北海製罐倉庫/小樽
【投稿日】2013年09月24日(火)| 北海道発
小樽の近代建築の合理的、機能的な姿を水辺に映す

運河の街として有名な小樽市。その運河沿いの建物の北海製罐倉庫は大正10年(1921)代頃から昭和10年(1935)にかけて建てられた。小樽の鉄筋コンクリート造では初期の建物である。
大正10年(1921)設立された北海製罐倉庫株式会社によって、工場といっしょに建てられた。工場は水産缶詰用の缶を製造し、当時は東洋一の製缶工場と言われていた。敷地内には三つの工場が建っているが、それらは現在も稼動しており、日本の缶詰製缶工場としての大きなシェアを誇る。鉄筋コンクリートの工場群は、運河の南側に連なる石造りの倉庫群とは対照的で、近代建築の合理的かつ機能的な姿を水辺に映している。
運河から良く見える4層構造の第3倉庫はまるで航空母艦の艦橋や船体のような特徴的な形をしている。建築当初から荷物を揚げ降ろしするためのエレベーターや、製品を運河へ搬出するためのスパイラルシュートなど、機能的な設計で作られていた。また、仮面ライダーの悪役ショッカーの基地として撮影されたこともあるという、おもしろい歴史も持っている。平成24年(2012)に樽市指定歴史的建造物第76号に指定されたこの場所は、昼はその機能美を、夜には運河のガス灯に映し出されるフォルムを楽しむことができる。
【投稿日】2013年09月24日(火)【投稿者】たびらい編集部