季節が巡る儚さ、そして楽しみを味わってほしい/ 奥定山渓温泉 佳松御苑 支配人・松山美由紀 氏 | 奥定山渓温泉 佳松御苑

札幌の奥座敷・定山渓温泉のさらに奥。ひっそりと佇むのは、全室スイートルーム・展望温泉付きの「奥定山渓温泉 佳松御苑」です。「季を紡ぐ料理宿」のコンセプトに恥じない、イタリアンディナーが支持を集めている料理宿ではありますが、その魅力は料理だけに留まりません。
「全23室あるお部屋は、どこに泊まっても面白い」と、明朗快活な笑顔で教えてくれたのは、支配人の松山美由紀さん。宿の部屋タイプは、大きく括ると「藍」「紅」の2つが用意されていますが、松山支配人曰く全室が少しずつ異なるのだそうです。今回は、佳松御苑への並々ならぬ愛を持つ松山支配人に、宿の楽しみ方をこっそり伺いました。
造り、景観…。23室ある部屋は、ひとつとして同じものはない

近い将来、ホテルの公式サイトには「宿の敷地内の散策マップ」と「部屋から楽しめる景観マップ」が加わる予定です。その理由は、宿に訪れたゲストには奥定山渓ならではの「四季の儚さ」を体感してほしいから。
「四季は終わりがある。終わりがあるからこそ、大事にしたくなるんです。外国人スタッフは『日本人は忙しい』なんて言うんですよ(笑)。四季がはっきりしているのは、日本、特に北海道ならではのことなんですよね」

▲紅の部屋一例
日々、宿と真摯に向き合っている松山支配人。だからこそ「違い」が、「魅力」へと昇華し言葉に溢れ出てくるのです。
「『藍』から見える景色と、『紅』から見える景色は少し違います。紅のお部屋の方が原生林が近い位置にあるので、よりダイナミックな光景が広がっています。2階のお部屋は窓に向かってベッドが置かれているので、起きた瞬間に景色を楽しめるのですが、私は特に雪が降った日の景色をおすすめしたいです。」

「藍」306号室・307号室には、一時の時期にだけ楽しめる特別な風景があるそう。
「葉っぱが落ちる時期だけ、木々の向こう側に豊平川の源流を眺められるんですよ。」

▲303号室では、冬になると立派なつららが現れる
ゲストからは「高層階の方が良い」というリクエストが届いたりもするそうですが、窓の位置や季節によって景観が異なるため「高層階が良いとも限らない」と松山支配人。
「例えば202号室・203号室側の森にはタヌキが、103号室・104号室側の森にはなぜかよくキツネが出没するんです。きっとそれぞれの通り道があるのだと思います。あとは、角部屋の101号室。窓の真ん中にナナカマドの木があって、冬は真っ白い雪の中に真っ赤な実がなるんです。それがまた可愛らしくて。」
ふとした時に、随所に感じられる「四季」に気づかされる

各部屋に用意されたお茶請けのおまんじゅうには、スタッフ手作りの品を添えて。折り紙やフェルトの小物などで、細部にまで“旬”を忍ばせます。

スタッフの手により、館内には季節のお花が生けられることも。
社長と支配人が自ら土入れから行う、佳松御苑自慢の庭園にも注目

季節折々の風景を部屋から楽しめるのは前述の通りですが、それはスタッフたちが丹精込めて手入れした庭園も同様です。真っ赤に染まるカエデの木は、部屋の「紅」の由来になっているのだとか。
「昨年の夏は弊社代表に土入れの方法を教わり、私自身も庭の手入れを行いました。特に秋にカエデが赤く染まる様子は必見ですよ。」
また、宿があるのは支笏洞爺国立公園内。原生林が間近に迫る土地ゆえ、えぞ鹿が現れることもあるのだそう。
「庭園の植物にとっては天敵ですが…以前近くのバス停で、まるでバスを待っているかのようにえぞ鹿が3頭並んでいたことがあるんです(笑)。そんな光景もこの土地ならでは。その場面に遭遇したお客さまは幸運でしたね。」

景色で、食事で。季節が移ろうごとにどこか儚さを感じられるのは、荘厳な森が目の前に迫る佳松御苑だからこそ。忙しない日常では通り過ぎてしまいがちな、季節の切り替わりの儚さ。ふと立ち止まって今の季節を大切にしたくなる、そんな宿です。
「今年(2025)の冬は、敷地内に大きな雪だるまを作ってゲストをお出迎えする予定です。スタッフたちも張り切っていて、まん丸に雪を固められる方法を調べてくれたりしているんですよ。ぜひマップの完成と併せて、訪れる時期ならではの景観を楽しんでいただければと思います。」
札幌 > 定山渓温泉
奥定山渓温泉 佳松御苑
夕朝食付 2名1室
74,764円〜(税込)