1. 二つの頂からなる関東の名山・筑波山

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

二つの頂からなる関東の名山・筑波山

  なだらかな裾野をひいて優美な姿でそびえる双耳峰。山頂からの関東平野を一望にする眺めが、筑波山の最大の魅力。

筑波山①撮影・福田国士

  茨城県の中南部に連なる筑波山地の主峰が筑波山だ。標高871メートルの男体山(なんたいさん)と877メートルの女体山(にょたいさん)の二つの頂をもつ双耳峰(そうじほう)で、標高3776メートルの富士山と比較すると高さは約4分の1。だが、昔から「西の富士、東の筑波」と並び称されてきた関東の名山だ。山肌の色が朝は藍(あい)、日中は緑、夕方になると紫色へ変化することから「紫峰(しほう)」とも呼ばれる。男体山と女体山へは登山道が整備されているが、ケーブルカーやロープウェイを利用すると誰でも手軽に登れる。特に女体山の山頂に立てば、関東平野の雄大な景色に思わず感激。中腹には筑波山温泉が湧き、登山後の疲れを癒やせるのがうれしい。優美な姿の筑波山は眺めるだけではなく、登ってこそ、その魅力が実感できる。

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富士山をも遠望する関東平野の大パノラマ

女体山山頂/撮影・福田国士

  男体山と女体山のほぼ中間、みやげ店やレストランが建つ標高800メートルの鞍部が御幸ヶ原(みゆきがはら)。売店で目を引かれるのは、江戸時代に傷薬として用いられた軟膏「ガマの油」。いつしか筑波山の名物となり、人気の土産になった。
ここから男体山へは、急な岩場を登り15分余。筑波山神社男体山本殿が鎮座し、木々の向こうに関東平野がほどよく見渡せる。女体山へは御幸ヶ原を経由し約25分。道すがらガマに似たガマ石がある。ガマの口の中に石を投げ込むと、金運に恵まれるらしいので挑戦してみよう。急坂を登りきり、岩場に立つと関東平野が視界いっぱいに飛び込んでくる。その雄大さにただただ見とれるばかり。取材のとき出会った50代の女性は「こんな広々とした眺めは生まれてはじめて。すごい景色に感動です」と興奮気味だった。西側以外は眺望が開け、正面には筑波研究学園都市の町並み、霞ヶ浦や筑波連山が一望でき、東京や富士山も遠望。空気が澄む秋は東京スカイツリーまで見渡せる大パノラマに思わず息を飲む。
歩いて下山するなら女体山から筑波山神社へ達する2.8キロ(1時間35分)の白雲橋(しらくもばし)コースをおすすめしたい。大仏岩や弁慶七戻りなど、ユニークな奇岩怪石と出会える。

自然の色彩が季節ごとに筑波山を染め上げる

ケーブルカー

  筑波山の春の訪れは早く、2月中旬には中腹の筑波山梅林をウメの花が埋め尽くす。4月上旬には、山頂付近に自生する約3万株のカタクリが見頃を迎え、4月中旬まで「筑波山頂カタクリの花まつり」を開催。2ヘクタール余のカタクリの里が開放されるのは、まつり期間中のみ。5月上旬まで赤や紫のツツジも筑波山を彩る。
6月はケーブルカー沿線にアジサイが開花。筑波山がより華やぐ季節だ。ピリーリー、ポィヒーリー、ピールリ、ピールリ、ジィ、ジィと夏を謳歌するのはオオルリの鳴き声。紅葉の見頃は11月中旬~下旬。ブナやイロハモミジ、ミズナラ、ハダカエデなどが筑波山を紅や黄色に染め上げる。特に美しい紅葉が見られるのはケーブルカー宮脇駅周辺と沿線。紅葉期におすすめしたいのは、ケーブルカー沿いに延びる御幸ヶ原コースを歩くこと。紅葉が、さらに間近に見られる。
ロープウェイは冬限定で夜間営業を実施。山頂からはつくば市や土浦市をはじめ東京、埼玉、千葉の夜景が眺められ、まるで満天の星空のような輝き。夜の筑波山空中散歩を兼ねて訪ねてみよう。

3000年の歴史を刻む筑波山神社。その門前には温泉が湧く

筑波山ホテル青木屋の露天風呂/撮影・福田国士

  筑波山をご神体と仰ぐ筑波山神社は、約3000年の歴史を誇る古社。境内は山頂を含み約370ヘクタールと広大。本殿は男体山と女体山の山頂に鎮座する祠。男体山は男の神・伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、女体山は女の神・伊弉冊尊(いざなみのみこと)を祀り、縁結びや夫婦和合に霊験あらたか。拝殿はケーブルカー宮脇駅近く、堂々とした権現造りが老杉に包まれて建つ。筑波山神社の例大祭「御座替祭(おざがわりさい)」は4月1日と11月1日に開催。春は“かがいの舞”、秋は“浦安の舞”を神に献上する「奉幣祭(ほうべいさい)」などを行う筑波山最大行事。三代将軍・徳川家光(いえみつ)が奉納した茨城県指定文化財の御神橋を渡ることができるのは、この2日間だけ。
「さあさあ、お立ち合い。御用と急ぎでなかったら、ゆっくりと聞いておいで……」とはじまるのが、ガマの油売りの口上。土・日曜・祝日(荒天時を除く)の10時~15時、拝殿の総門前で日本刀片手に大道芸を披露。実演するのは、筑波山がまの油売り口上研究会の人たちだ。
その門前には筑波山温泉が湧く。湯はペーハー10の強アルカリ性。肌がすべすべになる。温泉宿は6軒あり、日帰り入浴可能な宿が多い。日中は大らかな関東平野、薄暮からは夜景を眺めながら入れる筑波山ホテル青木屋の露天風呂で筑波山の余韻に浸るのも一興だ。

筑波山の施設情報・交通アクセス

車で

  常磐道土浦北ICから国道125号、県道14・42号経由20キロ、30分

電車で

  秋葉原駅からつくばエクスプレス快速45分、つくば駅下車。つくばセンターバスターミナルからつつじヶ丘行きバス40分、筑波神社入口下車徒歩15分で筑波神社。

施設情報

  ■筑波山ケーブルカー
住所:茨城県つくば市筑波1/電話番号:029-866-0611/運行時間:9時20分~17時(土・日曜・祝日は9時~17時20分)、季節により異なる/定休日:定期検査のため冬季運休期間あり/料金:片道580円、往復1050円

■筑波山ロープウェイ
住所:茨城県つくば市筑波1/電話番号:029-866-0945/運行時間: 9時20分~17時20分(土・日曜・祝日は9時~17時40分)、各季節により異なる/夜間運行:17時~21時。運行は10月と11月が土・日曜・祝日、12月~2月は金・土・日曜・祝日/定休日: 定期検査のため冬季運休期間あり/料金:片道620円、往復1100円。夜間運行は往復のみで1000円

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  車だと渋滞が気になったり、電車だと座れなかったり…筑波山までの移動時間は結構苦労する人が多いようだ。そこでおすすめなのが “バスツアー”。

バスツアーなら席も確保されているので安心。
運転する必要がないので、友達や家族との会話も楽めるし、昼寝も自由。
ハイキングを楽しんだ後に、車内でのんびりお酒を嗜むのもありだろう。

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