八重山の地理

石垣島、西表島を中心とする八重山の島々。特色ある地域性を紹介

沖縄本島から400キロ~500キロ離れている八重山の島々。八重山の玄関口となる石垣島をはじめ、西表島、竹富島など大小23の島がある。有人としては日本最南端の波照間島、日本最西端の与那国島があり、与那国島から台湾まではわずか120キロ。沖縄本島とは異なった気候、自然を有し、伝統や文化、産業も独自のものを形成している。

八重山の地勢

東京から経度で西に約15度違う。日本で唯一、南十字星が観測できるのも、それだけ南に位置しているからだ。沖縄本島とも異なる地勢が、独自の文化を生み出している。

沖縄と八重山、台湾の距離

八重山の基本データ

八重山諸島の有人島は、石垣島、竹富島、小浜島、黒島、新城島、西表島、鳩間島、由布島、波照間島、与那国島。東の石垣島から西の与那国島までは約120キロ離れており、八重山諸島の海域は広大だ。行政区分としては、石垣島の石垣市、与那国島の与那国町、その他の島が竹富町と3つに分かれている。

八重山全体のマップ

八重山のデータ
■石垣島  八重山の交通、行政、経済の中心
面積 222.63平方キロ
人口 4万7564人
■竹富島 赤瓦の民家など沖縄の原風景が残る集落
面積 5.42平方キロ
人口 365人
■西表島 東洋のガラパゴスと称される固有種の宝庫
面積 289.28平方キロ
人口 2366人
■由布島 水牛車で渡る西表島の東に浮かぶ小島
面積 0.15平方キロ
人口 約10人
■鳩間島 毎年行われる音楽祭は島の一大イベント
面積 0.96平方キロ
人口 約50人
■小浜島 八重山諸島のほぼ中央。「結願祭」が有名
面積 7.84平方キロ
人口 631人
■黒島 ハートの形をした島。牛が人の10倍いる
面積 10.02平方キロ
人口 194人
■新城島 上地と下地の二つの島がある
面積 3.34平方キロ
人口 13人
■波照間島 日本最南端の有人島。南十字星が見られる
面積 12.77平方キロ
人口 490人
■与那国島 日本最西端の島。海底遺跡が有名
面積 28.91平方キロ
人口 1843人

2015年国勢調査結果(総務省統計局)より 

八重山の自然

年間平均気温が22℃と温暖な沖縄にあって、八重山諸島はさらに気温が高く平均で24℃。年間降雨量も本島よりも多く2100ミリ。その分、湿度が高く年間平均で72%と高温多湿の亜熱帯海洋気候の特性を持っている。台風の接近数も多く、甚大な被害を受けやすい。沖縄最高峰の於茂登岳がある石垣島と、原生林が広がる西表島は河川も発達し、マングローブなど独特の生態系を有する。他の島々はサンゴ礁が隆起して形成されたため、平野部が多い。また、石垣島と西表島の間に広がる石西礁湖(せきせいしょうこ)は日本最大のサンゴ礁海域で西表石垣国立公園に指定されている。

仲間川。流域は西表石垣国立公園に含まれる(写真提供/OCVB)

八重山の森林

約90%が亜熱帯のジャングルという西表島は、原生林が海岸近くまで迫り、河口域にはマングローブが広がり、八重山の自然を語るうえで重要な意味を持つ。特別天然記念物の「イリオモテヤマネコ」など多くの固有種が存在する。石垣島の南西部にある「バンナ岳」は約400ヘクタールの森林丘陵地帯で、多種多様な生物が生息する。八重山の自然観察が気軽にできる公園にもなっている。

名蔵アンパル。特に貴重な野鳥の飛来地、生息地となっている(写真提供/OCVB)

八重山のサンゴ特有の地形

沖縄の島々はサンゴが発達してできた琉球石灰岩で形成されている。八重山諸島の多くもサンゴ礁が隆起してできた島で、比較的緩やかな丘陵地帯が多い。石垣島の白保海岸を筆頭に、海岸線は遠浅のサンゴ礁のリーフが広がっている。石垣島と西表島の間に広がる石西礁湖は、日本最大のサンゴ礁海域であり、世界有数の美しさを誇る。近年、オニヒトデなどの被害や海水温の上昇などにより、サンゴの減少が問題になっており、保護活動が盛んに行われている。

石垣島と西表島の間に広がる石西礁湖(写真提供/OCVB)

八重山の動物

八重山の島々には、国の特別天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコやカンムリワシ、セマルハコガメなど多くの貴重な動物が生息している。河口域に広がるマングローブではヤシガニやミナミトビハゼ(トントンミー)などが見られ、独自の生態系を形成している。水中の生物も多種多様で、与那国島のハンマーヘッド(シュモクザメ)の群れや石垣島の川平湾にやってくるナンヨウマンタが有名。

イリオモテヤマネコ(写真提供/OCVB)

八重山の植物

亜熱帯気候で高温多湿の八重山には、熱帯、亜熱帯地域原産の植物が多く自生しており、市街地や集落のすぐそばに、原生林が残されている。沖縄本島とは異なる自然の豊かさを目にすることができる。西表島の仲間川上流で発見された巨大なサキシマスオウノキは、クルーズ船で見に行くことができる。また、尖閣諸島魚釣島の固有種で県のレッドデータブック絶滅危惧種に指定されているセンカクツツジなど、固有の植物も多い。

センカクツツジ

八重山の文化

沖縄本島と400キロ~500キロ離れている八重山諸島は、伝統芸能を始め、年中行事、祭り、祈りなど島の暮らしと密接に関わって発展、受け継がれてきた。特に旧暦に基づいて行われる祭事には、国の重要無形文化財に指定されているものが多く、八重山の島ごとの風習を観光客も見ることができる。

波照間島のムシャーマの様子

伝統・風習・行事

豊年祭

五穀豊穣を祈願する豊年祭は八重山の各地で行われる。石垣島の白保地区の豊年祭りは盛大に行われ、1日中集落は祭り一色に染まる。旗頭(はたがしら)の奉納にはじまり、弥勒菩薩が語源と言われるミルクが登場して祈りが捧げられる。豊作を願う様々な踊りが披露され、最後は地区を東西に分けての大綱引きが始まると、祭りはクライマックスを迎える。島ごと、集落ごとに祭りの内容は異なり、四ヵ字(しかあざ)の豊年祭は石垣島で最大規模と言われている。中には秘祭として立ち入り禁止としているところもある。

八重山各地で行われ、祭りの内容も地域によって異なる

アンガマ

石垣島に伝わる、お盆の伝統的行事のアンガマ。あの世からの使者であるおじい(ウシュマイ)とおばあ(ウミー)が子孫を引き連れてお盆の時期に現世に現れ、太鼓を打ち鳴らし、踊りながら集落の家を訪ね歩く。特に禅問答のようなやり取りは笑いを誘う。祖先を弔う伝統行事だが、一般の観光客も見学することができる。
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訪れた民家で踊りや問答を繰り広げる(写真提供/OCVB)

結願祭

小浜島で行われる結願祭は、豊年祭と並んで島をあげての一大行事。祭り前日をスクミ(リハーサル)と呼び、当日をショウニツ(正月)と呼ぶ。多くの芸能が奉納される御嶽は、普段は神聖な場所として立ち入りが制限されているが、この祭りの時には開放される。この祭りは、国の重要無形文化財に指定されている。
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普段は立ち入り禁止の神聖な場所で行われる(写真提供/竹富観光協会)

種子取祭

竹富島で旧暦9月に行われる種子取祭(タナドゥイ)。約600年の歴史があると言われる伝統行事でで、国の重要無形文化財に指定されている。名前の通り、畑に蒔いた種子が育ち豊作になること願う祭りで10日間にわたって様々な芸能が神に奉納される。芸能奉納のほか、唄い、踊りながら島の家を訪ね歩く「世乞い(ユークイ)」は、一般の観光客も参加することができる。

芸能・工芸・美術

唐人墓

中国福建省出身者128人の慰霊のために、昭和46年(1971)石垣島の観音崎に建立された。嘉永5年(1852)、中国福建省のアモイに集められたクーリー(苦力)が、カリフォルニアに送られる途中に虐待を受けたために暴動が起き、船長・船員を殺害する。船の進路を変更し、台湾に向かう途中、石垣島沖で座礁。八重山の人々は下船した中国人を保護するが、イギリスの艦船が来島し中国人を襲撃。これによって多くの中国人が命を落とした。のちに、点在していた遺骨を合祀慰霊したのが、この唐人墓である。

中国の影響を受けた色鮮やかな墓

宮良殿内

石垣島には、琉球王国時代の歴史的建造物が現存しており、宮良殿内(みやらどぅんち)はそのひとつ。殿内とは地頭の邸宅のことをいい、八重山の宮良間切(間切=当時の行政区分)の頭職の住宅として建てられた。首里の士族の家の造りを模したとされており、分不相応と取り壊しを命じられたものの従わず、茅葺屋根に替えた。現在は赤瓦屋根に戻されている。八重山産のイヌマキ(チャーギー)を使い、庭園は枯山水と当時としては贅沢な住宅の構造であった。国の重要文化財指定。

とぅばらーま

数多くある八重山民謡のなかでも、最高の抒情歌とされるのが「とぅばらーま」。男女の情愛を歌い上げる歌詞が元だが、現在では、家族愛や自然の美しさなどを歌に込め、訴えかけるように歌う叙情歌のことを総称するようになった。毎年旧暦の8月15日の満月の2日前「十三夜」に、石垣島では「とぅばらーま大会」が開催され、多くの人が、思いを込めて「とぅばらーま」を歌う。十三夜の美しい月を背景に色々な歌詞の「とぅばらーま」の歌唱力を競うイベント。
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とぅばらーま大会の様子(撮影/新盛基史さん)

八重山民謡

八重山民謡の多くが沖縄本島に渡りアレンジされ、沖縄民謡として親しまれるようになった。16世紀以前に作られたものは古謡と呼ばれ区別されている。民謡の宝庫とも言われるほどで、際限なく唄い継がれているが、代表曲には「とぅばらーま」のほか、教訓唄の「デンサー節」、男女の情愛を月の美しさに例えた「月ぬ美しゃ」、祝いの歌「鷲ぬ鳥節」などがある。沖縄民謡とは異なり、三線を使わずに唄われることが多いのも八重山民謡の特徴。そのため島では歌唱力の高い人を「唄者(うたしゃ)」と呼んで敬う。

織物

八重山の織物といえば「ミンサー織」が有名。5つと4つの四角の模様が組み合わさったミンサー織りは、女性が男性に思いを伝えるために使われたとされ、「いつの世までも末永く」という意味が込められている。他に伝統的な織物として「八重山上布」があり、苧麻(ちょま)というイラクサ科の植物の繊維から糸を作り、紅露というヤマイモを使って染色する。独特な色合いで織り上げられた上布は、琉球王府の限られた人しか身につけることができないほど高価なものであった。
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ミンサー織り。石垣島を代表する伝統工芸品(写真提供/OCVB)

八重山の産業

観光を中心としたサービス業の割合が高いが、亜熱帯気候を生かした農産物や海産物は沖縄の人々の生活を支え、さらには流通網の発達によって、日本全国へと届けられるようになった。

日本最南端のアーケード商店街の「ユーグレナモール」。旧名「あやぱにモール」(写真提供/OCVB)

パイナップル

生産量 約7770トン ※農林水産統計より

沖縄県のパイナップル生産量は約7770トン。そのうち八重山諸島での生産量は2930トン。沖縄本島では半数が加工用として出荷されるのに対して、八重山のパイナップルは、ほとんどが生食として出荷されている。石垣島では生産農家の直売やインターネットを使った産直販売が盛ん。八重山の肥沃な赤土と太陽の恵みで育つパイナップルは、甘みとジューシーさが人気である。

完熟のパイナップルは甘くてジューシー

サトウキビ

生産量 10万6618トン ※農林水産統計より

沖縄県の基幹農作物であるサトウキビの生産量は約93万7523トン。そのうち八重山諸島では10万6618トンが生産されている。現在、八重山諸島のうちサトウキビの作付をしているのは、石垣島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島の5つ。石垣島を除き4つの島では黒糖の製造を行っている。石垣島では、黒糖づくりの体験やサトウキビ絞り体験などの農村体験ができる。

そこまでも広がるサトウキビ畑

黒毛和牛の取引高

約40億円(石垣島)

八重山諸島内で飼育される黒毛和種の牛は、およそ3万5000頭。熱帯気候の温暖な気候と牛の放牧を可能にする広大な土地が、一大繁殖地帯として成長してきた。黒島には人間の10倍いるといわれており、牛が放牧されている姿を目にすることができる。石垣島では「石垣牛」ブランドの認知が広がるなど、八重山の畜産を支えている。石垣島で育った仔牛は日本全国に出荷されるなど、日本各地のブランド牛の発展にも寄与している。一定条件のもとで飼育した牛のみが「石垣牛」としてJAおきなわが認定する。

ブランド認知が広がる石垣牛

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