまなし観光振興機構、甲府市観光協会、昇仙峡影絵の森美術館

バスツアーで昇仙峡へ行こう

  車だと渋滞が気になったり、電車だと座れなかったり…昇仙峡までの移動時間は結構苦労する人が多いようだ。そこでおすすめなのが “バスツアー”。

バスツアーなら席も確保されているので安心。
運転する必要がないので、友達や家族との会話も楽めるし、昼寝も自由。
車窓から美しい渓谷を眺めながら、のんびりお酒を嗜むのもありだろう。

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