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  1. 網走監獄 塀の中にある北海道開拓の歴史

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

網走監獄 塀の中にある北海道開拓の歴史

  広さが東京ドーム3.5個分。博物館というより、歴史の体験公園といったほうがぴったりの博物館網走監獄。貴重な建築をはじめ、塀の中の暮らしを知る展示、監獄食や監獄土産など多彩な楽しみ方ができる施設だ。

網走監獄の門

  近年、冬季の流氷観光やタンチョウ観察など、自然観光が脚光を浴びている道東・オホーツク地方。網走監獄は自然豊かなこのエリアに、かつて実際に刑務所で使われていた多くの建造物を移築し、その歴史とかつての囚徒の暮らしぶりを紹介する独特な博物館だ。

網走監獄は、網走地方だけでなく北海道全域の開拓の歴史を知るうえで非常に重要な存在。国民的名俳優である高倉健さんの出世作となった「網走番外地」の舞台でもある“塀の中のアレコレ”を垣間見て、知識を深めてみよう。

取材・文/たびらい編集部 更新/平成28年(2016)6月

森 剛弘さん
(もり たけひろ)
森 剛弘さん

網走監獄の達人
  公益財団法人である網走監獄保存財団の誘致広報課を務める。地元・網走に生まれ育ち、博物館に勤務して15年以上。おすすめは、広大な博物館の敷地にある美しい自然を散策しながら、ゆっくり見学するスタイルという。広報活動のほか、個人・団体のチケット管理、観光客への説明も行うオールラウンダー。

博物館 網走監獄
⇒ http://www.kangoku.jp/

道東・道北の礎を築いた網走監獄1200人の囚徒たち

淡いブルーの外観が美しい「庁舎」

  北海道・道東地方の開拓の歴史を知るうえで忘れてはならない場所、それが釧路集治監網走囚徒外役所、通称「網走監獄」。明治中期、日本は帝政ロシアからの北海道に対する南下政策に対する備えが必要になっていた。冬場の厳しさから、遅々として開拓が進まなかった人口650余の小さな道東の漁村。そこに、“監獄”が出来たことで1200人もの労働力が生まれる。

この地に連れてこられた囚徒たちが道を、土地を拓き、また監獄を支えるために人が集まることで網走のまちが育っていったのだ。時にはその名前だけが有名になり、地域に悪い印象をもたらしたこともあったものの、120年に渡ってこの土地を影から築いたのは、間違いなく網走監獄だった。

昭和62年(1987)まで実際に使用されていた刑務所管理部門の主軸になる「庁舎」は、まず囚徒によって進んだ北海道の歴史を知り、網走監獄の概略をつかむのにおすすめ。建物は外観は洋風、屋根は瓦を使用した和洋折衷の官庁建築が特徴的だ。以前、網走監獄では壁に使用するれんがと屋根瓦を多く製造しており、実際、この建物にも採用されている。

脱獄防止機能と“ハイカラさ”を備えた五翼放射状平屋舎房

ベルギーの監獄をモデルに設計された「五翼放射状平屋舎房」

  網走監獄は「物産館」や「監獄食堂」を抜き、なんと21もの施設がある。このうち2軒8棟が国の有形文化財に登録されている。敷地内を歩いて観光する時間の目安は約1時間ほど。ただ、見どころがとても多いので、じっくりと各施設の展示を見ていると3時間ほどはあっという間に過ぎていく。

特に達人がおすすめするのが、登録有形文化財のひとつ「五翼放射状平屋舎房」。明治45年(1912)に建造されたこの建物は、昭和59年(1984)まで使用されており、さらにこの場所に昭和60年(1985)に移築復元された。左右対称に“五翼”に広がる囚人たちの舎房は、少人数でも監視がしやすく、火事が起きてもすべてが燃えないように、また各房の囚人たちがお互いに顔を見られないように、という工夫が施されている。また、この建物は世界最古の木造行刑建築物だ。

「100年前の建造物にしては非常におしゃれな建物であることも、おすすめのポイントです。明かりとりの窓にも注目してください」と達人の森さん。「五翼放射状平屋舎房」はベルギーのルーヴァン監獄をモデルにしたことが、監獄ながら“ハイカラ”な雰囲気を醸し出す理由かもしれない。

壮絶な道路開削の様子を資料で、シアターで体感する

壮絶な8カ月の開拓シーンを再現する「体感シアター」

  網走監獄では無料ガイドツアーも実施されているのだが、そのなかで必ず立ち寄る施設のひとつに「監獄歴史館」がある。ここは監獄の歴史や、囚徒の暮らし・作業を紹介するほか、体験型のスポットとしてもおすすめ。「もっこ」を担ぎながら開削作業に携わった囚人が身につけた重りや囚人服を実際に身に着けることができ、明治時代の厳しい開拓作業を肌で感じられるのだ。

明治時代、1200人の囚徒が開削した道路は網走~旭川間。その距離、なんと230キロメートル。「通常、3年はかかると考えられた道程を、政府の命令により彼らは8カ月という短期間で切り拓きました。最後は夜通しの作業となったといいます」。この工事で1200人のうち、211人の囚徒が途中で命を落とした。壮絶である。

網走~旭川ルートを開拓した男たちの歴史ドラマを紹介する「体感シアター」にも立ち寄ってみよう。「映像を映し出す半透明のシアタースクリーンの周辺に、木や砂利などを配置しており、実際の開拓者になった気持ちで見られるはずです」と森さん。

監獄食堂で網走旅行の“おいしい土産話”づくり

現代の監獄食を食べられる「監獄食堂」

  午前中にゆっくり博物館を見学すると、見終わるのはちょうどお昼時。たくさんの施設を思い切り楽しんだ後は、ぜひ「監獄食堂」へ足を運ぼう。ここでは、網走旅行の“おいしい土産話”をつくれるはず。監獄食堂では、現代の刑務所の“ある日の朝食”を再現しており、人気の施設だ。気になる内容は、麦飯(麦3:白米7)・焼き魚(さんま、もしくはホッケを選択)・小皿・中皿・みそ汁となっている。

「年配の方は、麦飯と聞くと“麦とろご飯”でよく使われる黒っぽい押麦(おしむぎ)を想像して、不味いのでは…と考えるようです。でも、安心してください。かなり食べやすい、いい味をしていますよ」。かつて、網走監獄ではご飯(一般食)のランクが5段階あったとか。働きによって、麦飯の量が決められていたのだが、それでもおかずはたくあんのみ。今の食事が、どれだけ豪華か分かるというものだ。

現在、網走刑務所では、日本で唯一酪農業を刑務作業のひとつとしており、なんと彼らは出荷するうちの65%がA5ランクという、素晴らしい肉を生産しているという。「網走監獄和牛」というブランド牛になっている点にも注目だ。監獄食堂では、この和牛を使った「メンチカツ(290円)」「コロッケ(150円)」もお手軽価格で食べられる。

花見スポットとして楽しめる博物館網走監獄

正門前のエゾヤマザクラも風情があって美しい

  網走監獄は美しい花々が咲く「花見スポット」としてもおすすめ。博物館入口、五翼放射状平屋舎房周辺を中心に、敷地内には、5月中旬にエゾヤマザクラの花が咲く。300本のエゾヤマザクラが植えられており、チシマザクラも数本植えられている、と森さんは教えてくれた。

「博物館の前の池のスイレンが7月頃に花を咲かせます。こちらも風情があります。敷地内には1万2000株の宿根草があり、季節ごとに違う彩を見せてくれるのもポイントです」。また、有形文化財に登録されている「煉瓦造り独居房」周辺に咲くのはエゾノコリンゴ。この周辺は散策中にエゾリスも見られる可能性もあるので、要チェックだ。

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網走監獄の人気スポット&グルメを楽しもう!おすすめ情報

お楽しみ展示施設3選

  博物館網走監獄では明治に建てられた監獄施設が展示されている。そのうち移築復原した10棟は登録有形文化財にしていされている。数ある展示施設の中から見所いっぱいのおすすめをご紹介。

おすすめポイント
  博物館網走監獄の中で一番人気が高いのが、五翼放射状平屋舎房。房内での食事の様子や見張りの刑務官なども再現されている。鉄棒を伝って天井に逃げようとする昭和の脱獄王・白鳥由栄を見逃さないで。浴場はシステマチックに管理された当時の刑務所の暮らしがよく分かる展示。煉瓦造り独居房はいなり房と呼ばれ恐れられた懲罰専門の独房で実際に使用されたものだ。

お楽しみ監獄食ランキング

  網走監獄の大人気コンテンツが「監獄食堂」だ。ここでは現在の網走刑務所で出された昼食を再現した監獄食を食べることができるのだ。

おすすめポイント
  ここの監獄食は、食べた人が驚くほど味がいい。メニューは網走刑務所からレシピを取寄せて再現されたホンマモノ。オホーツク網走ザンギ丼は、じわじわ人気が出てきた網走のご当地グルメ。北海道の郷土料理であるいも団子は、ジャガイモのうまさがしっかりと伝わる一品。午前中にゆっくり博物館を見学すると見終わるのはちょうどお昼時。ぜひ「監獄食堂」で網走旅行のおいしい土産話を!

北海道開拓の歴史を学ぶ旅へ。おすすめ施設

  開拓史を知るうえで欠かせない札幌の施設を紹介。特に「北海道開拓の村」は歴史的建築物が52棟建ち、網走監獄と同じような楽しみ方ができる施設だ。

  • NO1北海道神宮
  • NO2開拓の村
  • NO3赤れんがトップ
おすすめポイント
  札幌の厚別エリアにある「北海道開拓の村」は50ヘクタール超の敷地内に明治~昭和初期の建造物が52棟も建つ広大な歴史スポット。朝の連続ドラマ「マッサン」のロケでも使われた「旧青山家漁家住宅」が評判だ。ここは体験型のプログラムも豊富で、子どもと一緒に楽しめる。「北海道旧本庁舎」は札幌駅から徒歩約5分という都心型の歴史的建造物だ。“赤レンガ”の愛称で知られており、現在は海外からの観光客でも賑わいを見せている。「円山動物園」「円山公園」といった札幌市民の憩いの空間から近い距離にあるのが「北海道神宮」。毎年、6月14日~16日に行われる北海道神宮例祭では、境内に多くの屋台が並ぶ。北国の爽やかな風を感じながら、ゆっくりと時間を過ごすのもおすすめ。

大迫力!動物の行動展示

網走監獄への交通アクセス

  網走監獄は網走の観光施設が集中する天都山の中腹にある。クルマで約7分ほどの近さで、展望台のあるオホーツク流氷館をはじめ、北方民族博物館やフラワーガーデン「はな・てんと」も近いので、ぜひ出かけてみよう。

博物館網走監獄の施設情報

  【住所】網走市字呼人1-1
【営業時間】
・8時30分~18時(4月~10月)
・9時~17時(11月~3月)
※最終入館は閉館1時間前まで
【入館料】大人:1080円、大学・高校生750円、小・中学生540円
【定休日】なし、年中無休
【駐車場】あり(無料)
【問い合わせ(電話番号)】0152-45-2411
【公式サイト】http://www.kangoku.jp/

JR網走駅から

  徒歩約40分(約4キロ)
クルマで約8分 国道39号線より
バスで約8分 網走駅から天頭山行きバスで、博物館網走監獄下車すぐ

女満別空港から

  クルマで約28分 道道64号線から国道39号線を経由

達人が答える網走監獄Q&A

Q 博物館は、網走刑務所の中にあるのですか?
A 別の場所になります。博物館網走監獄は、かつて刑務所で使われていた建物を移築・保存公開している施設です。実際の網走刑務所は、現在も「刑務所」として現役です。当然ですが内部は公開されていません。
Q 休館日が分からないのですが……
A 基本的に年中無休で休館日はありません。ただし吹雪などの悪天候で除雪が間に合わず、クルマが動けない場合は臨時休館となります。
Q ペットを連れて見学できますか?
A 以前は許されていたのですが、平成21年(2009)4月より博物館網走監獄館内へのペット、小動物の持込が禁止になっています。なお、補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)を伴っての入場は可能です。
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