1. サッパ舟と古い町並みに情緒が漂う佐原

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

サッパ舟と古い町並みに情緒が漂う佐原

  土蔵の商家や千本格子の民家が軒を連ね、江戸時代に小江戸と呼ばれた昔町へタイムスリップ

佐原の古い町並みを眺めながら小野川を遊覧するサッパ舟

  江戸時代に利根川水運の河港として栄えた千葉県北東部に位置する佐原。往時の面影を残すのは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された市内を流れる小野川沿い。土蔵造りの商家や千本格子の民家、岸辺から川面に枝を落とす柳など風情は満点。日本地図を手掛けた測量家の伊能忠敬(いのうただたか)の旧家も、この河岸に建つ。
佐原は江戸時代から小江戸と呼ばれ、こう唄われた。「お江戸見たけりゃ 佐原へござれ 佐原本町 江戸まさり」。小野川には女船頭が操る観光用の小舟・サッパ舟が行き交う。船頭のいでたちも古風で、風情ある町並みにアクセントを添えている。5月下旬には水郷佐原水生植物園で「あやめ祭り」を開催。夏と秋には「佐原の大祭」が行われ、町はさらに活気づく。佐原は時間をかけて、ゆっくりと散策したい昔町だ。

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日本初の実測地図を作った伊能忠敬。彼の偉業は伊能忠敬記念館で

伊能忠敬旧宅(撮影=福田国士)

  江戸時代後期、日本地図の「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)」作成に尽力したのが伊能忠敬だ。忠敬は17歳で佐原の伊能家の婿養子になり、49歳で家督を長男に譲る。翌年、幕府天文方の高橋至時(よしとき)に師事。55歳から71歳まで全国を歩いて測量し、大日本沿海輿地全図の基礎を作り上げた。だが、その完成を見ることなく生涯を終えてしまう。享年73。
小野川河畔に建つ伊能忠敬旧宅(9月再公開予定。見学無料)は、店舗と母屋からなる。母屋は寛政5年(1793)に建てられた忠敬自身の設計。佐原でも古い時代の建物のひとつだ。
忠敬の偉業は、すぐそばの伊能忠敬記念館で見て欲しい。測量研究者のための資料、忠敬愛用の遺品、車の回転数によって距離を測定した歩数計の量程車(りょうていしゃ)や象限儀(ぞうげんぎ)などの測量器具も紹介。国宝で伊能図と呼ばれる忠敬が作成した数々の日本地図は興味深く、じっくり眺めていると時間が経つのも忘れてしまうほど。伊能図や測量器具は2か月ごとに展示替え。忠敬の銅像が記念館から徒歩10分の佐原公園に立つ。

大きな人形を載せた山車を曳き回す、年2度開催の佐原の大祭

佐原の大祭

  関東屈指の祭り「佐原の大祭」とは、夏の八坂神社の祇園祭と諏訪神社の秋祭りの二つをいう。どちらの祭りも山車(だし)が見もの。祇園祭には10台、秋祭りには14台が繰り出し、佐原囃子(ばやし)の音とともに町内を練り歩く。山車は町ごとに所有し、上部に載った大きな人形が自慢。神武天皇、源義経、菅原道真らの歴史上の人物のほか金太郎や浦島太郎など、おとぎ話の主人公も見られる。見物客の視線を集めるのは、祭りのハイライトのひとつ「の」の字回し。山車の前の一方の車輪を軸に、後輪を担ぎ上げるようにして「の」の字を書く要領で、あたかも人形が能を舞っているように数回ゆっくりと回転させる。巧みな山車の操りに拍手喝采がおこる場面だ。祇園祭は7月10日以降の金・土・日曜、秋祭りは10月の第2土曜を中日とし、それぞれ3日間開催。佐原の大祭は約300年の伝統をもつ国指定重要無形文化財だ。
山車は、八坂神社境内の水郷佐原山車会館に展示。24台のうち、各祭りから1台ずつ順繰りに紹介。間近にする山車は豪華絢爛で圧巻。緻密な山車彫刻には目を奪われてしまう。山車に飾る人形は企画展示室で見られ、高さ約5メートルは日本一を誇る。

ハナショウブやハスが咲く水郷佐原水生植物園は、水郷の花の楽園

水郷佐原水生植物園

  市街の北、利根川を越えた与田浦にある水郷佐原水生植物園は、水郷地帯を代表する施設。5月に入ると6ヘクタールの園内にアヤメやカキツバタ、ハナショウブが咲きはじめ、水郷の初夏を艶やかに彩る。5月上旬に見頃を迎えるのがフジ。長さ100メートルの藤棚が見事。
佐原が年間でもっとも賑わうのは、5月下旬~6月下旬開催の「水郷佐原あやめ祭り」の時期。伊勢系、肥後系、江戸系など東洋一を誇る400種150万本のハナショウブが紫、白、ピンクと色とりどりに開花。遊歩道をたどっても楽しめるが、おすすめしたいのは期間中に運航するサッパ舟(500円)。船上からは視線と同じ高さで眺められ、風情もひとしお。サッパ舟は女船頭が竿(さお)一本で巧みに操る。佐原囃子の演奏と手踊り、嫁入り舟など期間中のイベントは見逃せない。
7月中旬~8月中旬は「はす祭り」を開催。品種は、大賀ハスや舞妃蓮(まいひれん)など300種以上と日本一。花の中にもうひとつ花を咲かせたように見える重台蓮(ちょうだいれん)、八重絞りの大洒錦(たいせいきん)といった日本では数少ない貴重な品種も観賞できる。

佐原の施設情報・交通アクセス

車で

  東関東道佐原香取ICから県道55号経由4キロ、8分

電車で

  東京駅から総武線快速エアポート成田で1時間15分成田駅乗り換え、成田線30分佐原駅下車

高速バス

  東京駅八重洲南口から鉾田駅行き高速バスで1時間20分、佐原駅下車

施設情報

  ■伊能忠敬記念館
住所:千葉県香取市佐原イ1722-1/電話番号:0478-54-1118/開館時間:9時~16時30分(入館は30分前まで)/定休日:月曜(祝日の場合は開館)、年末年始/料金:500円

■水郷佐原山車会館
住所:千葉県香取市佐原イ3368/電話番号:0478-52-4104/開館時間:9時~16時30分(入館は30分前まで)/定休日:月曜(祝日の場合は開館)、年末年始。あやめ祭り期間中は無休/料金:400円

■水郷佐原水生植物園
住所:千葉県香取市扇島1837-2
電話番号:0478-56-0411(水郷佐原水生植物園)、0478-52-6675(水郷佐原観光協会)/開園時間:9時~16時30分(あやめ祭り期間中は8時~18時30分、はす祭り期間中は8時~16時で土・日曜・祝日は6時~)/定休日:月曜、年末年始。5月~8月は無休。2014年9月~2015年3月は再整備工事のため休園予定/料金:500円(9月~4月は200円)、あやめ祭り期間中は700円

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