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  1. 「映画の街・北九州」のロケ地を巡る <八幡・戸畑・若松>篇
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達人指南

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「映画の街・北九州」のロケ地を巡る <八幡・戸畑・若松>篇

  かつて“製鉄の町”として栄えた<八幡・戸畑・若松>は、いま“映画ロケの街”として注目を集めている。映画ロケ地を巡りながら、どこか懐かしい昭和レトロな町並み散策の楽しみ方を紹介する。

萩原電停前五叉路。ロケ当日は市内から集められた旧車が往来した

  映画ロケのメッカとして知られる映画の街・北九州。「映画の街・北九州ロケ地巡りでは、はじめての人にも回りやすい<小倉・門司>エリアを紹介したが、今回は上級者向けに<戸畑・八幡・若松>エリアを中心に紹介する。

北九州ロケの醍醐味のひとつである“昭和レトロ”を満喫するなら、同エリアは外せない。昭和の面影残るロケ地巡りの楽しみ方から、映画の町ならではの聖地巡礼ツアー企画の活用方法まで、北九州フィルムコミッションの広報担当(取材時)の末吉さんに聞いた。

取材/河三平 平成29年(2017)3月

末吉 大祐さん
(すえよし だいすけ)
末吉 大祐

北九州ロケ地の達人
  北九州市生まれ。前・北九州フィルムコミッション(KFC)担当係長。北九州市役所へ入庁後、港湾空港局、市民文化スポーツ局安心・安全推進部などを経て、2015年より同局文化企画課内KFC広報担当を務め、2017年4月より小倉南区役所へ異動。

昭和の面影訪ねて『おっぱいバレー』の町へ

『おっぱいバレー』のロケが行われた北九州市八幡の萩原電停前

  「数ある北九州ロケ作品の中で、昭和の面影残る<戸畑・八幡・若松>の町並みが最もシンボリックに描かれるのが、綾瀬はるか主演の映画『おっぱいバレー』(羽住監督)だ。ロケ地となった筑豊電鉄「荻原電停」前の五叉路界隈(北九州市八幡西区)へは、黒崎駅からの鉄路がおすすめだ。路面電車を彷彿させる二両編成のレトロな車両に乗り、懐かしい町並みを抜けていく車窓の旅を満喫してほしい。

『おっぱいバレー』の舞台は静岡で、時代設定も現代だった。ところが映画化の企画段階で、「時代設定を70年代に置き換えたい」という羽住監督の意向を知った北九州FCのスタッフが、雰囲気抜群のロケーションを提案した結果、みごと北九州を舞台とするストーリーに変わったという。

昭和の面影が残る町並みは、製鉄工場のお膝元・北九州ならではの風景。背景に工場群の煙突がのぞく中学校の校舎や、懐かしい雰囲気のアーケード商店街(黒崎・祇園町銀天街)など、町がそのままオープンセットと化した。「北九州を舞台にした原作がそもそも少ない」というハンディキャップをものともしないポテンシャルを体感してほしい。

昭和の面影残る空間で至福の一杯。角打ち派?それともカフェ派?

『若松・上野ビル吹き抜け。映画のワンシーンに迷い込んだかのよ

  映画の中で、綾瀬はるか扮する美香子先生が同僚教師と一緒に町の酒屋で“角打ち(酒屋店頭の一角で立ち飲みすること)”するシーンがあるが、戸畑・八幡界隈は角打ち文化が盛んな土地柄。今でも同様の酒販店が多く点在する。

「角打ちより、カフェでお茶を」という方は戸畑駅すぐ近くの渡船場から若戸渡船に乗って対岸の“若松バンド”(海岸通り)を目指してほしい。かつて日本一の石炭の積出港として栄えた港湾都市の面影を残した町並みには風格漂う歴史的建造物が並ぶ。

映画『K-20』、テレビドラマ『お家さん』、映画『相棒ー劇場版Ⅳー』など撮影実績も多い上野ビルは、ロケ地巡礼者必見の物件だ。大正期に建てられたビル内部は吹き抜け回廊の造り。天井には瀟洒なステンドグラスが施されている。当ビル3階にあるカフェ「Asa cafe」の窓辺席から、洞海湾を行き交う船を眺めながらのコーヒーは格別だ。そして、黄昏どきの工場群に沈む夕陽は、やはり画になる。

ロケ地巡礼と併せて楽しめるイベント企画が目白押し

映画『相棒-劇場版Ⅳ-』×西鉄バスのシークレットツアーへ

  <小倉・門司>から、<戸畑・八幡・若松>まで、巡礼スポットにこと欠かない北九州のロケ地。紹介しきれない作品・ロケ地もたくさんある。「北九州FCのブログやフェイスブックでは映画ロケに関連した企画をその都度紹介していますので、ぜひチェックしてみてください」と末吉さんはいう。実際、映画の公開記念や旬のトピックに合わせて、趣向を凝らした企画が目白押しなのだ。

つい先日は、映画『相棒ー劇場版Ⅳー』の公開キャンペーンに合わせてのバスツアーが話題を呼んだ。ブログやフェイスブックを通じて参加者を一般募集し、市内を走る「相棒」ラッピングバスを4日間貸し切りにしてロケ地を巡った。主要ロケ地に加え、結婚式や宴会利用者にしか公開していない戸畑の西日本工業倶楽部や、普段は一般の人が立ち入ることが出来ない施設内部にもサプライズで案内するディープなプログラムだ。

参加者の中には遠く和歌山から来たという夫婦もいた。昨年の夏に映画『相棒ー劇場版Ⅳー』ロケのエキストラにも出演したという。撮影時と公開中の2度楽しめるのも、市民エキストラの協力・受け入れ態勢が整う北九州だからこそだ。

三代続く町の小さな映画館。観てから巡る?巡ってから観る?

「館を地域に開放していきたい」と語る小倉昭和館・樋口智巳さん

  “映画の街・北九州”を盛り立てる町の映画館も健在だ。小倉・魚町で創業78年を迎える「小倉昭和館」は、地元常連客はもとより市外から訪れるファンも多い単館系映画館。独自の上映企画のほか、俳優・監督などをゲストに迎えて毎月開催するイベント「シネマカフェ」にも定評がある。「単に映画を上映するだけではなくて、ここに来た皆さんが映画の話をきっかけにつながっていける場所になれば」と奮闘するのは三代目館主・樋口智巳さんだ。

同館を先代から引き継いだ頃のこと。大好きだった“健さん”が主演する映画『あなたへ』のロケに市民エキストラとして参加した際、思いがけず高倉健本人から言葉を掛けてもらったことが今でも忘れられないという。ロケ期間に合わせて企画した高倉健主演作の上映に対しての謝辞と、館への暖かなエールだった。以来、祖父の代から地域の人に育ててもらった映画館の灯を絶やしてはいけないと心に誓ったという。

同館では、北九州ロケ作品は必ず上映する。観てから巡るか、巡ってから観るか、好みに合わせて巡礼コースに組み込んでみるのもいい。ロケ地の映画館で観る映画の臨場感をぜひ味わってほしい。

聖地巡礼のお供は、映画愛の詰まったロケ弁を!

唐揚げが自慢の「北湘」謹製『相棒』ロケ弁当

  先述のバスツアーの昼食には、実際に役者やスタッフに提供された“ロケ弁”が用意されていた。ロケ弁の充実ぶりも北九州ならではで、唐揚げ弁当の「北湘」やロケ作品に因んだメニューに趣向を凝らす「丸ふじ」
など、市内の様々なロケ弁業者が提供している。普段でも予約すれば、購入することができるのでぜひ食べ比べてみてほしい。

バス会社、ロケ弁業者、町の映画館、市民エキストラが一丸となって映画づくりを支える“映画の街・北九州”。ロケ地を巡っていると、地元企業や市民たちが一緒になって“映画の街”を盛り立てている姿を垣間見る。

決してスクリーンには映し出されることのない数々の物語が、行く先々に転がっている。そんなとっておきの“ディレクターズカット”に出会えるのも、聖地巡礼ならではの楽しみだ。